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霊事警察 ~霊が見える刑事と、霊が怖すぎる刑事が挑む怪事件~  作者: 星乃渚(旧:鈴片ひかり)


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GORYOU

警視庁には、表に出ない部署が存在する。

様々な凶悪事件に対し霊的アプローチを用いた捜査を行う――刑事部 霊事課 通称 霊事警察。

捜査一課の刑事・八神恭史郎は、ある日、霊が見える刑事「本条ひなた」とコンビを組まされる。

だが八神は、極度の怖がりだった。

人面犬事件、猟奇殺人、犯罪組織の暗躍

そして都市の闇で進む謎の薬物実験。

人間の犯罪と怪異が交差する事件に、凸凹コンビの捜査が始まる。


 ※ この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。

 2本の柱に固定された八神とひなたを見て、にやりと不気味な笑みを浮かべる久世。


 天井には星座を模した夜空が描かれ天窓があり、呪術的空閑としてかなりの念の入れようだった。


 「彼の名がは天城。君もあの本条家の出なら聞いたことぐらいあるだろう?」

 

 正面の柱に縛られた八神と目が合う。

 「天城漣。

 日本でも有数の霊能力者、呪術者、呪禁道師、呪詛しと呼ばれる男。

 死んだと思われていたけど、ちゃんと裏で隠れてゴキブリみたいにコソコソカサカサしてたのね。なるほどあの呪詛シールはあんたが作ったものなのか」


 「正解だ。君は優れた霊能力者だよ、そしてへらず口では私は君に勝てないだろうね」

 「この計画の骨子、儀式を全て取り仕切ったのは天城君だ。

 彼が全て準備したのだよこの計画を」

 

 八神がやけに落ち着いた声で問う。

 「随分と話したそうにしてるから聞いてやるよ、その計画って何だ?」


 「よくぞ聞いてくれた。

 八神君、君は御霊《ごりょう》信仰というものを聞いたことがあるかな?」


 久世は刀を手にしながら近づいてくる。


 「御霊? 菅原道真公が祟ったから学問の神として祀ったってあれか?」

 「まさか!」


 ひなたが何かに気づく。

 「そのお嬢さんは気づいたようだね。

 そう、御霊神とは祟り神、祟るほどの強力な力を持つ存在、怨霊とも言う。


 それを祀ることによって時間をかけて神として敬い信仰することになった。


 だから考えたのだ。

 

 我々の手で、御霊神を誕生させてしまえばいいとね」


 「狂ってるわ!」


 「何を言う?

 狂っていると、我々が?


 正気で神を作ることなどできるものか!


 奪われた妻と娘。そう私は妻と娘を殺された。

 突然押し入った男たちに犯されぬいて、最後に殺された。


 だから私は全力で良い弁護士をつけてやり、心神喪失状態と診断させ数年でシャバへ出てこれるようにしむけた。金の力を使ってな。


 そして捕まえた奴らを、拷問し生きながら地獄を味合わせてやった。

 最後には、自ら殺してくださいと 懇願していたよ」


 「……」

 「そして私は天城君と出会い、御霊神と成り得る素体、いや魂を見付けた。

 それが戸河里だ」


 久世は泣いていた。

 「戸河里が、その人にとって大切なモノを奪うシリアルキラーならば、


 贄として大切なものを奪い捧げ、その御利益をもらうのだ。


 そして妻と娘を復活させる。それこそが私たちが辿り着いた。


 人工御霊神計画」


 八神はやけに納得がいってしまっていた。

 ならばこれぐらいのことはするだろう。

 その覚悟があってこいつらは過程として犯罪を行っているとのだと。


 「そんなことのために、あの娘たちを!」

 「そのためのSAFE そのためのスカイリング! 


 御大層なお題目を用意すれば皆すがりついて媚びてくる。

 実にやりやすかったよ。

 

 戸河里様の魂を定着させるためのN-β薬の開発と、霊魂憑依促進のために悪霊を呼ぶ呪詛シール。

 これらは思わぬ副産物を我々にもたらしてはくれたがね!

 そしてこれらを嗅ぎ付けここまでたどり着いた君たち。

 将門公の妨害がこういった形で結実しようとは。

 だが! そろそろか、主様!」


 奥の観音開きの扉から現れたのは、白装束を身に着けたあの若い男だった。

 『じゃあさっそく! 痛めつけてから、どこを切り落とそうかなぁ~


 あぎゃぎゃぎゃぎゃ~きひぃいいいいいいいい!』


 「主様が果たすべきは未完の犯行を成就なさしめること」


 『分かってんだよ、黙って儀式の準備でもしてろ!』

 「おおせのままに」


 「一つ質問いいか? B5用紙」


 『強がってないと漏らしそうなほど怖いんだろうな。いいぞ言ってみろ』

 「お前の名前はなんだ? 主人格のほうな。

 解離性同一性障害なんだろ? 主人格出て来いよ 名前ぐらい名乗れるだろう?」


 「…… たかみや 鷹宮 つかさ」


 さっきまでのおっさん臭い声ではなく、透き通った少年のような声が聴こえる。

 『ちっまだ出てこられたのかよめんどくせえ』


 「鷹宮はどうして3人を殺した? どうやって死体を遺棄した? 俺はお前のことが知りたい鷹宮つかさ!」


 「引っ込んでろ! ぐっ…… 気づいたら、僕は 指をたくさん持っていた。


 そしたらスーツの人達が女の人を袋に詰めて運んでいった」


 「そうか、よく話してくれたな鷹宮君。俺は君を逮捕する」


 『ぐっ! うおおおおおおおお! 黙ってろぼけがあああ! よしもう決めた、さっさと殺しでえええええええ! 

 この体ともおさらばしてやるぜえええええ!』


 戸河里こと鷹宮が向かってきたのは八神に対してだ。

 「俺は全力で守る! 全力で俺の命と体を守る!」

 「ん? は?」

 一瞬、戸河里鷹宮がきょとんとし、そして八神はひなたを見る。

 「俺は生き延びたいから、殺すならあっちのぶちきれ女を先にお願いします!」

 

 「「「「え?」」」

 戸河里鷹宮 久世、傭兵男、そして護衛の部下たち、ひなたまでが驚きの声をあげた。

 「ずっとだよ、ずっとこいつに脅かされて、びびらされて、いっつもラーメン奢らされてよ、びくびくしながら生きてきたんだよ。

 まったく辛かった。

 だったらせめて本条が先でよくね?」


 「おいこら! お前まじでぶっころすぞごらぁ!」

 「おい、鷹宮か本条か分からないような台詞は吐くな、みんなが困ってるだろ」

 「奢らされたとかいちいち数え取ったんか? だるいのう己は」


 「8回も奢らされたんだぞ!」

 「意外と多いな……」

 思わず部下が呟いた。


 「でしょ? そうやって関西弁でまくしたてていじめるしさ、だからあっち先でよろ」 

 

 「何をわめいているか! 時間稼ぎされてると気づかないのか?」


 大声で一喝したのは久世だった。

 『ちっやっぱりそうか。じゃあお望み通りにその女のどこがいいかな、女ならおっぱい、乳房から抉っていくか』


 「おい、やめろ!」

 思わず八神が叫ぶ。


 戸河里鷹宮はひなたのワイシャツのボタンを、丁寧に外していく。


 3つ目まで外したところで『おや? あれ? お前 胸ないのか ごぎゃっ!』


 その瞬間、ひなたが戸河里鷹宮に盛大な頭突きを食らわせていた。

 『こ、このあまぁ!』

 「胸ない言うたかわれ?」

 『え?』

 「胸ない言うたな? 生きて帰れると思うなよ」


 「主様! 惑わされてはいけません! 今こそ本懐を! 八神を殺すのです!」


 『お、おう、お前は後でじっくり解体してやるから待っとけ、くそ鼻血止まらねえぞ』


 戸河里鷹宮が八神に特殊形状のナイフを向ける。

 「まずは片目から抉りだしておくか」


 「了解だ。これ以上は無理だ」


 『は? 何言ってやがーる?』

 八神が小声でぼそっと呟き、戸河里鷹宮がナイフを振りかぶった時だった。

お読みいただきありがとうございました。


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