第1回、広宗東の森のケイドロ大会!
美味しい物を食べて満足し、眠る可愛い妹と弟の顔を覗き込む俺。
あぁ、見れば見るほど遼と綾にそっくりだ。
絶対にお前たちのことはお兄ちゃんが守ってやるからな。
俺が居なくなって遼と綾は元気にしてるだろうか?
俺が死んだことで身寄りも居なくなって施設に預けられて、虐めに遭っていたりしないだろうか?
こんな事を考えながら俺は眠りについた。
その頃、現世のとある病院では。
???『良師君が事故に遭って運ばれてきた』
柊木『そんな!どうして!どうして、婦長の家族みんながこんな目に』
???『トンネルの中で、ハンドル操作を誤って壁に突っ込んだらしい。警察の見立てでは自殺を試みたのではないかとのことだ』
柊木『それって、私たちが遼君と綾ちゃんのことで残酷なことを伝えたから?』
???『それも一つの可能性かも知れない。彼は、ここに遼君と綾ちゃんのお見舞いに来るたびに年齢が18歳だと言っていた。もう、あれから12年も経つというのに、彼の時間は止まったままだった。そして、1ヶ月程前に遼君と綾ちゃんの脳死を告げた』
柊木『自暴自棄になった良師君は、トンネルで壁に…でも1ヶ月も経って急に?』
???『それは僕にもわからない。彼に身寄りは居ない。どうしたいかは彼の親代わりをしていた婦長の君に任せるよ』
柊木『わかりました。1年間だけ、私に世話をさせてください。それで、意識が戻らなかったらその時は』
???『わかった。彼の入院費は僕が払おう。生前、彼のお父さんには大変お世話になったからね』
柊木『ありがとうございます』
変な夢を見た。
俺が事故に遭って病院に運ばれる夢だ。
確かに俺はトンネルの壁にぶつかったし、自殺なんてするはずがない。
それに遼も綾も死んでない。
可愛い弟と妹を残して自殺を考える奴が何処にいるのか教えてもらいたいぐらいだ。
あぁ、成程…これが俗に言う悪夢というやつか。
お陰様で凄く寝覚めが悪い。
今日は、俺が開拓を任されている広宗東の森で全員参加のケイドロ大会の日だというのに…。
まぁ、あんな夢のことなんて忘れて今日はせっかく領都から遊びに来てくれた可愛い弟と妹と目一杯楽しもう。
組み分けは…。
程遠志「いやいやいや、何で俺たち男連中が全員逃走者側なんすか!それなら大賢良師様もこっちでしょう!」
良師「なんだ?鬼側は女子供中心にしろって言うのか?それに管亥たちは、村の皆が範囲外に出ないように警備で参加できないのだぞ。十分そっち側有利だと思うが」
婦人たち「そうよそうよ!変わって欲しいぐらいよ!」
程鄧賊たち「程遠志のカシラ、これって俺らかかあたちに捕まえられるって事っすか?」
程遠志「あぁ」
婦人たち「旦那を捕まえたら好きにして良いんだよね大賢良師様?」
良師「いや、そういうルールではないが」
婦人たち「そろそろ2人目が欲しいと思ってたんだ。逃がさないから覚悟しなアンタたち!」
程鄧賊たち「いや、そりゃ俺たちもようやく落ち着いてきたし2人目が欲しいとは思ってるがよ」
鄧茂「いやいやいや、これは罠っす!どう考えても罠っす!こうやって、こちらの戦力を削る罠っすよ!」
ん?
これ、程鄧賊たち捕まったら牢屋ではなく愛の巣に連れて行かれて子作りさせられるのでは?
いやいやいや、ケイドロはそういう大人の遊びじゃねぇよ!
子供たちもいるんだから流石にこれは冗談だよな?
いや、鄧茂の言う通り作戦なのか?
荀彧「成程。始まる前から心理戦が始まってるのですね。奥が深い遊びですねケイドロとやらは」
いや、ただ鬼と逃げる側に分かれて、鬼ごっこするだけの簡単な遊びなんだが。
心理戦とかないが。
まぁ、鬼に捕まった仲間を解放するために何人かで陽動を仕掛けて隙を作ったりとかはあるか。
あれも心理戦と言えなくも無いのか。
張宝「よーし、角にぃと同じチームで、活躍して勝利チームの紅白饅頭をゲットするぞ!」
唐麟杏「おー!」
宝は荀彧の妻とめちゃくちゃ仲良くなって、今日も2人一緒に動くらしい。
張梁「何、難しく考えてんだよ荀彧!全員追いかけて捕まえりゃ良いんだ」
荀彧「いえ、効率的に捕まえるのなら策を弄するのが1番でしょう」
梁は荀彧と動く予定か?
というか戦術的な事話してるもしかして?
いやいや、そういう遊びじゃねぇよ!
なんか、色々誤解されてるけど大丈夫かな?
良師「それでは、第1回広宗東の森ケイドロ大会を始める!逃走者側が逃げ始めて1分後に鬼側は追跡を開始する。では、始め!」
一斉にあれ?
逃げ出さない者たちがいる…だと!?
あれは、確かさっき婦人たちに誘惑されてた程鄧賊たちの一部だよな。
まさか、そっち目的!?
子供もいるんだから日中にやめろっての!
婦人たち「ふっふっふ。アンタたち、騙されたね。子供もいるのにするわけないじゃ無いか」
程鄧賊たちの一部「な、なにぃ!?クッソー、今夜ぜってぇかかあたちをひぃひぃ言わせてやるからな!」
だから子供もいるんだからやめろっての!
というか程遠志、大丈夫かな。
開始と同時に半数も仲間を失うなんて。
程遠志「アイツら!何考えてんだ!この勝負には、大賢良師様の作った紅白饅頭とやらがかかってるんだぞ!大賢良師様が作られた紅白饅頭という甘美な響きのだぞ!美味しいに決まってるだろう!それをアイツら夜の誘惑に釣られよって!アイツらのことは見捨てる、皆もそれで良いな?」
鄧茂「それが妥当っす。残った俺たちで何とか逃げ勝つ方向で行くっすよ」
程鄧賊たちの一部「ヘイ!程遠志のカシラ!」
張宝「おじちゃんたちみっけ!あ!その場から動いちゃダメなんだよ。子供に見たかった大人は10秒間動けないんだ。みんな、やっちゃえ!」
程遠志「チックショー!全員で同じところに集まりすぎたぜ!」
まぁ、うん。
半分が罠にかかってたし。
流石、俺の可愛い妹!
直ぐに隠れてるのを見つけるなんて。
しかも子供たちを統率して、一網打尽だなんて…まぁ策を考えたのは荀彧だろうけど。
張宝「麟杏ちゃんの旦那さん凄いね!本当に一網打尽にできちゃった!これで、角にぃの作る紅白饅頭をゲットだよ!」
唐麟杏「やりましたわ!」
いや、荀彧の妻は、痩せるのが目的だったのでは?
まぁ、良いけど…というかこんなのケイドロじゃねぇ!
開始、1時間も経たずに150人全員が捕まるとか普通あり得ないんだわ!
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