両親との別れ
沖縄から蜻蛉返りにも関わらず友人たちが俺に付き添ってくれて、深夜には宝角総合病院に着いた。
柊木「お待ちしておりました。こちらへ」
柊木さんは家族でもない俺の友人のことも一緒に病院の中へ招き入れてくれた。
普通はこういう時家族しか入れないのにな。
満成「俺たちはここで待ってるから、遼と綾のこと見てこいよ。大好きなお前の顔を見たらアイツらだってきっと目を覚ますだろ」
良師「あぁ。そうだよな。満成、皆んなもありがとな。行ってくる」
入った病室では、俺と12も歳の離れた双子の男女が全身火傷だったのだろう包帯でぐるぐる巻きの状態で、静かな呼吸音だけが聞こえていた。
柊木「良師さん、側で手を握って声をかけてあげてください。耳は聞こえていますから」
良師「はい」
俺の肩に優しく手を置いてくれる柊木さん。
良師「大変な時にいてやらなくてごめんな遼。綾。怖かったよなぁ。痛かったよなぁ。にぃちゃん帰ってきたからな。ずっとお前たちの側に居るから。頼むから目を覚ましてくれ。お願いだから」
今、反応が!?
良師「柊木さん、今手が」
柊木「えぇ!当直の賀田先生を呼んできます」
暫くして、賀田先生と呼ばれる人と柊木さんが一緒に入ってきた。
賀田「この度は災難だったね良師君。君のお父様とお母様とは同僚でね。親しくしていたんだ。助けてあげられなくてすまなかった」
良師「いえ。手を尽くしてくださりありがとうございました。遼と綾はどうでしょうか?」
賀田「残念だけど意識が戻っていることはないね。恐らく、ラザロ兆候の一種だろうね。でも、植物状態でも諦めちゃダメだよ。諦めずに呼びかけていれば、徐々に意識が…」
良師「えぇ。俺は遼と綾を諦めるつもりはありません。回復する見込みがあるのなら俺が働いてお金は用意します!だから、どうか先生も遼と綾のことを見捨てないで…ください。うぅ」
賀田「勿論だとも。一緒に頑張っていこう良師君」
???「家族の方が見えられたとお聞きしたのですが。すみません。面会中でしたよね。外で待ってます」
扉をノックして入って来たスーツを着た女性の人が俺の顔を見て、頭を下げて出て行った。
良師「今の人は?」
賀田「大賀夫妻の事件を担当してくれている刑事さんで、南刑事さんだよ。一応、僕たちが遺体が間違い無く大賢先生とその奥さんだと言ったんだけどね。良師君の確認も必要みたいで、遺体を見るのは辛いと思うけど確認してもらえるかな?」
良師「はい…。」
俺が外に出ると先程の刑事さんが友人たちに詰め寄られていた。
満成「で、良師の両親を殺した犯人は捕まえたのかよ!」
南「いえ、それはまだ」
元義「だったらやることがあるんじゃないのか?何故、今辛いアイツに両親の痛々しい姿を見せる必要があるんだ!確認は、病院の人たちがしてくれたのだろう?」
南「こちらもその事については大変心苦しいのですが、規定は規定でして」
葉切「南ちゃんだっけ?こんなこと言いたくないけどさ。ここの病院の人はさ。暗黙の了解で、規定破ってくれたよ。辛い思いをしてる良師ちゃんに付いてきた俺たちのこと家族でもないのに入れてくれたよ。なのにさ。南ちゃんはさ。良師ちゃんのことさらに苦しめようとするわけ?そんなの俺たちが許さないよ」
南「本当にすみません。すみません」
刑事さん相手にも怯まないコイツらの俺を思う気持ちに心が温かくなるが行き過ぎると公務執行妨害でしょっ引かれかねない。
良師「皆んな。俺のために怒ってくれてありがとう。もう大丈夫だ。それに、親父とお袋の最期の姿、今まともに確認できる俺が脳裏に刻み込んでおかないとだろ。南刑事さんでしたよね?案内してもらえますか?」
満成「良師、お前俺たちの前では強がるんじゃねぇよ!見たくないって正直に言えば良いんだ!」
元義「満成、それぐらいにしておけ。良師が決めたのなら、尊重してやらないとな」
葉切「そうそう。後で俺たちが良師ちゃんのこと慰めてやれば良いっしょ。言うことは言ったしさ」
南「すみません。すみません」
確か刑事さんって2人1組で行動するって聞いたような。
南刑事が1人ってことをもう1人が霊安室に居るのかな?
南「杉先輩、家族の人を連れてきました」
杉「おせぇぞ南!どこで油食ってやがった!」
南「すみません。すみません」
良師「南刑事を怒らないであげてください。俺が弟と妹に面会していたので、黙って待っていてくれたんです」
杉「フンっ。で、一応これは任意で全員に聞いてるんだが。お前、今日の12時、いやもう日が回ってたな。昨日の昼の12時、何してた?」
アリバイか。
良師「仲の良い友達3人と沖縄に卒業旅行に行ってました。泊まる予定だった旅館の人と友人に確認してもらって構いません」
杉「南、後で確認取っとけ。坊主、疑って悪かったな」
俺は、霊安室で眠る親父とお袋の顔をこの先ずっと忘れないように脳裏に焼き付けた。
良師「親父。お袋。遼と綾のことは心配すんな。親父とお袋が命をかけて守ったんだ。絶対に死なさねぇし。俺がこれからずっと守っていく。だから2人も安心して天国から見守ってて欲しい。大事な時に側にいなくて本当にごめんな親父。お袋。うぅ」
俺には親戚という親戚は全くいない。
両親は、駆け落ち結婚で実家と縁を切っていたし。
なので、俺が友人3人とこぢんまりとした葬式で、見送った。
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