071 : ゴーレム戦 ・1
待ての勇者と急ぎの姫騎士
071 : ゴーレム戦 ・1
節くれた握りこぶしが開くようにして現れたのは四体のゴーレムだ!
大きさはまちまち、中央の二体が大きいというか背が高く、左端、右端と小さくなっていく。
「お前たちは両端を! わたしとスグルで中央の二体! エマは僧侶、白魔導士を束ねて回復に専念! ギギは後ろに隠れていろ!」
天性の姫騎士なんだ、ヒルデは三秒で指示すると、そのまま跳躍して中央左の敵に打ちかかった!
ガキーーーン!
エクスカリバーが弾き返される!
「頭は固い、手足の関節を狙え! 一撃で倒そうなどとは思うな! 反復して叩け!」
ガキーーン! ガキ! ゴキ! チュイーン!
指示を飛ばしながら四撃、さすがに、カケラが舞い散るが、ほとんど効き目はない。
しかし、その闘志は引けがちの冒険者たちを励まして、幻術士姉妹が後に続く!
「みんな!」「目をつぶって!」
二人で一つの指示をすると、ゴーレムの前面に閃光が走った!
ピッカーーーーー☆☆☆!
ゴーレムたちも顔を伏せたり、手で目を覆ったりした。
ウォオオオオオオオオオ!
ガキ! ゴキ! ズガ! ズガガ! チン! カン! チュィン! コキ! ドガ! ベシ!
技量も威力もまちまち、人数分だけの打撃音は響くが、全員でヒルデの一回分ほどの効果しかない。
「怯むな! 叩きながら探れ、どこかに弱点がある! トーーーッ!」
グチュン!
微妙な斬撃音がして、ゴーレムの片目が潰れた!
「目だ!」「目よ!」
ビアンカとカリーナが指さす。意外と分かりやすい、こいつら目が欠点なんだ!
ゴキ! ズガ! ズガガ! チン!
半数が手足を狙って隙を作り、身の軽い冒険者が跳躍して目を狙う。
ブビュン! グエ!
ゴーレムも反撃して、目を狙った二人が石の腕で振り払われる。二人は人間と思えない捻じれ方折れ方をして弾き飛ばされる!
ズズズズ……
それだけじゃない、首の隙間からずり上がってくる音がしたかと思うと、潰した目のあたりまでずり上がってきて新しい目になった!
「再生するんだぁ……(›´Δ`‹ )」
カリーナがげんなりした声で言うと、みんなも、つんのめったり、たたらを踏んだりして攻撃の手が止んでしまう。
ガオオオーーー!
こちらの手が停まって、ゴーレムはファイティングポーズして勢いづく。
「スペアの目は体の中からせり上がってきた……首の根本……スグル! 飛べ!」
それだけで分かった!
トリャーーーーーー!
剣を構えて大げさに跳躍! ゴーレムは首をもたげ、俺に向かって攻撃姿勢!
セイ!
静かに跳躍したかと思うと、ヒルデは首の根元にエキスカリバーを深々と突き刺し、顔面を蹴ってとんぼ返りしたかと思うと、敵の脇にオリハルコンを渾身の力で刺し貫く!
えい! えい! ええい!!!
グゴ……
あっけなかった。
動きを停めたかと思うと、ゴーレムは膝をついて、その衝撃でその体を構成している大量の石や岩は結合を失いバラバラに崩れた!
「ヒルデさんに倣え!」
ビアンカが剣を突き上げると劣勢に立っていた冒険者たちも奮い立ち、ヒルデの三倍ほどの時間をかけて石と土の怪物をやっつけた。
ゼーーゼーーゼーーー(((((⸝⸝◎ᯅ◎⸝⸝)))))
俺たちが来る前にやっつけた魔物とはグレードが違ったようで、みんな、先ほどの倍くらいにくたびれてしまっている。エマを含めて五人の回復魔法の使い手たちが怪我人の治療にあたる。
戦闘中、声も出せずに怯えていたギギはエマにぴったりくっついて……なぜか手をニギニギしている。
「どうしたギギ、お手てがどうかしたか?」
「ゴーレム、お手て……ひとつ足りないにょ……」
「「え?」」
ヒルデと同時に声を上げてしまった。
そうだ、あいつらの体格の差は親指を除いた四本の指の相似形だ!
「親指がいるぞ!」
ヒルデが叫ぶのと、そいつが現れるのが同時だった。
「逃げろ!」
ヒルデの一声で、みんな怪我人を抱え上げ、いっせいに逃げ出した!
☆彡 主な登場人物
・鈴木 秀 三十路目前のフリーター
・ブリュンヒルデ ブァルキリーの戦乙女
・エマ バンシーのメイド
・女神(甲と乙) 異世界転生の境に立つ正体不明の女神たち
・ハンス・バウマン ズィッヒャーブルグのギルドマスター
・フンメル 西の墓地に葬られている一万年前の勇者
・カルマ フンメルとパーティーを組んでいたエルフの魔法使い
・トルクビルト(工藤甚一) ズィッヒャーブルグの幻影魔法士(娘:ビアンカ、カリーナ)
・シャイロック ヴェニスの商人
・ロキ 荒れ野の神(ヒルデの義理の叔父) シギュン(妻)
・秀を取り巻く人々 先輩 アキ(園田亜妃) 田中
・魔物たち 謎かけ魔物 リーツセル(Rätsel) ガイストターレン シュプルーデ川の魔物 樹叢の魔物 セイレーン(半鳥半人) ギギとクク(元セイレーンの姉妹)




