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四十六日目

 



「いいじゃないか」


 父であるモンロン男爵が微笑みながら肯定した。


 フェリシティは昨日、モンロン男爵邸に帰ってきた。


 ウィリアムがフェリシティのことが好きなのではないかという疑惑が濃くなった昨日、フェリシティはウィリアムのことを考えすぎて、帰ってきたらすぐに寝てしまった。そのため、今日、家族にウィリアム邸で起こったことを話していた。


「キャメロン卿にエスコートをしてもらえて良かったね」


 フェリシティが明日の結婚式はウィリアムにエスコートをしてもらうと伝えると、はしゃいでいる母の隣で父はニコニコとしていた。てっきり驚くとばかり思っていたものだから、拍子抜けだ。


「ドレスも頂けるのか。とてもありがたいよ」


 なぜか父がフェリシティの恋を応援しているように感じられた。なぜかは分からないが。


 その時、ノックの音が聞こえた。父が返事をすると、手紙を持った執事が入ってきた。


「失礼いたします。お嬢様宛に手紙です」


 フェリシティは誰からだろうと思い、手紙を受け取った。手紙を裏返し、差出人の名前を見ると、目を大きく見開いた、

 フェリシティは急いで手紙を開けた。そこには上品で美しい字が書かれている。


 ――フェリシティ、君がいない今日はとても静かで味気ないものだよ。フェリシティのことを一日中思っている。早く明日になることを願っているよ。


 フェリシティが手紙を読み終わると、執事が赤い薔薇を手渡した。


「こちらもキャメロン伯爵様からです」


 今日はいつもより薔薇の数が多い。それでもフェリシティは薔薇の数を数え始めた。


「二十四本……」


 本当にウィリアムはフェリシティのことを何とも思っていないのだろうか。いや、そんなはずはない。


 勘違いでもいい。それでもいいから、フェリシティはウィリアムのことを信じてみたいと思った。

 

 ウィリアムが何日もかけて何本も薔薇を、それも真っ赤な薔薇を贈ってくれるのはフェリシティに思いを伝えたいからかもしれない。その意図は分からないが、ウィリアムがフェリシティを好きかもしれないという証拠がたくさんあるのだ。

 

 勘違いしないというのも無理がある。


 無意識に微笑んでいたフェリシティを家族は微笑ましいものを見るように見つめていた。




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