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第三話 進化ーーー!!!

 私は今、ガルドのパーティーに同行しています。いわば引率の先生です。

 しっかりと先生の言うことを聞くように、わかったかね、ガルドくん。


 うんうん、いい返事だ。

 魔物たちに注意して慎重にそれでいて、スタスタと歩くガルド一向。近くの茂みの中からゆらゆらと追跡中であります。


 呑気に茂みを飛んでいると、色鮮やかな蛾を発見した。そのまま通り過ぎようとしていると、視線を感じる。主に蛾から。


 え、蛾って蚊を食べるの?食べないよね!お願いだよ。通してよー。

 眼光がさらに増している気がする。

 えーい、くそー!


【鑑定】


名前:ーーー

種族:モス

年齢:1

スキル:【鱗粉レベル1】


 俺の体格の5倍くらいはある。身体能力では絶対に勝てない。スキルが少し多くても大きな差を感じる。だが、戦場は茂み、体の小さい俺に武があるだろう。


 翅の鱗粉をかけるように、翅を煽いでくる。

 キラキラと光る粒が降り落ちてくる。

 テカテカとした葉の裏に隠れる。あいつの正面は無理だ。鱗粉もあるし、真っ向から勝負は身体能力では勝てない。


 なら、こっそりと吸血するしか、勝ち目はあるまい。逃げても、追いつかれる。


 行くぞっ!

 

 ってあれ、なんか足が離れないぞ。この葉っぱなんだ!子供の頃によくボールが茂みに入って、取ろうと手を伸ばした時、ボールが取れた時には気づいたら腕とか服に引っ付いてるあの葉っぱだ!


 様子を見にきた蛾に固まってるところを気付かれた。

 

 鱗粉に触れる。なんだこの気持ち悪い感じは。

状態異常で言うなら混乱だ。コーヒーカップに乗った後のようなクラクラする感覚に襲われる。


 やばい、蛾にやられるとか最悪だ。虫ケラにコケにされて不快だ。絶対負けてやんねーよ。


 なんとか気力を振り絞り、足を振り払う。

離れた!蛾は俺の後ろで鱗粉の効きを見守っている。近くにいるのは不幸中の幸いだ。


 蚊の専売特許はなんだ!血をチューチューすることでも不快な羽音でもねえ、すぐ見つけられなくなる、厄介さだ!


 とった!蛾の裏をとった。行くぞ!

 体力も限界だ!

 賭けだ。


【突撃レベル1】発動!!

 広げた翅目掛けて猪突猛進。

 俺の体で一番硬いチューチューするところで突っ込む。


 うおー!!危ない危ないぶつかる。

 急発進、急加速。最初から最速で、翅を貫通した。羽には見事、蚊型の穴が空いていた。

 なんとか地面に着地した。


 突撃による翅の疲労と、蛾の翅を突き破ったせいで俺の(つばさ)もボロボロだ。


 突撃は強力だが、諸刃の剣だ。翅が突撃のスピードについていけず、ボロボロになってしまう。

見上げると、蛾は片っぽの翼でまだ空中を飛んでいる。


 片翼では鱗粉を飛ばせず、なんとか、宙に漂っているだけだ。

 かなり距離がある。このままでは、奴を殺し損ねてしまう。


 もう飛べない俺は、ここで力尽きるか、奴を倒して血を吸って死ぬか!

そんなの決まってる。


【突撃レベル1】発動

近くの枝に高速で突っ込み移動する。

ほとんどジャンプだ。


【突撃レベル1】

枝から枝へ


【突撃レベル1】

段々と蛾に近づいている。


【突撃レベル1】

蛾はもう俺の動きについてこれない。


【突撃レベル1】

血を吸わせろおおおー!!!!

蛾の腹を蚊の針が貫いた。

そしてそのまま二匹は、地面に転がった。


 俺は蛾に口を伸ばした。しかし、視界が霞む。またこの世界でも俺は、死んでいくのか。


《レベルが最大になったので存在進化(ランクアップ)します》


 体が温かくなり、意識がはっきりしてくる。

んー?なんか進化とか言ってたような。


【鑑定】

名前:ーーー

レベル:1/15

種族:ナノモスキート

年齢:0

スキル:【吸血レベル2】【鑑定レベル2】【突撃レベル2】


種族変わってる!!

それに、鑑定のレベルが上がって、レベルの覧が増えてる。

それに、吸血のレベルも上がってる!


えー、そうですね、雨降って地固まると言いますか、えー、ただ応援してくださった皆さんに、ただありがとうと伝えたいです。

以上、より小さくなった蚊からのヒーローインタビューでした。なんで、進化して小さくなってんだよ、なんだよ、ナノって。蚊なんて元々ナノサイズでしょうが!


悔しい、進化しても蚊。多分また進化しても蚊なんだろうな。俺は蚊から逃れられないんだ。そういう運命なんだ。


蚊のクソやろーー

クソやろー、クソやろー、クソやろー。

モノローグが心の中で反響して、自分に帰ってきました。


蚊のクソやろーはわたくしでした。全国の蚊の皆さま、大変申し訳ありませんでした。


それはさておき、レベルと|存在進化《ランク

アップ》の存在がわかったことは、行幸でしょう。


進化しまくっていずれ、人間になれたらいいなあ。人間とはいかずとも、せめて、昆虫から脱却させてケローーーーー!!

小さな小さな蚊の叫びは誰に届くこともなかった。


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