新しい仲間と噂について
俺が手を合わせて何かを呟いたのを見て、何人かの子供が真似をしていた。
住職「先程、手を合わされてご馳走様と言って居られましたがアレには何か意味が?」
良師「昔からの癖で申し訳ない。大地の恵みと命に感謝して、手を合わせるようにしているのです」
住職「そう言えば、食べる前にも手を合わせていただきますとおっしゃって居られましたな。成程、とても良い。今度から子供たちにもそうさせるとしましょう。大地の恵みと命に感謝ですか…良い響きです」
王脩「僕にお話があるとのことでしたね。今からで良ければ…」
ドンドンドン!
ドンドンドン!
取り立て屋A「住職さんよぉ!居るのはわかってんだぞ!」
取り立て屋B「さっさと出てこいや!」
ドンドンドン!
ドンドンドン!
住職「少し、失礼します」
良師「アレは?」
住職「お恥ずかしい話ですが子供たちを食べさせて行くにはお金が足りない時もありましてな」
三国志の時代に借金取りなんて居たんだな。
張角『そりゃおるじゃろ。金という概念がある以上、貸し借りという概念は生まれる。そして、この住職派恐らくこの寺を担保に金を借りておる。払えないとなると追い出されよう。そうなれば子供たち共々行き場が無くなってしまうのぉ。ほれ、この者をスカウトしたかったのであろう?ちょうど良いではないか。この寺を借金取りどもにくれてやるだけで、優秀な人材を確保できる機会じゃぞ』
確かに、それは一理あるな。
住職「子供たちが寝ている時間はやめてくださいと申したはず」
借金取りA「んな事は関係ねぇんだよ。借りた金、返すのは常識だよなぁ!」
住職「わかっておる。わかっておるが今は手元に金が無い」
借金取りA「なら利息分だけで勘弁しといてやるよ」
住職「これで」
借金取りB「確かに。なぁ住職さんよぉ〜。前もその前よ同じ事を言ってたよなぁ?これは近々差し押さえが必要だなぁ?そしたら、オメェら一気に路頭に迷うぞ。そしたら大変だなぁ。これだけのガキを伴って、金もない奴を受け入れてくれるところなんてねぇぞ?」
良師「俺なら受け入れよう。俺は広宗の東の開拓を任されている張角と申す者だ。今日は、この地に不正が無いか都の役人たちと調べにきていたのだが、さっきから聞いていると利息だの何だと今まで住職が借りた金額とお前たちに支払った金額を照らし合わせても構わないのだが?」
借金取りA「チッ。役人が居たのかよ。そうならそうと言えよな。住職さんよ。また役人のいない時にでも来るわ」
良師「その必要はない。住職、こんなところこのクズどもにくれてやれば良い。俺が貴方たちまとめて面倒を見てやろう」
住職「し、しかし」
孤児院の子A「それって、お兄ちゃんに付いて行ったら毎日美味しいご飯が食べられるの?」
孤児院の子B「肉も?肉も食えるのか?」
孤児院の子C「そこには住職先生もいるんだよね?」
孤児院の子D「この子は要らないとか無い?」
良師「そんなことしない。みんな一緒で俺が自立できるようになるまで面倒を見てやる」
王脩「住職先生、悩む必要はないかと。このような好条件で、買って下さる人、他にいませんよ」
住職「そうじゃな。よーく聞け、このクソ借金取りども!この家なんてお前らにくれてやる!だからもう二度とその汚い面を見せるんじゃねぇ!」
借金取りA「い、いや。その俺たちは今まで通り利息さえ払ってもらえれば」
借金取りB「こ、こんな家貰ったところで何の価値も」
良師「ここを担保に貸したんならここをお前らに渡せば借金は無しだよな?嫌だっていうんなら都にこのこと報告しても」
借金取りA「わ、わかった!そ、それで良い!」
借金取りB「都に報告されるのは困る」
良師「じゃあ、これで終わりで良いな?」
借金取りA「も、勿論です!」
借金取りB「か、完済。ありがとうございましたー!」
良師「それと今日はもう遅い、出て行くのは明日以降で良いよな?」
借金取りA「も、勿論です」
借金取りB「俺たちも今日は帰りますー!」
と借金取りたちが一目散に逃げて行った。
住職「助かりましたぞ張角殿。しかし、急いで荷造りをしないといけませんな」
孤児院の子A「私たちお兄ちゃんの所に住んで良いの?」
良師「あぁ。みんなさえ良ければ、ちょうど俺1人で住民に読み書きを教えるのにも限界がきていたし、住職先生にも手伝ってもらえれば」
住職「それぐらいお安い御用です領主様」
良師「ゴホン。これから領民として宜しく頼む」
王脩「盛り上がっているところすみませんが僕に聞きたいことがあったのでは?」
良師「そ、そうであった。女と子供だけの村が何処にあるか知りたくてな」
王脩「正確な場所までは分かりません。ですが、ここより遠く無いところに噂の村があるのは確かだと思います。森で遊んでいるといつの間にか仲間に加わってくる見知らぬ子供たちが居ますので」
良師「明日以降、案内してもらう事はできるか?」
王脩「えぇ、森へ引率するついでで宜しければ」
良師「宜しく頼む」
王脩「ですがどうして、その村に固執するのです?」
良師「うちの村で生活している者たちの元家族かもしれないのだ。あ!虐待や暴力とかでは無い。村に押し入った山賊に強引に連れて行かれ、生き残った者たちが俺の村に身を寄せていてな。その者たちの家族なら合わせてやりたいと。まぁ、そんなところだ」
王脩「そうですか。会えると良いですね」
良師「そうだな」
こうして、俺はこの孤児院で1夜を明かして…何だか朝から外が騒がしいなと目を覚ますのだった。
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