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ある男の叫び(0章-2)
地獄の底で
封印が解け 目覚めた者が天に手を掲げた
それと同じ頃に
夜空を見上げ 空に手を伸ばした男が居た
男は届かぬ物を求めるかの様に空を見つめ そして何かを呟いた
それは無きものを求める戯言にも
失ったものを取り戻す祈りにも
ただ意味のない行為にも見える
そして呟き終わると男はまた歩み始めた
ただ先へ ただ先へ
道に沿って歩き続ける
男が何処へ向かうのかは誰も分からない
だがその一歩一歩には確かな生命の輝きが見える
一歩 また一歩 男は何かを求めて歩き続ける
そして丘に上がった
男は丘の上から叫ぶ様に言った
「さあ! この星々の様に美しい物語を紡ごうではないか!」
その時
歯車は動き出した
なにかを感じたかの様に それは物語の始まりを告げる
男は丘を降り 丘から太陽が見える
一日の始まりだ




