広宗を襲う賊徒の過去(序)
大賢良師が100人の兵と共に賊徒捕獲作戦に動き出している時、賊徒側にも動きがあった。
???「広宗の官吏どもが動いたか…。散々、我らから搾り取っておきながら、それを取り返したら今度は賊徒呼ばわりして討伐軍の派遣か…。広宗の地に恨みはないが朝廷の犬どもには反吐が出る…。全軍、迎え撃つ準備をせよ」
???「程遠志の兄貴に拾ってもらった恩を返すため先鋒はこの鄧茂にお任せを」
程遠志「うむ。頼りにしているぞ鄧茂」
鄧茂「はっ!」
今でこそ広宗の地で商人から積荷を奪う盗賊のようなことをしている程遠志と鄧茂であるが、元々は青州にある大興山の麓にある村で、田畑を耕す農民であった。
龔景と言う朝廷から派遣された青州刺史が赴任するまでは、貧しくとも慎ましやかな生活が送れていた。
程遠志「広宗の官吏は優秀だと聞く…俺が住む青州刺史がクズでなければ、こんなことをせずとも済んだのだがな」
鄧茂「兄貴、またあの時のことを思い出してるので?」
程遠志「忘れられるはずもなかろう…朝廷の連中が腐ってると理解した日なのだからな」
程遠志は瞳を閉じて過去を思い出す。
村長「おぉ程遠志よ。性が出るのぉ」
程遠志「村長様。いえ、俺なんてまだまだです。もっと働いてこの地にいる皆んなの暮らしを良くしてやりたい。その一心で、ただガムシャラに働いてるだけですから」
村長「うむうむ。それでこそ、ワシの将来の娘婿じゃ」
程遠志「や、やめてくださいよ。まだ、結婚の返事を保留されてる段階なんですから」
村長「ふむ。そうなのか。はて?あやつも将来の娘婿殿のことを好いておるはずなのじゃがなぁ」
程遠志「俺は、ずっと待つつもりです。その場で断られなかっただけでも脈はあると思ってますから」
村長「ホッホッホ。ワシからもそれとなく返事を保留しておったら、将来の娘婿殿が何処かの泥棒猫に取られるぞと言っておいてやるわい」
程遠志「や、やめてくださいよ。俺はアイツ一筋ですから」
村長「ホッホッホ。ん?アレは朝廷の馬車じゃな?やれやれ、行ってくるわい」
程遠志「畑のことはお任せください」
村長「うむ。それではの将来の娘婿殿」
程遠志が畑を耕す中、村長は朝廷から派遣されてきた龔景と言う青州刺史と家の中で話をしていた。
村長「そ、それは話が違いますぞい!」
龔景「やれやれ、これだから田舎者は嫌なのですよ。今、納めている税が都よりも少ないから上げると言ってるだけの話ですよ」
村長「だから、そのようなことをされては、ワシらの生活ですらままならぬと」
龔景「それが何か?あぁ、生活が苦しいのでしたらそちらの可愛いお嬢さんを売ることをオススメ致しますよ」
村長「む、娘には結婚を控えた相手がおりまする」
龔景「ならば、期日内にこれだけの税をお納め頂ければこちらは何も問題はありませんよ。あぁ、そうそう。ここは田舎の割には女性の質は良い。いっそのこと、娼館でも開いた方が儲かるのではありませんかな。コッコッコ」
村長「ば、馬鹿にしないで頂きたい!女性の尊厳を傷付けるような発言、こちらも看過できませぬぞ!このようなことを続けていれば、いつか帝様は後悔することになりますとお伝えくだされ!」
龔景「それは帝様に害を為すという発言に近いですねぇ。まぁ、今は見逃してあげますよ。それでは、3日後、この地で暮らしたいのならきちんと税をお納めくださいね。田舎者の村長殿。コーコッコッコッ」
青州刺史に新たに赴任した龔景は前任の青州刺史の3倍もの税を要求したのである。
そして、それが無理な場合、村長の娘や村の年若い娘を宦官を名乗る去勢してない変態どもや官僚どもの接待要員として、青州の州治所である斉国臨菑県へ連れて行くと言うのだ。
村長「あぁ、ワシはどうすれば良いんじゃ。例え、今回は払えたとしても…次は払えぬ。覚悟を決めて、一致団結して乱を起こすしか…。」
村長の娘「お父様」
その晩のこと村長の娘は村の年若い女たちを集めた。
年若い女A「そんな…。てもそんな高い税、父も何れきっと払えなくなる。兄たちだって、身体を壊してしまう」
年若い女B「村長様の娘の環希様が私たちを集められてこんな話をしたのは、私たちに選ばせるためよね…。」
年若い女C「それって。この地の皆んなと共に抗うか。この地のみんなを守るために新しい青州刺史に付いて行き、身を売るかってこと?」
年若い女D「それ以外、何があるってのよ!貴方たちは父や兄を捨てて逃げられるの?無理でしょ!私たちに選択なんてないのよ!これは環希様が私たちに覚悟を求めてるのよ!自らの心を殺す覚悟をね」
環希「申し訳ありません」
年若い女E「そんな頭を上げてください。それに1番辛いのは環希様じゃない。大好きな人に添い遂げられないのだから」
環希「彼とはまだそんな関係ではありません。でも、今となってはそれで良かったと思います。真面目な彼に、これから身が穢れる私は相応しくありませんから」
年若い女F「環希様は既に覚悟を込められているのね。なら、私たちも父や兄を守るため決断するべきでしょう」
1人また1人と環希に追随することを決める。
そして、環希は青州刺史が3日だけ滞在するこの村で1番大きな家の戸を叩いた。
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