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沈黙のストライカー  作者: ムーミンの丸焼き
アストン・ヴィラ4年目

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ユナイテッド――追い上げ


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三月、アーセナル戦が終わった。


三対〇だった。


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試合後、記者会見でアーセナルの監督が言った。「今日のユナイテッドは別のチームだった。中盤の制圧が完璧だった」


翌朝のスポーツ紙の見出しはこうだった。


「セント・クレア覚醒——アーセナルを完封」


別の見出しはこうだった。


「ユナイテッド、上位争いに本格参入」


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四月に入った。


ユナイテッドは連勝を続けていた。


ウォルバーハンプトン戦、二対〇。ブライトン戦、三対一。ニューカッスル戦、一対〇。


毎試合、アリスターが試合を動かした。毎試合、誰かが声を出した。毎試合、誰かがゴールを決めた。


同じ選手が決めるわけではなかった。でも毎試合、誰かが決めた。


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順位表が動いていた。


二月初旬、ユナイテッドは四位だった。首位との差は七点だった。


三月末、三位になった。差は五点になった。


四月中旬、二位になった。差は三点になった。


四月下旬、差は一点になった。


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ロッカールームの雰囲気が変わっていた。


練習後、選手が残るようになっていた。自分から残って、ボールを蹴っていた。


トム・ペリーが「今日のクロス、もう少しタイミング早くできた」と言いながらエヴァンスを呼んだ。エヴァンスが「あの場面、もう一歩前に出れた」と言いながらコーンを並べた。


コーチが帰った後もグラウンドに残っていた。


誰に言われたわけでもなかった。


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メディアが騒ぎ始めていた。


「ユナイテッド、まさかの優勝争い」


「セント・クレア、今季のベストMFか」


「傷病者続出から始まったシーズンが、まさかの展開に」


サポーターがスタジアムの外に集まるようになっていた。練習を見に来た。選手を待った。


オールド・トラフォードのチケットが完売するまでの時間が、以前より短くなっていた。


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四月下旬だった。


ユナイテッドは二位だった。首位との差は一点だった。


残り五節だった。


試合後のロッカールームだった。


選手たちが着替えながら、誰かが順位表を声に出して読み上げた。


「一点差だ」


ロッカールームが静かになった。


トム・ペリーが「取れる」と言った。


コリンズが「取りに行こう」と言った。


デイヴィスが「残り五節、全部勝てばいい」と言った。


マグワイアが立ち上がった。「十一月を覚えてるか」


誰も何も言わなかった。


「怪我人が続出して、誰もいなくなった夜だった。あのロッカールームから、ここまで来た」


ブルーノが言った。「取りに行くぞ」


返事は言葉じゃなかった。


ロッカールームの空気が変わった。それだけだった。


アリスターは順位表を閉じた。


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