大賢良師張角
大賢良師の意識が覚醒すると目の前に心配そうに大賢良師を覗き込む現世では寝たままのクリソツな弟と妹を抱きしめた。
張宝「かくにぃ、どったの?」
張梁「変なかくにぃ」
張角の父「悪い夢でも見たのか?」
張角の母「あらあら、2人とも愛されてるわね〜」
大賢良師が向こうで無くした幸せがここにある。
これらを守るために彼が取るべきことは…。
???『えーゴホン。感動の再会のところ邪魔をして悪いが我こそが大賢良師張角である!我が異名を名に持つものよ。我が導いてしんぜよう』
良師「うわぁ!?」
張宝「かくにぃが大きな声出したから耳がキーンってする」
張梁「耳、イッテェ!」
良師「すまない」
張角『どうした?我はお前の頭に直接話しかけている。そうだな…お前の世界の言葉で言うのならイマジナリーフレンドという存在とでも思ってくれ』
良師『そういうことは先に言え!』
張角『てっきり女神の奴から話を聞いているかと思ったが…』
良師『聞いてねぇよ!あのポンコツ女神が肝心なこと言うかよ!』
張角『ふむ。それもそうか』
良師『納得するのかよ!』
張角『まぁな。いくつもの枝分かれした世界を管理している尊き存在ゆえな。ポンコツとは呼んでくれるな』
良師『突っ込むのそこ!?』
張角『他に何かあったか?あぁ、向こうの世界では無くした大切な存在がこの世では目の前で消える可能性があることの確認か?』
良師『いや、何でこの世界の人物は大事なことを先に言わないんだよ!それにどういうことだよ!俺が家族を目の前で無くす可能性って?』
張角『その話をしようとしたところ、お前がチャチャを入れたのであろうが』
良師『チャチャじゃねぇよ!当然のツッコミだよ!』
張角『お前と漫才をしに来たわけでは無いが?』
良師『いや、お前俺の世界のこと詳しすぎだろ!』
張角『昔の歴史上の人物は皆、死ねばパーリーピーポーになるのだろう。かの有名な諸葛孔明とやらも』
良師『やめい!それは流石にまずい!しかもお前が死んでだいぶ先の人物だろ諸葛孔明は!』
張角『そうだが、それがどうした?何か問題があるか?』
良師『もうええわ!で、さっきの話だが、俺が家族を目の前で無くす可能性ってなんだ?』
張角『もう良いと言われても話を脱線してきたのはお前であろうに。まぁ良い。では、我が知るこれから3年後に起こる最悪の未来について、話をしよう。我が父は、安平郡の広宗県を治める官吏であった。父の治世は良く、民たちからも信頼されていた。それを都でぬくぬくと育った宦官どもがよく思わなくてな。信頼を失墜された上、濡れ衣を着せられて投獄の後獄中死、上の発表は罪に耐えきれなくなっての自殺としているが、不正を最も嫌う父が濡れ衣如きで自殺などするはずがない。一服盛られたのは間違いない。父が死んでからこの地は荒れてな。その全てが父のせいとされ、心労が祟って母も一年も持たずにこの世を去る。残された我と弟たちの未来は、お前の方が良く知るところであろう』
良師『張角の父については、記述が無くて。官吏だったなんて初めて知ったよ』
張角『歴史とはそういうものだ。善政を敷いたものですら後の世では悪政を敷いたことにされる。所詮、勝てば官軍負ければ賊軍なのだ』
良師『そうだな…。』
張角『どうした良師?先程の勢いが急激に無くなったが?』
良師『いや。俺は太平道で善政を敷こうと争ったお前が大好きだった。それこそ俺はお前の真似をして…そのなんだ』
張角『コスプレというのは良い。なりたいもの、憧れの存在にいっときだけでも近付けるのだ。お前の世界の言葉を分からないと思って俺に説明する必要はない。この世界の存在には、お前の世界のことはわからぬが一度死んだ俺は、既にパーリーピーポーゆえな』
良師『お、おぅ。この世界の人間の時だけ気を付ければ良いんだな?』
張角『あぁ』
良師『今、広宗県の治世は安定してるんだよな?』
張角『父は優秀な官吏ゆえな』
良師『でも3年後には、跡形もなくその功績は消されると…』
張角『朝廷の腐敗のせいでな』
良師『でもどれだけ朝廷が腐敗してようと暴利を貪ってるのは、宦官だろ?帝にどうにか話が通れば…』
張角『宦官の操り人形に何ができる?』
良師『帝は宦官の操り人形では無い。そうでなければ…』
張角『成程、お前は帝が操り人形だったのなら、我が死んだ後、十常侍が帝を害した理由が分からないと言いたいのだな?』
良師『あぁ。この世界の構図は、もっとシンプルで朝廷の勢力争いが肝だ。そこに…』
張角『痺れを切らした我が乱を起こしたことで、それに協力して当たらざるを得なくなったというわけか』
良師『うん…しかも張角が民のために乱を起こした波は色々な賊徒にも呼応していった』
張角『その結果、帝の側を離れることの多くなった帝の義父、何進』
良師『そうだよ!監視の少なくなった朝廷では、十常侍がコツコツと遅効性の毒を帝に盛り続け』
張角『我亡き後、帝も死んだということか』
良師『だから、俺たちが先ずやるべきは、この地のアピールを帝にすることだと思う』
張角『確かにそれが叶えば、父が謀殺されることはないか…』
良師『そうと決まれば!ここからの3年は内政に力を入れよう!』
張角『うむ。良いことだ民の暮らしが良くなることは我も喜ぶところ。この地の民は、最期まで我らに優しくしてくれたからな』
大賢良師は、張角のその言葉の中に眠る悲壮感を感じ取り、悲しい未来は来させない。
やるとしても勝ち戦にしてやると固く心に誓うのであった。
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