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えっ俺がコスプレの十八番だった大賢良師張角に!?朝廷が思ってた以上に腐ってたので念入りに内政をして黄天の世を築きたいと思います  作者: 揚惇命
1章 張角16歳

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働かざる者食うべからず

 父との相談を終えた大賢良師は、広宗の街から少し東に位置する森へとやってきていた。


 良師「ここに君たちの一時的な生活拠点を作る」


 程遠志「いきなり青州には向かわないんですかい大賢良師様?」


 良師「元々、空白地帯だった青州に最初の黄巾の旗を立てる野望に変わりはない…だがその野望を出すのはまだ先だ。今のまま、青州に出兵し無能な官吏から奪ったとして、次は別の勢力が送り込んできて、それに抗えば罪人として裁かれるだけ、それを嫌だと反乱など起こせば、朝廷だけで無く父とも敵対してしまう。それはまだ避けたい。ゆえに先ずはお前たちが生活できる拠点を作る。幸いにも広宗にはまだまだ、土地が有り余っている。まさか、盗賊をして奪うことを覚えたから今更農業はしたく無いなどとは言うまいな?」


 鄧茂「滅相もございやさん大賢良師様。これでも元農民ですぜ。耕せる土地があるなら耕しやすぜ。なぁお前ら?」


 程鄧賊A「ヘイ!勿論でさ」


 程鄧賊B「俺たちなんかよりも程遠志様や鄧茂様の方が御家族を人質に取られてよっぽど辛い目に遭って大変でやしょう。欲を言えば直ぐにでも助け出すために出兵したいはず…なのに自分の気持ちを押し込めて大賢良師様に従うって言ってんのに俺たちが断れましょうや。なぁ?」


 全員がうんうんと頷くあたり、程遠志や鄧茂は物語の中で、義勇軍のための捨て駒に使われて良い存在では無いだろう。

 それは、こうして体験してみないと分からないことだ。

 例え、この世界が正史から外れたパラレルワールドであっても、人の本質はそう変わらないだろう。


 良師「ならば、先ずはお前たちが余所者の移民としての扱いでは無く、広宗の仲間として認めてもらえるように、しっかりと働いてもらわねばな。父から聞いたところによると広宗の民訓に『働かざる者食うべからず』と言う言葉があるそうだ」


 程遠志「成程…どこの村にも1人や2人はサボる者が居ますな」


 鄧茂「うっ…否定できねぇ」


 程遠志が俺の言葉に同意すると鄧茂は心当たりがあるのか罰の悪そうな顔で視線を逸らした。

 ハハハ。


 良師「なぁに、苦手なことを無理にやることはない。程遠志は村長の畑の管理をしていたそうだな?」


 程遠志「えぇ。広大な畑の管理を任されていました。将来は村長様の娘の環希と結婚して、後を継いで欲しいとも…今となっては遠い昔の話です。許嫁は、村長様も俺も捨てて、官吏に付き従い若い女たちを連れて、村から出て行きました」


 良師「成程…腐った官吏のやりそうなことだ」


 程遠志「全くです。何故、村を愛してた環希がそれに乗ったのか…俺には未だに分からないのです」


 俺は、高校を卒業してから弟や妹の治療費のために昼夜問わず働いていた。

 就職先もダブルワークの認められた優良企業のハマゾンを選んだ…だが転々と職を変えたダブルワーク先が酷いブラック企業だった時もある。

 そいつらは自分たちが甘い蜜を啜るために弱者を食い物にする。

 この場合、おそらく村長と官吏との間で何らかのやり取りがあり、それに聞き耳を立ててしまった村長の娘が若い娘たちと共に村の皆を守るために捨て石となったのだろう…守りたいと思った場所が無くなったと知って、絶望していなければ良いが。

 最悪の場合は、自決してる場合もある。

 可能性の話をして程遠志を焦らせるのは良くないだろう。


 良師「いつの日か再会できた時に聞けば良いのではないか?」


 程遠志「向こうも俺なんかと話したくないでしょう。そもそも俺のことすら覚えているかどうか。村長様と俺のことを捨てたのですから…いや俺は別に恋人でもありませんでしたな。俺が浮かれていただけ…。」


 良師「程遠志よ。我からひとつ言わせて貰えるのであれば、お前の中に居る恋人とやらは、その程度の存在か?未だに裏切られた理由が分からないのであれば、その恋人の人となりを知るお前だけは、何処までも馬鹿らしく信じてやると良い。想いとは時に力となる。悪い方に考えればそうなるやもしれぬぞ」


 程遠志「ハッ!?す、すみません。やっぱり俺は、俺が好きだったアイツを信じたい」


 良師「それで良い。少しは吹っ切れたか?」


 程遠志「えぇ。何も考えられないぐらいに今から身体を動かしたい程度には」


 良師「良し。では、先ず森を切り開く、作業時間は日が傾きかけるまでだ。あまり遅くなると街に帰れなくなるからな」


 程遠志「はい!」


 程遠志は頷くと盗賊をしていた頃の100人と共に木材を切る。


 良師「管亥!」


 管亥「張角様、お呼びでしょうか?」


 良師「見てみろ。ここは、彼らが広宗の民として受け入れられるための初めの一歩となる場所だ。管亥たちは、作業する人が野生の獣に襲われぬように警備を頼む」


 管亥「はっ!」


 管亥は短く答えると直ぐに連れてきた部下50人に手早く指示を出し、周りを警戒してくれた。

 龔景か…青州における戦線で無能っぷりを披露し、劉焉りゅうえんに援軍を求めて、当時その指揮下にいた鄒靖すうせい劉備りゅうびらを派遣して、青州黄巾党の討伐に貢献した事になっている男。

 黄巾党が好きな俺から見れば、劉備たちの活躍のために青州黄巾党を捨て石にされた因縁の男という事になる。

 この名前を聞いた時から、コイツの息の根をどうやって完全に仕留めてやろうかと頭をフル回転させていることはまだ内緒だ。

 ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

 少しでも楽しい・面白い・続きが見たいと思って頂けましたら、下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から評価してくださいますと執筆活動の励みとなります。

 それでは、次回もお楽しみに〜

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