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死神さん、肉を喰らう





商店街の肉屋で5キロ近くの肉を買い自宅へと戻った。


「朝陽、準備をしててくれ」

「りょうかーい」


夜一はキッチンに向かいサラダとコーンスープを作る。

ドレッシングは某高級焼肉屋のタレを夜一が独自ブレンドで作り出したものだ。


「お兄ちゃん、食にはこだわるよね」


朝陽はテーブルの上にホットプレートを置きおひつのご飯を茶碗に盛った。

夜一は一枚のステーキ肉を焼き始める。

あえて下味は付けていない肉本来の味を味わう為である。

片面が焼けたら裏返し一口大にカットする。


「朝陽食べていいぞ」

「いただきまーす! まずは何も付けないで……柔らかくてジューシーで美味しいよ! 流石、シャトーブリアン今までの肉と違う!」

「それはいつものステーキ肉だぞ」


笑いを堪えながら夜一が言う。

顔が真っ赤になる朝陽を見て堪えられなくなった夜一が爆笑する。


「むぅ…」


頬を膨らませて怒る朝陽に新しく焼いた肉を与える。


「コレがシャトーブリアンな」

「本当に? ……うまっ」

「コレは本気で美味いな…味付けなしでこれとは」


そして時間は経ち朝陽はお腹をさすりながら満足していた。

打って変わって夜一はひたすら肉を食べていた。


「お兄ちゃん、滅茶苦茶食べるのに全然肉付かないよね? 物凄く羨ましいんですけどー」

「俺からすればすこしでも良いから肉を付けたい」


実際、夜一は痩せの大食いで5キロの肉の殆どを1人で食い尽くしている。

無論、毎日のプロテインや筋トレなどもするが一切の効果が出ず正直、諦めている節もある。


「一度、病院行って見ようよ」

「無駄だろ母さんだって無理だったんだぞ」

「んーそれ言われたらこの話お終いになっちゃうじゃん」


兄妹の母親は鏑木真理亜(かぶらぎまりあ)と言いユニークスキル【聖女】【再生魔法】などを持つ世界でも名の知れた人物なのだ。

ネットなどで配信された為、世界では現代に現れた聖母として有名であり朝陽もそのビジュアルの良さから世界中で有名になった。

夜一は丁度不在だった為、その存在は知られていない。


「しかし、朝陽が完全な前衛職だとはな」

「お兄ちゃんと毎日訓練してたからかなぁ?」


朝陽は夜一とともに色々な武術の動画を見て2人で訓練していたことを思う。

それと同時に夜一に勝負で1度も勝った事がないことも思い出す。


「お兄ちゃん、明日、勝負しよ!」

「なんだ急にまあ良いが」


夜一はホットプレートに最後の肉を焼く。

それを一口大にカットしお櫃に残ったご飯をホットプレートに放り込み。

そこにニンニクソースを掛け焼き飯にしていく。

ぐぅと可愛らしい腹の音が朝陽から聞こえた。


「この匂いはズルい」


そう言いながらパクパク食べる朝陽と夜一。


「「ご馳走様でした」」


2人は片付けをしお茶を呑む。

そこで夜一が口を開いた。


「朝陽はダン専希望か?」

「そうだね、明日には願書だしてくるよー。 なに興味出てきた?」

「いや、興味は無いがダン専に受かったら一人暮らしになるなって」

「なに?なに? 朝陽ちゃんが居なくなるのがそんなに寂しいのかなぁ? お兄ちゃん、シスコンだったんだねぇー」

「いや、それはない。 心配なのは寮か一人暮らしだろ? 全部、俺にさせてるお前に一人暮らし無理だろ」


朝陽は予想外の返答に戸惑っていた。

家事は夜一におんぶに抱っこ状態だったからだ。


「お兄ちゃん、一緒に行こう! コレで解決!」

「してないからな。 俺は通信制高校に入学決まってるから」

「えっ、嘘!? いつ」

「1ヶ月前かな、母さんの許可も取ったし。 と、言うかお前にも説明したはずだぞ」


「はぁ」と夜一が溜息をつく。

そして理由を説明する。


「俺は、15歳だけど実質5歳だろ? まぁ、母さんの過保護が出てな…妥協して父親?の知らない実家から通信制高校になった訳だ」


夜一には10歳以前の記憶がない。

理由は父親から受けた暴力がキッカケだった。

ダンジョン攻略者には貢献ポイントと言うランク制度がある、その日夜一達の父親は後輩にランクを抜かれてイライラしていた。

そんな時、足を怪我をした朝陽をおぶった夜一が帰ってきたのだ。

怪我自体は朝陽自身に責任があるが父親は八つ当たりの捌け口が欲しかったのだろう朝陽を母親に預けた後に外に呼ばれ顔面を殴られたのだ。

その威力は、コンクリートの壁を突き破るほど威力。

母親が必死に回復して一命を取り留めたが意識不明の重体。


それがキッカケで両親は離婚。

父親はダンジョン法により逮捕、懲役刑に。

親権は母親である真理亜の元に。

一週間程、経って目覚めた夜一はまるで赤子のように言葉すらおぼつかない状態であった。

そして今、新たに学び直し、


「朝陽より賢くなった。 以上」

「なんか馬鹿にされた気がするんですけど! 実質、お姉さんなんだからね」

「ほう、明日から家事はお願いするよ。 お姉さん」

「いや、まだ妹の方がいいな…」

「お前、マジで大丈夫か?」

「だいじょばないかも………」


夜一のため息と共に夜は更けて行くのであった。




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