↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊事警察 ~霊が見える刑事と、霊が怖すぎる刑事が挑む怪事件~  作者: 星乃渚(旧:鈴片ひかり)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/43

御堂家

警視庁には、表に出ない部署が存在する。

様々な凶悪事件に対し霊的アプローチを用いた捜査を行う――刑事部 霊事課 通称 霊事警察。

捜査一課の刑事・八神恭史郎は、ある日、霊が見える刑事「本条ひなた」とコンビを組まされる。

だが八神は、極度の怖がりだった。

人面犬事件、猟奇殺人、犯罪組織の暗躍

そして都市の闇で進む謎の薬物実験。

人間の犯罪と怪異が交差する事件に、凸凹コンビの捜査が始まる。


 ※ この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。

 ◇


 本条ひなたが向かったのは目黒区柿の木坂にある高級住宅街。


 官僚が好んで住むエリアらしく、周辺環境も非常に整っているエリアでもある。

 そんな住宅街にある新築の一軒家。


 大豪邸という印象はないが、庭が広く駐車場もしっかりとガレージがありシックで落ち着いた造りの戸建て住宅だ。

 見る人が見れば、良い建材を使った高級住宅であることは一目瞭然だろう。

 庭には花壇があり季節の花が植えられている。

 玄関回りも綺麗に清掃されており、落ち着いて知的で上品な家族構成が想像できる。


 タクシーでやってきたひなたは、外観をまず確認する。

 たしかに嫌な気配はする。

 だが、土地的にいわくのある雰囲気はない。樹里がいればデータベースから昔の古地図を参照してもらい処刑場や墓地、寺の跡などを確認できるがここはそういった感覚をひなたが感じない落ち着いた土地、という印象が強い。

 近くの神社へ挨拶をしてみたが、よく手入れされ地域の人々からも大切にされているのが分かる。


 御堂家で感じる嫌な気配の正体が分かれば対処法はある。

 官僚かどうかは関係なく、ただ縁で相談にのる、そんな心構えでひなたはチャイムを押した。

 既に連絡が行ったのであろう、すぐに妻である御堂麻衣子が玄関を開けてくれた。


 見るからに上品な奥さんで年相応の美人である。

「警視庁 情報支援室から来ました 本条ひなたです」

 ひなたは警察手帳を提示して身元を明らかにする。

「わざわざありがとうございます。警察の方が来てくださるなんて、あのどうぞお上がりください」


 思わずひなたは「わぁすごい」と声に出した。

 玄関は明るく日が差しこみ、埃ひとつ落ちていない。清掃が行き届いている。


「本条さんどうぞ」


 奥のリビングにあるテーブルソファも一目見ただけで高級品ではあるが、上品で落ち着いた品だ。


「失礼します」と言って腰を降ろすも、想像以上に腰が沈み込んで座り心地が良いので思わず、おおと感動の声をあげてしまう。


「あの、今お茶を」

「いえお構いなく。それよりもこの家で起こっている現象について、教えてください」

 ひなたがメモ帳を取り出し、聞く姿勢を取ったが御堂麻衣子はお茶だけでもとすぐに用意してくれる。

 おいしい緑茶で、「うわあこれおいしいですねぇ」 

「紹介してもらった知覧のお茶で、みなさんおいしいって言ってくれるんです」

 皆が喜んでくれることがうれしいようで、御堂麻衣子は笑顔が零れている。


「では、どういったことでお困りか、何でも話してください。秘密は厳守しますので」


「はい、あの率直にお話することが一番かと思いますので、私が感じたというかあったことを……


 引っ越してから一週間ほどは何事もなく荷ほどきとかでてんてこ舞でした。

 ですが夜中になると、廊下を誰かが歩く音が、こう小さくぺたぺたというかひたひたというか。


 すると子供たちが、うちには長男で10歳になる 悠馬と、7歳になる 美咲 がおります。

 その子たちが仲良く遊んでいるんですが、遊んでいる声に違和感があるんです。

 もう一人いるような話し方というか。


 それからさらに一週間したころから、主人が夜遅く帰って食事をしていると何か呻き声のようなものが聴こえる。どこかの家でホラー映画でも見ているのかって怒っていたのですが。


 私にも聞こえたんです……それが家の中で。


 そして喉が渇いて夜中に飲み物を取りに来ると、その冷蔵庫の中から異音が……その誰かの話し声が聴こえて。


 何か良くない家なのではないかと不安になっていたのですが、今度は夜中に壁を叩くような音で起こされ、主人も家鳴りだろうと言っていましたが子供たちが怯えてしまい。


 そして二階の窓ガラスをノックされ始めた時から私が何もないところで足を掴まれるようなことが日に何度か……」


 御堂麻衣子が視線を下に移したので、追随すると靴下の下から湿布とテーピングが見えている。

 主人も体調を崩し、薬を飲んでもあまり体調が戻らず。


 私も頭痛が収まらなくなって。


 そして一昨日……家全体に響くような呻き声と、家全体が軋むような音が聴こえたとおもったら、私と主人の2人が金縛りにあって、その体の上に誰かが乗っているんです、それが怖くて怖くて」


 さすがに恐怖体験を改めて振り返ったことで涙ぐんでいる。


 ひなたには不思議だった。

 何か良くない霊が憑りついているのであれば、ひなたにはそれは見える、つまり認識できるのだが御堂麻衣子には嫌な念が少しこびりついてはいるが、霊体が憑りついている気配はないのだ。


「少しお家の中を見せてもらってもよいですか?」

「はい」


 ひなたは御堂家の庭から確認を始めた。

 新居ということでゴミや放置された資材もなく、物置にも違和感はない。


 そして家の中をくまなく歩きまわる。

 玄関からリビング、ダイニング、仏壇、神棚、そして一番大事な水回り。


 外に井戸があった形跡や感覚はなかったので、特に念入りに水回りをチェックするがまだ一ヵ月ちょいとはいえ綺麗に清掃が行き届いている。


 そして子供たちの部屋。

「あれ、ここって」

 全体的に圧迫感のあった一階とは違い、長男悠馬君の部屋と長女美咲ちゃんの部屋は非常に居心地が良い。

 暖かささえ感じるような安心感がある。


 そしてひなたはさっと隠れる何かの存在を視認する。


 全体的に家に入り込んでいる。

 ひなたは周辺を歩いた時に強く感じたのは、この御堂家だけだった。


 家の建材によくないものが使われている? といっても大手住宅メーカーのモデルの一つのようであるし、そうなれば建材一つとっても指定業者が加工した物を使用するはず。


 そこでひなたは特に嫌な気配がした場所をを念入りに調べることにした。

 玄関、そして廊下、そしてリビング。


 そして夫妻の寝室。


 (以前どこかで感じたような嫌な気配に似てるんだよなあ どこだったか)


 その時、家の鍵を開け元気な声で帰ってきたのは子供たちだった。

「ただいまー!」が二つ。

 一つはかわいらしい男の子の声と、まだ幼さが残る女の子の声。


「あら、2人ともお帰りなさい」

「ママ―! おやつ~ってあれお客さん? こんにちは!」

「あ、綺麗なお姉さんだ こんにちは!」


 あまりにかわいらしい子供たちに思わずひなたは膝をついてこんにちはと目を合わせる。

 お母さんに似ていることもあってか、とてもかわいらしい。


「本条さんって刑事さんなの。今色々調べてくれてるのよ」

「えええええ! 刑事!? かっこいい! 警察手帳持ってるの? 見たい見たい!」

「けいじ?」


 美咲ちゃんはよく把握してないようだったが、ひなたが警察手帳を出すと飛びついてみている。

「かっちょいい!」

「お姉さんすごい!」

「いやいやそんなたいしたものでは」 

 子供たちに褒められるとやはりうれしいのか、ひなたは照れながら二人の頭を撫でる。 するとドアの向こうで何かがさっと隠れる。

 家族が揃い始めると動き出す感じなのかと、ひなたは長丁場になることを覚悟する。


 2人がおやつを食べ宿題に入ったところで、ひなたは麻衣子から家の見取り図を見せてもらうことにした。


「……鬼門、裏鬼門、トイレの位置は大丈夫そう。他には……」

お読みいただきありがとうございました。


よろしければブックマークや評価をいただけると、今後の執筆の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。