45.【別視点】お礼行脚〜ベン・シド&エヴァ
軽めのコメディにしたくて。
ベン、シド&エヴァ、いずれもお気に入りです。
【ベン視点】
なにぃ、アルベルトが来おったじゃと。
ふんっ、コッチに用はないぞ、ワシャおらんっちゅうてお帰りねがーー
バカモン!今回の事件は、確かに組合にも負い目はあるわ。じゃから、地図も渡したし、受付のロビーも貸したんじゃ。
ワシャ、会いたくもないジジイどもと、朝一番で茶ぁ啜らにゃならんかったんじゃぞ。
あんなジジイどもと、アハハオホホの話なんかできるかい!
事故の賠償金を貸してくれやら、免許停止は勘弁してくれとか、そんな泣き言ばっかじゃったわい。
なにぃ?、居留守使ったのバレて、偏屈って評判のおエライさんに睨まれたら困る?
はぁ……、お前はあやつの事、なんも知らんのぉ。
あやつはそんな理不尽な真似はせんぞ。
あやつはな、理と義と情を、公平公正に扱おうと努める男じゃ。
で、実際にそうしよるか、ソレに近い形で実現しよる。
じゃから逆にあやつを煙たがる向きも多いし、怖がられてもいるんじゃよ。
融通の効かん偏屈者ってのぉ。
まあいい、しゃあない、通せ。
今日の用向きは何と言うとった?
なにい、今回の礼?
こないだ、地図返しに来た時、ちゃんと礼は言うちょったがのう……。
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こ、これは…!なんちゅう綺麗な“気“じゃ。
この娘…、げ、原石じゃ…、エエ女の原石じゃ…。
アルベルトの奴、一体どこでこんな女を見つけおった?
あの朴念仁に、そんな甲斐性あったんか?
「……こ、これはまた…どえらいモンを…、…ん?」
……おや…、なんじゃ…?
……原石と思ったが……
…いや、年の頃では当然原石なんじゃが……
よくよく見ると……
これ…、もう…完成……しとらんか…?
む、アルベルトが背中に庇いよった。
驚かせてしもうたか?、いやぁ…参った…。
ワシとしたことが、年甲斐もなく焦ったようじゃ。
「……あ、ああ、スマンな、嬢ちゃん。
少し驚かせたかな、勘弁してくれ」
こんなちっちゃい娘っ子に、とんだ勘違いしてしもうたわい。
……ワシも歳かのう…。女見る目はまだまだ誰にも負けんつもりじゃったが、自惚れが過ぎてたか…。
おうおう、かわいいのぉ。
こらこら、そんなにヒゲを引っ張っちゃならんぞ。
ハッハッハハッ、面白いんか?
そうか…そうか…。
いいんじゃ、いいんじゃ。
熟しきった女はモチロンいいが、無垢な子供の笑顔ってのも、別な意味で宝物よな。
この子の笑顔見れて、ワシも少しだけ……救われた気がするわい……。
お、もう帰るんか……。
うん、うん、そうか……。
いや…、そんなお礼なんて……、ワシャなんもしとらんよ。
アルベルトが全部成し遂げよったんじゃよ…。
コイツは大したヤツじゃ…。
コイツと一緒にいれば、お前さんもまっすぐに育つじゃろう…。
なんか困った事があったら、コイツを頼れ。
コイツは物事をよ〜く見よる。
よ〜く見て、お前さんに道を示してくれるじゃろう。
いい保護者に恵まれたぞ、お前さんは……。
おう、またいつでも遊びにおいで。
待っとるからな…。ああ、またな……。
帰りおったか……。
もう少し居てくれてもよかったのにのう…。
しかし…、なんじゃ、アルベルトの奴…。
終始、ワシの事、警戒するような妙な目で見とったが……。
ワシがあの子を狙うとでも思ったんじゃろか。
さすがにありゃあ若すぎ………
……う〜ん…、なんか…そうとも言いきれんような…
なんじゃろう……、この変な気分は……
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【シド&エヴァ視点】
ねぇねぇ、もうすぐ来るよ。補佐さんの遠縁の娘さんが。
目撃したって連中の話じゃ、ホントかわいい子だったってさ。
楽しみだねぇ。
え?自分は顔出さない方がイイかもって?
ハッハッハッ、なに言ってんのさ。
んなの、気にするガラじゃないだろ。
いやぁ、そりゃあアンタの顔見て泣いちゃう子供もいたけどさ。毎回毎回じゃないだろ。
…うん、まぁ、確かに確率としては高いかもしれないけど……。
そうね……、ちっちゃい子供に怖がられるのは、確かに堪えるよね……。
ミルクとお菓子の準備は?
そうかい、できてるなら大丈夫さ。
子供はミルクやお菓子くれる人には懐くから。
…あ、来たようだよ、用意してきて。
「きゃあーー!、かわいい〜〜!!
なになに、この子がリンちゃん?!」
めちゃくちゃかわいいじゃないか、この子。
蒼い瞳、白銀の髪、透き通るような肌。
こりゃあ別嬪さんだ。将来が楽しみだねぇ。
え?、お、おねえさん?アタシが?
え?いい匂いがする?アタシが?
ちょっとちょっと!
補佐さん、この子、ものすごくいい子だよ!
アタシが保証する!
大事に育てるんだよ!泣かしたりしたら出入り禁止にするからね!
あ、ダンナがミルクとお菓子持ってきた。
はは、子供の視線にビビってる……。
しょうがないねぇ、デカイ図体して……。
「ホラ、おじちゃんに挨拶してきな」
…う〜ん、やっぱ、大熊と小リス…って感じか。
傍から見ると、不釣り合いこの上ないわ……。
あ、ミルク差し出した…。
子供懐かせる武器のひとつ、もう使っちゃうんだ……。
ダンナ…、手…、震えてない?
え…?、あ、ありがとうって……
スゴっ!お礼言われた!
はあ〜、何年ぶりかね、あのヒトが子供にお礼言われるなんて…。
あ、リンちゃんと話してる。
うわぁ、こりゃたまげた。
あのヒトが結構喋ってるわ。
「へぇ、珍しい、ウチのダンナがあんなに饒舌になるなんて」
…ん?なに怪訝そうな顔してんだよ、補佐さん。
ふたりとも、結構仲良く喋ってるじゃないか。
あ、ウチのダンナが笑ってるよ……
こりゃまた珍しい。
明日雪降るよ。ハハハ。
……だから、なんなのさ、その怪訝そうな顔は?
え?ホラ、笑ってるじゃないか、ふたりとも。
なに妙な事言ってんだい?
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いやぁ、かわいい子だったね。
あの子が悲しんだりしなくて、ホントよかった。
ああ、アンタもそう思うかい。
うん、そうだね、ありゃいい子だ。
アタシらも、骨を折った甲斐があったってもんだ。
でもさ、なんか補佐さんの様子が変だっただろ。
ああ、なんかさぁ、アンタとリンちゃんが笑いながら話してるとこ、ジットリした目付きで見つめててさぁ。
いやぁ、アタシにゃ皆目さ。アンタも見当つかないだろ。
何があったんだろうねぇ。
お読みいただきありがとうございました。
第二章「人攫い」はこれにて終了です。
引き続き、第三章「野盗狩り」をお送りします。
少しでも「続き読んでもいいかな」と思って
いただけましたら大変嬉しいです。
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末永くお付き合い下さいませ。
次回タイトル予告「マギーの花屋」




