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フラグ立て目的の戦闘、クエスト『闇夜の襲撃者』

「あら、真っ暗だったのに起きていらしたの?」


 そう言いながら彼女は室内に入って来た。


「何者ですか?」


「護衛の騎士様が傍にいるからなのか強気ですね? わたしは事前に殺害予告を出させて貰ったミューディアと申します、お嬢様。用件はお判りですよね?」


 そう話している間に1人、また1人と部屋に人が入って来る。全身黒い装備の連中が。


 彼女をベッドから立たせて背後に庇いながら少しずつ下がる。


「無駄ですよ。彼は凄く強い……返り討ちにされるだけです。もう諦めなさい」


「貴女を庇いながら戦う騎士1人。我々は7人います。勝てるわけがないでしょう?」


 いや、多分素で戦っても勝てるだろう……でも、今は彼女達をなるべく部屋の中に引き込む事が目的。


 他の6人がナイフを抜き近づいて来るタイミング。


 パタパタン!


 勢いよくバルコニー側の窓が閉ざされる。もちろん、俺の〈サイコキネシス〉で。


 音に気を取られて俺達から視線を外し、後ろを振り向いた瞬間。


 ……〈リコール〉。


 俺とサチカーラを予め〈マーク〉していた扉の向こう側へ移動する。それを合図に打ち合わせ通りにカナディアラが部屋へ入って行く。


「《木精の叩尾(スリープ・グレネード)》!」


 カナディアラの放った魔法はダメージを与える事はできないものの、睡眠の副効果を与える木属性範囲魔法だ。そして、放った場所は密室で効果は抜群。……だと思ったんだけど。


 効果は瞬間発動なので放った瞬間サチカーラを除く4人で突入する。6人は予定通りだったのだが、流石にミューディアだけは耐えていた。




「これはやられた……」


 思わずミューディアが驚く。


 ……まぁ、普通潜入した矢先に背後の窓が一斉に閉まるなんて事はできないわけで。


「どうやったかは知らないけれど、わたしが全員倒せば良いだけ」


 わざと正面に立った俺に対し攻撃を仕掛けるが、わざとギリギリで避ける。


「3人は俺がミューディアを相手している間に仕留めて。……捕らえようとは思わない事。縛っても抜ける。縛ろうとして隙を見て反撃される。だから迷わず殺す。相手は殺し屋。改心する事はない」


 ……こんな感じで事前に説明してある。


 既に対人戦の経験があるカナディアラとアヤカシアは眠っている敵に対し無慈悲に命を奪う。それは相手が殺し屋なので起きたら自分が危険な事を重々承知しているからだ。


 だが、マナティルカだけは動けずにいた。


「あの、やっぱり捕らえませんか?」


「無理だよ。リーダーのおかげで一方的に見えるけれど、まともに戦ったらわたし達は簡単に殺されるからね? 起き上がったら人質にされてリーダーの足を引っ張る事になる可能性が高い事を忘れないで」


 マナティルカの弱気な提案をカナディアラはキッパリと否定する。


「ですよね」


 そう言うと、彼女は渋々だが銃を構える。


 仲間になったタイミングでマナティルカは弓から銃に武器を変更させていた。理由は彼女の進化条件だ。……仲間にした時点でレベル9だったので間に合うかどうかは謎だけど、しないよりは良いはず。


 ボシュっ!


 銃から高速で放たれた弾丸は、敵ユニットの眉間を撃ち抜いた。その瞬間、彼女は思わず視線を逸らして表情を歪ませる。


「頑張ったね。あともう1体だよ」


 身長差的に姉を褒める大人びた妹だな……と思いつつ、カナディアラに次を促されていた。




 時間は《木精の叩尾》を放った直後まで戻る。


 マナティルカが人を殺す事に葛藤している時、俺はミューディアを相手していた。


「……わたしが素直にトドメを刺させると思う?」


「思わない」


 彼女の問いに簡潔に答える。


 実際、《木精の叩尾》の副効果である睡眠は、声を掛けた程度では起きない熟睡状態ではあるのだが、流石に身体に叩く等の衝撃があれば目覚める。それは一般常識の話。


 ミューディアが寝ている奴に近づいて蹴りでも入れれば目が覚める。手分けすれば阻止する手間も倍になり、難易度も上がる。だから、絶対に起こさせてはいけない。


 スッと彼女が横に動くが、ピタッと動きが止まった。


 彼女を止めたのは俺の手足では無くて、白いチャクラム。薄暗い部屋でも目立つ色のチャクラムだ。もちろん、全力で回転し行く手を塞いでいる。


「……これ、どういった仕掛け?」


「種も仕掛けもございません」


「フフッ、面白い」


 今度は跳ぶように反対側へ移動するが、その先にもチャクラムが浮いている。


「……むぅ、それズルくない?」


「いやいや。その手に握られているナイフに塗られている毒よりはズルくないですよ」


「あら、バレてたの?」


「……おっ、当たりか」


「むぅ」


 会話のトーンは、ただの男女のじゃれ合いのように聞こえるかもしれないが、かなり神経をすり減らしている……少なくとも俺は。




 ミューディアは起こす事を諦めたのか、それとも牽制の意味なのかは判らないが直接攻撃をしてきた。しかし、その攻撃は当たらない。俺本体は回避に専念していて、攻撃は〈サイコキネシス〉によるチャクラムの攻撃なので、ミューディアは常に全方向からの攻撃に備えているはず。……だけど、彼女はだんだんイライラし始めた。


「あのぉ、お兄さん。やる気あります?」


「当然無いよ。可愛い女の子を傷つける趣味ないし」


 そう答えると、彼女はクスッと笑う。


「じゃあ、お願い♪ わたしの邪魔は止めて。ね?」


「それもゴメン。こんな可愛い女の子に人殺しを好んでやらせる気がないんだよな」


 ……ミューディアを説得するコツ。それは彼女の容姿をけなさない事。


 『竜騎幻想』でのミューディアの説得は、こちらの台詞が三択になっていて選ぶ内容で好感度が変わったんだよな。だが、リアルにはそんなもんはない。それに俺が【剣の乙女】なわけでもないので、全部アレンジを加えていた。


「それは困っちゃうなっと!」


 渾身の突き。わりと殺気の籠った一撃だったが、その刃先は俺に届かない。


「もう、何度も攻撃しているのに一度も当たらないなんてある?」


「無茶言わない。当たったら死んじゃうじゃん」


 ミスったら死ぬけれども、幸い避けるのに余裕があった。


「リーダー、お待たせ! 任務完了したよ」


 ユキサーラとサヤカレットが戻って来たのを確認して、ようやく説得本番を開始する。




「さて、君を見張っていた連中も始末した。だから今は1人だよ。だから話をしよう」


「……進路も退路も塞いで話って、選択権ないでしょ?」


「そうとも言う」


 ……できるだけ話を重くしないように、罪の意識を植え付けないように。


「はぁ……それで?」


「その前に……」


 〈サイコキネシス〉で毒を塗った短剣と内ポケットに入っている自害用の毒薬を没収する。


「なっ、それはダメ!」


「ダメじゃない。絶対死なせない」


「……何でよ?」


 ……最後の台詞はちゃんと憶えている。


「もう君を誰かに利用させたりしない。殺し屋を辞めさせて、俺だけのモノにする」


「なっ? えっ?! ……えーっと……そのぉ……少しだけ時間頂戴? その代わり……今回の依頼人、フレアレント家の双子の兄よ。近々会う予定だったのでしょ?」


 殺し屋として絶対禁句の依頼主の名を告げた彼女。俺はその名に心当たりが無かった。




 戦闘も一段落して。彼女の言った事が事実である事を証明するため、サチカーラも連れて来て、ミューディアは遠隔通話の魔道具を使って依頼主に連絡を取る。


 魔道具を起動すると立体映像が現れる。それはサチカーラと婚約予定の男なのだという。


「フレアレント様。依頼についての報告で連絡しました」


「ちゃんと始末したんだろうな?」


「失敗しちゃったので逃げます。お疲れ様でした♪」


「ついでにわたしからも。……貴方と結婚できません。ですから婚約はお断りします!」


 そう言って、一方的にサチカーラは魔道具を停止させた。

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