喧騒で目が覚める
借金取りが寺に訪れた翌日、何やら外が騒がしい。
程遠志「ここに大賢良師様が捕まってるのは分かってんだ!テメェら、とっとと出てこねぇとこんな扉蹴破ってやるぞ!」
鄧茂「大賢良師様、無事っすか?無事なら返事をしてくださいっす!」
管亥「2人とも脅すような言い方はやめてください。この寺は既に広宗の兵が包囲しました。速やかに張角様を返してください」
孤児院の子A「お、お兄ちゃんを野蛮人たちに渡しないもん!」
孤児院の子B「そうだ!そうだ!美味しいご飯作ってくれるんだぞ!野蛮人たちに渡すもんか!」
孤児院の子C「野蛮人なんて、怖くないやい!」
孤児院の子D「お兄ちゃんのことを守るの!」
王脩「双方とも大騒ぎはやめてください。外の人、聞こえますか?張角殿の御知り合いですか?」
管亥「はい。広宗で兵を指揮する将の1人で管亥と申します。そちらは?」
王脩「そうでしたか。この孤児院に預けられている王脩と申します。張角殿は昨日、私たちのために色々と助けてくださり、まだお眠り中です。宜しければ中でお待ちください」
管亥「てっきり張角様が攫われたと勘違いし、騒がしくして申し訳ない。まだお眠り中ならここで待たせてもらいますので、お気になさらず」
王脩「わかりました。張角殿が起きたら皆様がお越しであることをお伝えします」
管亥「重ね重ね感謝申し上げます」
ふむ…これはどうやら俺のせいのようだ。
張角『当然であろう。聞き込みの最中に孤児院を訪れ、そのまま何も告げずに一泊すれば誰でも誘拐されたか何か事件に巻き込まれたと思うであろう』
俺のイマジナリーフレンドもこう言っているので、今度からはきちんと伝えることにしよう。
良師「ふわぁ〜よく寝た。何やら外が騒がしいようだけど何かあったのかい?」
孤児院の子A「あ!張角お兄ちゃんだ。だ、大丈夫、野蛮人たちが騒いでたけど私たち張角お兄ちゃんを渡さないように頑張ったもん」
孤児院の子B「おぅ!だから張角兄ちゃん、今日も肉が食べたいぞ!」
孤児院の子C「でも、まだ外に野蛮人たち居るよ。王脩くんが何か難しい言葉で話してたけど」
孤児院の子D「すごく怖かった」
おぉ、よしよし。
子供を怖がらせるなんて悪い奴らだ。
後で俺が…。
張角『お前のせいで、怒れる立場でないことを忘れておるのではあるまいな?』
ギクッ。
忘れてたわけじゃない。
子供を怖がらせたことに憤りを感じただけで。
張角『誰が中にいるかも分からないのにか?強い口調になったとしても非難される謂れは無いと思うがのぉ』
ギクッ。
分かってる!
わかってるよ!
俺が全部悪いんだろ!
張角『分かっていれば良い。お前は少し、己の命を軽く考えるのをやめた方が良かろう』
反省してます。
良師「皆、うちの兵士さんが騒がしくしちゃってごめんね。どうやら僕が皆んなに拉致されたと思っちゃったみたい」
孤児院の子A「ええええ!あの野蛮人たち、張角お兄ちゃんの知り合いなの!?」
孤児院の子B「もう今にも扉、壊されそうな勢いの野蛮人だったぜ?本当に張角兄ちゃんの知り合いなのか?」
王脩「一応、お聞きしますが。管亥と名乗って居ましたが、お間違えないですか?」
良師「うん。僕の村の衛兵隊長さんだよ。王脩くんに対応させちゃってごめんね。少し話をしてくるよ」
王脩「わかりました」
俺が扉を開けて外に出る。
程遠志「うおおおおお。大賢良師様ーよくぞよくぞご無事で。帰ってきたならこんな寺、破壊しちまえ鄧茂!」
鄧茂「合点承知っす」
管亥「やめろ脳筋。張角様、お泊りになられるのでしたら一言かけてくださいませんと心配してしまいます」
良師「悪かったな管亥」
管亥「いえ、王脩殿から昨日色々あったと聞きましたが」
良師「簡単に説明するとだな。ここ身寄りの無くなった子供たちを預かってる孤児院なんだけどな。どうも金回りが良くなくて、子供達に食べさせていくために建物を担保に金を借りたらしい」
管亥「成程…借金取りですか」
良師「あぁ、それでな管亥。うちの村で子供10人と寺の住職に住んでもらうことにした。空きはまだあったよな?」
管亥「えぇ。それは全然、大丈夫です。子供だからですか?」
良師「ん?」
管亥「いえ、張角様は何処か子供に弱いところがありますから」
良師「否定はできないな。子供は国の宝だからな」
管亥「成程…分かりました。そちらの護衛は…張饒」
張饒「お呼びでしょうか管亥隊長」
管亥「この張饒、私よりも年上ですが指揮に優れる者で、私の隊で副隊長を務めて居ます。この機会に張角様に御挨拶を」
張饒「張饒と申します。張角様に御目通りができて、大変嬉しく思います。それで、管亥隊長?まさか張角様と挨拶をするためだけに呼んだわけでは無いですよね?」
管亥「この通り勘も鋭く危機察知にも優れている男です。子供たちの護衛を任せられるかと」
張饒「子供の護衛ですか…是非俺にお任せください!」
良師「では、張饒。子供たち10人と大人1人、合わせて11人の護衛をお願いできるか?」
張饒「かしこまりました。管亥隊長、兵を50人借りますが良いですよね?子供は好奇心旺盛で、倍以上の人の目で見守りたいので」
管亥「この通り、大の子供好きでもありまして」
良師「そういう男の方が任せられる。全員無事に村に届けてくれ」
張饒「はっ!お任せを」
どうやら子供たちのことはこれで何とかなりそうだ。
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