暮らしの改革
これはまだ荀彧が大賢良師が開拓を任されている村へ訪れる少し前の話。
良師「子供たちが農業を手伝うようになって、思う事がある」
程遠志「本当に大賢良師様はすげぇ。子供たちが自主的に農業を手伝うように仕向けるだけじゃなくて、学のない俺たちに読み書きを教えてくれたり」
鄧茂「いや、程遠志の兄貴。大賢良師様と言葉が噛み合って無いっす」
程遠志「何言ってんだ鄧茂。大賢良師様はすげぇって話だろ?」
鄧茂「いや、大賢良師様は、思う事があると。いやもう良いっす。思う事って何っすか大賢良師様?」
良師「泥まみれの手を洗わずにそのまま収穫物を齧ったら病気に成るだろ!」
鄧茂「いや…そんな事っすか?俺たちにはコレが普通っすけど。この収穫した直後のみずみずしい野菜をそのまま食えるのが農家の特権といいますか」
良師「コレもこの村に水を引けていないからだ。良し!温泉を掘ろう!」
鄧茂「いやいやいや、何でそう成るんすか!?水を引くなら近くの山から水路とかでしょ!?それが何で温泉に?」
良師「えっ?俺が温泉に入りたいから。それに案外掘ったら湧く気がするんだよなぁ」
鄧茂「そんな簡単に温泉が沸いたら苦労しないっすよ!」
良師「よーし、掘るぞー!」
鄧茂「いや、話聞いてくださいっす!程遠志の兄貴も何とか言って…」
程遠志「大賢良師様が温泉を掘りたいそうだ!お前ら、掘るぞー」
鄧茂「まともなの俺だけっすか!?」
管亥「いや、俺も流石にこれは無謀だと思う。しかし、やる気になった張角様を止める事など」
鄧茂「それでも近衛っすか!?大賢良師様のことを諌めて欲しいっすよ!」
管亥「これまでの張角様を見てると何だかできそうな気が」
鄧茂「したらダメっす!くたびれて何の成果も得られないのが目に見えてるっすよ!」
鄧茂の叫びは大賢良師の耳に届くことはなく、温泉目掛けて掘り始めるだけだった。
何故、ここまで大賢良師を突き動かすのか。
それは、彼が日本という温泉大国に産まれたがゆえであり、清潔な身体と疲労回復に温泉が最も効果的だと考えているからである。
だが、そう簡単に温泉が湧くはずも…。
良師「お湯が出たぞー!」
張角『だから言ったであろう。俺の言う場所を掘れば源泉が出ると』
良師『いやあ。マジで感謝だぜ俺のイマジナリーフレンド!』
張角『いや、俺はイマジナリーフレンドでは…いやまぁ今の現状は似たようなものと言えるか』
鄧茂「いや…何で簡単に温泉見つけてんすか!?」
程遠志「まぁ、良いではないか鄧茂よ。お前もどうだ。ほれ、身体の芯から温まるぞ」
鄧茂「程遠志の兄貴、早すぎっすよ!?」
良師「あぁ、気持ち良い…極楽極楽」
管亥「鄧茂殿、どうなされた?入らぬのか?」
鄧茂「入るっすよ!というかしれっと管亥殿まで何入ってるんすか!」
管亥「いや、張角様の蕩けた顔を見ていたらつい…な。だが、これは確かに気持ち良い。これは毎日入れたら…」
鄧茂「流石に毎日は無理っすよ!仕事が手に付かなくなるっすよ!」
良師「いや、寧ろ仕事終わりの楽しみとして、広く民に親しまれるかも」
鄧茂「大賢良師様は、楽観的っすよ!温泉ぐらいで…はぁぁぁぁぁ。何すかコレ!気持ち良すぎっすよ!話でしか聞いたことなかったっすけど水浴びの何倍も気持ち良いっす!それに、アレだけ疲れてた身体が…これなら毎日入りたいっす!」
良師「いっそのこと男風呂と女風呂に分けて、中も綺麗に整えて、外から見えないようにプライバシーも考えて」
鄧茂「ぷらいばしー?って何すか!?どこの言葉っすか!」
張角『良師よ怪しまれておるぞ』
良師『うっ。またやっちまった。プライバシーの説明をしないと』
張角『それがよかろう』
良師「プライバシーってのは、遠い異国の言葉でな。私生活が他人によって曝け出されないように守る権利みたいなものだ」
鄧茂「ほええええ。ってことはっすよ。大賢良師様は、温泉を2つに分けて、囲いでも作るつもりって事っすか?」
良師「あぁ、そのつもりだ。異性の前で裸になりたくないだろ?」
鄧茂「た、確かにそれは恥ずかしいっす」
良師「山から流れる水を受け止める場所も別に考えて…村人たちが安心で安全な水を飲め、そして清潔な身体を保つ。これが最も効果的な疫病対策だ」
鄧茂「そこまで考えて大賢良師様は温泉掘ってたんっすか!?アッシの浅慮を殴ってやりたいっす」
管亥「ですが張角様、村人たちは今の生活が当たり前と思っております。仕事の終わりに温泉に浸かり、食事をする前は手を洗うようにするまでには、時間がかかるかと」
良師「確かに…一気に広がる方法でもあれば」
程遠志「それなら、夜間学校の時みたいに大々的に告知して、温泉を試してもらうのはどうですか?」
良師「程遠志、それ良い!採用!」
程遠志「ありがとうございます!大賢良師様の役に立てて、望外の喜び!」
鄧茂「でも、それだけだと夜間学校に通ってるアッシらには広がるっすけど、ご婦人方には伝わらないんじゃないっすか?」
良師「それなら何も問題ない。昼間はご婦人方や子供に読み書きを教えてるからな」
鄧茂「大賢良師様、いつ休んでるんすか!?ダメっすよ!大賢良師様に万が一のことあったらどうするんすか!」
良師「大丈夫だ。体力だけはあるからな」
鄧茂「いや、それが1番ヤバいんすよ!大賢良師様が休みを取れるようにしないとダメっす!」
良師「鄧茂が心配してくれるのは嬉しいがそれは追々な」
こうして、山から水路を引き、奇跡的に開拓している村で温泉が沸くなんて奇跡が続いたが、奇跡はこれだけに留まらずこの数週間後に大賢良師は、王佐の才と呼ばれる後の世界で超有名人を迎え入れるのである。
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