得点王争い
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四月だった。
リーグ戦の残り節数が一桁になっていた。
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## The Athletic(英語)
「得点王争い――ロメロが独走、ハーランドとの差は広がるか」
第三十節終了時点、アストン・ヴィラのニコラス・ロメロは29ゴール。マンチェスター・シティのアーリング・ハーランドは25ゴール。差は4点。
二月時点では1点差だった。その差が、この二ヶ月で開いた。
理由は明確だった。ヴィラが首位を走り続けている。首位チームのワントップにボールが集まっている。それだけだった。
ハーランドの得点ペース自体は落ちていない。ただ、ロメロがそれ以上のペースで取り続けている。
残り8節。逆転の可能性はゼロではない。しかし、現実的には難しい。
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シティのトレーニンググラウンドだった。
ハーランドはシュート練習を終えて、水を飲んでいた。
スマートフォンを開いた。得点ランキングを確認した。
ロメロ、29。自分、25。
4点差だった。
ハーランドはスマートフォンを閉じた。
縮められない差ではなかった。でも縮めるためには、ロメロが止まる必要があった。
今季のロメロは止まっていなかった。
ヴィラが勝ち続けている分、ロメロにゴールが集まっていた。チームが強いから個人の数字も伸びる。そういう仕組みだった。
自分のゴールの取り方はシンプルだった。エリア内に入る。ボールが来る。蹴る。それだけだった。
ロメロのやり方は違った。声を出して、チームを動かして、そのスペースでボールをもらう。複雑なプロセスを経てゴールを取っていた。
今季はそのプロセスが、去年より一段速くなっていた。
チームメイトが来た。「4点か」
「知ってる」
「追えるか」
「追う」ハーランドは言った。「でもロメロが止まらないと難しい」
「珍しいな。お前がそういうことを言うのは」
ハーランドは少し間を置いた。「今季のロメロは本物だ」
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ヴィラパークだった。
練習後、ニコラスはスマートフォンを見た。
ゾーイからメッセージが来ていた。
「第30節終了時点、29ゴール。ハーランドは25。差は4点です。残り8節、このペースで問題ありません」
ニコラスは返信しなかった。
29ゴールだった。
あと一本で三十ゴールだった。
でも三十ゴールが目標ではなかった。
得点王が目標だった。ヴィラの優勝が目標だった。
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第三十三節が終わった。
ニコラスは三十二ゴールになっていた。ハーランドは二十七ゴールだった。
差は五点になった。
The Athleticが記事を出した。「ロメロ、得点王はほぼ確実」
ゾーイからメッセージが来た。
「32ゴール。ハーランドとの差5点。残り5節。得点王、ほぼ確定です」
ニコラスは返信しなかった。
ほぼ、ではなかった。
まだ終わっていなかった。
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第三十六節が終わった。
ニコラスは三十四ゴールだった。ハーランドは二十九ゴールだった。
差は五点のままだった。
残り二節だった。
ニコラスはその数字を見た。
一年目、ハーランドに二点差で逃した。二年目も届かなかった。三年目も届かなかった。
今季、届く。
手の甲のライオンを見た。
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