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ストーンイーターの巣穴は想定より深い理由があった

 洞窟の入り口……直ぐ魔獣が奥に見えた。


 ……これは一度ニチリカを呼んで……って、それはダメか。俺よりも深刻な人の補助をするべきだろう。そうなると、あとレベル上げが必要な人で〈アナライズ〉のスキル持ちは……。


 ……〈マーク〉。


 とりあえずチャクラムに〈マーク〉して壁に突き立てようとして諦める。……この壁、土じゃなくて石か……鍾乳石? あまり石に詳しくないが白い石に心当たりがあまりなく、適当に思いついた石の名が浮かんだ。


 仕方なく、まだ入り口だった事もあって外に出て、適当にそこら辺の木に突き立てた。


「エスパフ……《孤独の楽園(リターン・ホーム)》」


「オッケー♪」


 船に戻って連れて行くメンバーを選別する。


「サクリさん、どうしてここに?」


「アオッチ、一緒に戦闘行ける?」


「……う、うん。大丈夫……」


 俺達が何をしているかは把握しているので、アオランレイアを拉致。


 続けてネオンも連れ出す。アオランレイアは多少抵抗があったようだけど文句は言わなかった。それとメグルーナも連れて行く。


 ……彼女達が経験値を稼ぐチャンスなのだから、無駄にはしない。


 とりあえず3人を連れて俺に触れて貰って〈リコール〉で戻る。


「じゃあ、行こう」


 ニチリカにリンクして貰おうか悩んだけれど止めた。コボルドが加わる事に拒否反応を示す連中が多いから。


「……魔獣サンドビートル。全属性の魔法耐性があってリンクするみたいです」


 リンク……敵の反応で言うところのリンクとは同族が攻撃された場合、攻撃してきた敵に攻撃をする習性の事。それをネオンに日本語で伝える。


 ネオンも戦闘をするために妖魔モードに姿を変えて臨戦態勢に入っている。


 他は見学。……これは事前打ち合わせ通りだった。


「ネオン、1匹ずつね」


 頷くと彼女はサンドビートルに攻撃をする。


 俺はメディスを呼んで、ダメージを負ったら彼女の回復を指示する。攻撃も少しだけサポートしてネオンがサンドビートルを倒すと、1匹倒しただけなのに彼女のレベルが上昇した。




 やはりコボルドでも、ちゃんと育成すると強くなる。ゲームではできない良い実験だったとは思う。……言葉にしたら表現は悪いけれど、いろんな学びになった。


 コボルドが弱い理由。戦略SRPGにおいて『数の暴力』は他のジャンルに比べるとかなり有効で、低レベル時の敵役として最適だからだ。


 簡単に倒せて、油断すると倒される……その上で全滅する程の脅威ではない。本当に最適な敵だろう。


 でも、ちゃんとステータスを育成してあげれば同じスキルでも命中率も威力も変わる。行動にちゃんと作戦を用意し、サポートも用意すればコボルドも戦力に成長する。


「メグチ、ストーンイーターを任せて良い? 物理無効で風属性が弱点なんだけど」


「うん。……来て、スケルトンウィッチ“ドロシー”」


 奥にいるストーンイーターを発見し、彼女はこの前の“アリス”ではなく“ドロシー”というスケルトンを呼ぶ。


「ドロシー、〈エボリューション〉!」


 アリスと同じように肉が付いて行くが、そんなドロシーの身体に包帯が巻かれていく。


「ストーンイーターへ風属性魔法攻撃して、マミーウィッチ“ドロシー”」


 ドロシーの攻撃魔法はストーンイーターの甲羅の間、頭や尾、手足のある付け根に攻撃されていて、確実に倒していく。


 ネオンもサンドビートルを上手に攻撃できるようになっていた。


「それにしても深いな……」


「そうですね」


 ただの魔獣の巣にしては深い。もっと浅い洞窟を想像していたのだが……。何より不思議なのは、ストーンイーターは名の通りに石を食べる。サンドビートルは砂や土を掘る性質があるんだけど、この外壁はストーンイーターが食べない白い石。


「ねぇ、アオッチ。この白い石ってなんだか判る?」


「それ、硝石です」


 ……鍾乳石じゃなかった……。ストーンイーターは硝石を食べないのか。……あれ? 硝石ってこうやって自然に存在する石だったっけ?


 石に疎いのだから考えても無駄と直ぐに思考を切り替える。


「ドロシー、〈エボリューション〉!」


 再びメグルーナがスキルを使用する。


 包帯の面積が減り、隙間から人のような肌や髪が覗き見えた。


「数が増えたわ。頑張って、レブナントウィッチ“ドロシー”」


 ……レブナントか……実際には初めて見た……。


 レブナント……マミーの上位種のアンデッド。『竜騎幻想』では見た事あるけれど、実物は少し露出の多めなマミーという印象だった。


 割と洞窟の奥でも風属性攻撃魔法を連発する。魔導書は無いが風の無い場所で撃っているのだから【魔術士】系列の魔法なのだろう。


 ネオンもレベル1だったのに気付けば7にまで成長していた。




 奥へ行けば行くほど魔獣の数は減る。


 サンドビートルはノンアクだし、ストーンイーターはサンドビートルを捕食対象とは見ていない。うっかりぶつかって戦闘が始まれば多分サンドビートルが勝つだろう。


 ストーンイーターの数が減っているのは食料である石が無いからだろう。でも、サンドビートルがいない理由は推測も難しかった。


「結構奥まで来ましたね」


 ランタンを掲げながらアオランレイアが不安そうに話し掛けてくる。


「何処まで続いているんだろう?」


 若干下り気味である事は気付いていたが、ちょっと深いというレベルではない気がする。


「……止まって下さい」


 アオランレイアの言葉に俺とメグルーナが止まる。そして、直ぐにネオンにも伝える。


「どしたの?」


「……来ます!」


 ……?!


 地面から大きな魔獣が姿を現し、反射的にドロシーが攻撃魔法を放つ。


「……魔獣シェルスプリッター。物理と魔法それぞれ耐性あり。レベルは7。それなりに強敵です」


 ……それなりに強敵。そういう言い回しと言う事は、1対1では勝つことが難しいという事。


 魔獣シェルスプリッターは、モグラの魔獣である。ただ、背や手足には鎧のような外骨格が発達している。アルマジロのように見えなくもないが……いや、モグラのようなアルマジロなのか? よく判らない。


「ドロシー、〈エボリューション〉!」


 3度目の〈エボリューション〉。ドロシーに巻かれていた包帯が消えていく。病的にまで白い肌、幼い顔立ちに大きな銀色の瞳。そして踝まである白い髪がサラサラと流れ落ちる。新たに黒いローブを身に纏い、杖を手に握っている。


「リッチウィッチ“ドロシー”、シェルスプリッターを倒して!」


「えぇ、安心して待っていて」


 相変わらず魔導書を持っていないが、彼女はスラスラと呪文を高速で詠唱する。


「《闇を裂く光弾(ダーク・ティアー)》!」


「えいっ!」


 ドロシーの攻撃で致命傷を与えたが……ネオンの爪による一撃がトドメになってしまった。




「……あっ……」


 思わず声に出してしまった。


 一応検証はしたけれど、体感なので推測という前提で、『竜騎幻想』の仕様ではトドメを刺したユニットには多めの経験値が入る。……俺は現実でもその仕様が生きていると思っている。


 でも、これはこの世界に生きる人々にとっては一般的ではない仕様である。


 だから、メグルーナは気にしていないし、前世の記憶があるとはいえ、7歳じゃ『竜騎幻想』なんて知らないだろうと推測できるネオン。だから、単純にチャンスだから攻撃したって感じなのだろう……そして経験値を取り損ねたメグルーナも気にしていないなら……俺から何も言う事は無い……。


 成人しているのだからコボルドとして16歳相当の経験は積んでいると思うんだけど……コボルドだから正直判らない。人と同じとも思えないしね。


「先に行きましょうか?」


 ドロシーが魔石を抜いたのを見てメグルーナが俺に指示を求めた。


 暫く歩く。途中で分岐していて一方は砂漠に繋がっていた。でも、もう一方は見覚えのある遺跡に繋がっていた。


「……ここは?」


 アオランレイアが周囲を見回している。でも、他の2人も好奇心丸出しでソワソワしている。変わらないのは俺と……ドロシーか。


「俺の勘が正しいなら……」


 適当に歩いて行く。罠なんて無い。……経験から判断しているので油断はしている。それでも大丈夫と根拠なく思っていた。


「やっぱりね」


 小さな宝箱を開ける。……やっぱり『土竜晶』が中に入っていた。そして、ヌンチャク……と呼ぶには妙に鎖が長い藍色の双棍が転がっていた。……もう無駄な抵抗なので、拾い上げる。


[種族確認……適正確認……思考同期成功。これにより所有権が正式にユニット名『サクリウス=サイファリオ』へ移行されました。適応を開始します。個体名を変更して下さい]


 あまりにも予想通りの展開に、内心「誘導されたな……」とは思っていた。




 ……名前、どうするかな……双棍……ヌンチャク……トンファー……ポカモガン……鉄爪鎚……うーん……。


「名前は『ミカコラプス』」


[名称変更を確認。今、この時より名称を“藍旋の双棍” ミカコラプスに変更されます。よろしいですか?]


「はい」


 神器の双棍を入手して……全員の視線が俺に突き刺さっている。事情を説明しながら来た道を戻る。神器を持てないのを確認させたり、いずれオートマタになる事などを説明したりしつつ洞窟を出る。


[そっちはどう?]


 ニチリカに状況を確認する。


[今、ユーマオロ王子達の手によってストーンイーターを倒しまして、これから魔石を抜くところです]


 ……まぁ、あっちは死闘だっただろうからな……。


[一応、巣の数が結構あった事を報告してほしい。協力が必要ならチーム総出で近辺の掃除をしても構わないとも]


[わかりました]


 ……もう少し時間掛かるか。


 周囲を散策し、他の巣穴を主にネオンに探して貰う。レベルクラウンに到達した彼女は嬉しいのか尻尾が動き過ぎて止まらない。


 ネオンの様子を見て、ギリギリまで合流を先延ばして彼女の帰還までの時間を引き延ばした。




 アダマスオーロ王国からの正式な要請として本格的に採石場付近の魔獣討伐を請け負う事になった。……ぶっちゃけ、レベル上げにはとても都合が良かった。


 奥には間欠泉や超高温の湯溜まりがあったり……国内に存在していたら温泉で賑わいそうだと思いつつも、近くにあった檸檬水晶を回収したり、必要な石材を入手したりして、他にも貴重な素材を入手しつつ経験値を稼ぐことができた。


 ……檸檬水晶って硫黄だよな? 硝石もあったし……火薬を作れないか?


 魔法が発達しているから誰も作らないけれど……いや、もしかして……。


 ふと、ここまで普通に魔獣を避けて来られていたのだとしたら……今回の採石場の魔獣って、絶対ミカコラプスの封印解除されたのが原因じゃね?


 帰りながら思いついてしまったが……説明の事を考えて、思いつかなかった事にした。

読んで頂きありがとうございました。

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何卒よろしくお願いします。

尚、5日間連続投稿2日目+本日中にあと1回投稿します!

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