十七日目
(やっと朝……)
フェリシティはやっと朝日が上ったことに歓喜を覚えた。夜、フェリシティはほとんど寝れていない。ウィリアムが帰ってきた時も起きていた。
フェリシティは眠ることができなかったのだ。
寂しくないと否定し、これからのことを考えると、眠気がなくなってしまった。将来に対して不安が膨れ上がっていった。
もしウィリアムがいなくて寂しいなら、離れるとき辛くなるだろう。そうならないためにも、ウィリアムを避けなければならない。好きが愛に変わる前に。本当の意味で手遅れになる前に。
そんなことばかり考えていたからか、目を瞑っても瞼の裏にウィリアムが映るようになってしまった。
「フェリシティ様、おはようございます」
世話係のアンナが部屋に入ってきた。アンナはフェリシティの方を見ると、驚きで目を丸くした。朝に弱く、いつもならまだ寝ているのに、今日は起きているからだ。
「今日は早いお目覚めですね」
何かあったのかと伺いたいが、アイラがいる手前、聞くこともできない。だからアンナはそうとしか言えなかった。
フェリシティはこの気持ちをどう伝えればいいのか分からないので、アイラがいて良かったと思ってしまった。
「おはよう、フェリシティ」
食堂に行くと、すでにウィリアムがいた。フェリシティはそこにウィリアムがいて、ほっと安心した。
「昨日はすまないね」
ウィリアムは申し訳無さそうに眉を下げた。その顔を見ると胸がズキリと痛んだが、フェリシティには何か反応を示すことはできない。それがまたもどかしい。
「今日はゆっくりできるから、どうしようか。アンナ、君はどう思う?」
ウィリアムはフェリシティの世話係のアンナに何をした方が良いのか尋ねた。アンナが一番フェリシティの近くにいるからだろう。
しかし、フェリシティの心はざわざわとした。きっとそうだろうと思っても、なぜだか分からないけど、寂しくて辛くなってしまう。
昨日からフェリシティは変だ。
まだウィリアムの本心も分からないのに、こんな感情を持つのは先が思いやられる。
「私のような者の意見ではございますが、近頃はボールで遊ぶことを好まれておいでです」
「ボール遊びか……。うん、そうだね。今日は一緒に遊ぼうか」
さっきまで沈んでいた心が一気に浮上する。ウィリアムがフェリシティと一緒にいると考えるだけで気分が高揚する。
(こんなんではいけない……! 今後のためにもウィリアム様とは離れなければ!)
その日、フェリシティは朝食を食べた後、すぐに自室に戻ってしまった。そして、ウィリアムから離れるように隠れた。
もちろん、すぐに見つけられたのだが、悲しそうな顔をさせてしまった。
(そんな顔をさせたくないのに……)
ウィリアムのそのような顔を見ると、こちらまで悲しくなる。逆にウィリアムが楽しそうだとこちらも嬉しい。
なぜだろうか。
その答えは何なのか、まだ分からない。




