探せども探せども見つからず
山賊の根城の調査を続ける大賢良師たちは、5つに枝分かれした広い場所の真ん中の洞窟の先を調べていた。
管亥「おえっ」
管亥が吐きたくなるのも無理はない。
どうやらここがやり部屋と見て間違いない。
辺りには、白いものが洞窟のシミのように残っている。
所々には赤いものも混じっていて、従わない女に対して、暴力を振るって無理矢理言うことを聞かせた形跡もある。
出血量から見て、軽微なものが多い事から殴られて血を吐いたと判断した。
程遠志「今すぐ、龔景の首を引っこ抜いてやらぁ!」
鄧茂「程遠志の兄貴の供をするっす!」
良師「待て待て待て。どうしてそうなる?これを命じたのは龔景ではない。寧ろ、その点で言えばアイツも山賊どもの風評被害を受けた被害者と言える。罰する相手を間違えてはならん。それに、龔景は今は袁紹殿の管理下にある。お前たちが暴れれば、それは俺の責任となることを理解せよ」
程遠志「ぐぬぬ…大恩ある大賢良師様に御迷惑をかけるわけには…」
鄧茂「でも許さないっすよ!こんな、こんなことって…ここで命を絶たれた奴もいるってことっすよね!」
確かに、俺も残っている出血量からして死に直面するほどではなく、殴られたか…若しくは処女の線を疑ったのだが…程遠志や鄧茂からすると残ったこの出血量でも命を絶ったと考えるのか。
張角『そりゃそうじゃろ。この時代に出血量の有無で、死んだ死んでないとは普通はわからんからな。だから、ほれ。お前さんの世界でも死んでるか確かめるために転がってる奴らに槍を突き刺し回った話とかもあろう?』
俺のイマジナリーフレンドの言う通り、そんな話を何処かで見た気はする…。
成程な。
良師「憤る気持ちはわかる。だが、その気持ちは山賊どもを見つけた時に取っておけ。良いな?」
鄧茂「大賢良師様…わかったっす。今は我慢するっす」
程遠志「俺も我慢する」
しかし、この部屋の主は、相当趣味が悪い。
手足を固定する紐に蝋。
声を出さないように縛る布。
現代でいうSMプレイが好きな変態といったところか。
だが、実際にここで行われていたのはそんな生易しいものではないだろう。
人権のない性処理の人間に対して行われていたのだから。
良師「さて、こんな部屋からはとっとと出て、次を調べるとしよう」
ここが1番酷いとこの時は思っていた。
もっと酷いものをこれから見ることになろうとは…。
来た道を戻った大賢良師たちは、左から数えて2番目の洞窟の先へと進んだ。
管亥「おえっ。ゲホッ!ゴホッ!」
管亥だけじゃなく、皆の口から吐瀉物が吐き出される。
良師「これは酷すぎる…」
俺も思わず呟くほどこの部屋は、混沌としていた。
大量の白いシミから見て、ここが山賊どもの乱交部屋…さっきの部屋の方がまだマシと呼べるぐらい悲惨なものがあった。
赤黒く変色した短剣。
両手両足を限界まで引っ張って固定させていたかのような紐の配置。
壁一面に広がる赤黒いもの。
これで吐かないやつはなかなかの精神の持ち主と言える。
程遠志「おえっ。大賢良師様は、よく耐えられますね」
良師「ん?」
そう言えばそうだな。
俺は精神は強い方では無いはずだが…。
うっ。
またか。
頭が割れるように痛い。
だから、何度も言わせるな!
遼も綾も死んでないと言ってるだろう!
何が思い出せだ!
胸糞悪いものばっかり見せやがって!
鄧茂「大賢良師様?」
良師「すまない。お前たちのように表に出ないだけで、心はだいぶすり減ってるようだ」
程遠志「だ、大丈夫ですか?」
良師「少し休めば楽になるだろう」
それにしてもそこら中に転がっている赤黒い剣が放置されている事からも証拠隠滅に優れた山賊ではないことは丸わかりだな。
寧ろ、ここまで物資を放置しているのを見ると…。
良師「慌てて逃げ出したように見える…夜逃げか?」
管亥「ゲホッ。ゴホッ。俺もそう思います。例え龔景が前もって知らせていたとしてもここまで証拠を残して居なくなることは無いかと」
良師「慌てて逃げるような出来事が起こったとしてだ。その痕跡が分からないのは不気味だな」
管亥「はい。別の山賊に襲われたのならもっといろんなところに血痕が残って居てもおかしくありません。ですが、もっとも血痕が多いのがここ」
良師「だが、ここで一戦あったような量か?」
管亥「乾いてしまって、残ってるのがこれだけだとしたらそれもあり得ますが…この部屋の意味合いからして考えにくいかと」
良師「だろうな」
流石にこの血はここに居た奴らがおもちゃ感覚で女性を弄び、その命をも弄んだ結果だろう。
良師「これ以上いたら気分がもっと悪くなる。お前たちも直ぐに出よ。最後の部屋を調べに行く」
皆が頷いて、ゾロゾロと外へと出て、戻ってくる。
そして1番左の洞窟の先を進む。
良師「1番綺麗だな」
管亥「はい。この綺麗さからして、ここが略奪された物資の集積場所や武器庫と考えて良いかと」
良師「それが丸々残っている…か」
管亥「食べ物は腐っていますが、急いで逃げるとしても獣のいる外へ防具や剣も持たずに逃げるとは思えません」
良師「ここまで凄惨なことを平気でできる者たちに一体何があったのであろうな」
鄧茂「母ちゃん…うぅ。母ちゃんは、もう」
良師「鄧茂、泣くなとは言わん。だが、希望は捨てるな。お前が希望を捨てなければ、生きている。そうであろう?」
鄧茂「うぅ…ぐすっ。ありがとうございます大賢良師様」
結論から言えば、山賊たちは着の身着のまま逃げ出し、女性たちの行方はわからない。
探せども探せども見つからないとはまさにこのことだな。
さて、次はどうしたものか…。
ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
少しでも楽しい・面白い・続きが見たいと思って頂けましたら、下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から評価してくださいますと執筆活動の励みとなります。
それでは、次回もお楽しみに〜




