第2話 蚊の人生の方が思い通り
みなさーん、こーんーにーちーはー。
私は今どこにいるでしょうか?
正解は、家畜小屋の天井です。
またもや天井からの登場失礼いたします。
天井ってばほんとに居心地いいんだよね。それに、足ついてると、飛ばなくていいから羽音もしないし、やっぱ天井に限るぜ、べいべー!!
ということで、今回の獲物は牛さんでーす!!
鑑定
名前:ーーー
種族:ブラックバッファロー
年齢:5
スキル:突撃レベル1
よっしゃ、狙い通りだ!
牛さんにもスキルがある!
、、、でも名前はないのか、かわいそうだな。
まあ、蚊に哀れまれても嬉しくないか。
牛さんについてはこれくらいにして、いただきます。
チクリ
チューチュー
うーん、あんまりおいしくないな。
なんか生臭い。
《突撃レベル1を獲得しました》
よーし、俺のお腹にも限界があるからな。できるだけ美味しい血でお腹いっぱいにしないと。それに強いスキルを持った奴でな。
動物も人間もスキル持ってるとなると、魔物とかいたりするのかな。調査の一環だ。街に繰り出してみよう。
人間に見つからないように、屋根を蔦って飛んでいる。初めてみるこの世界の街並みは、まるで中世ヨーロッパのようで、石畳とレンガを使った美しい建築物が建ち並ぶ。
まさか、蚊になって人間を恐れる日が来るとわなあ。てか、羽音がうるさいな。こんな素晴らしい晴れた日に、蚊の羽音を聞かないといけないとは。気分も上がらない。音消す感じのスキル持ってるやついないかな。
そういえば、あの少女の家はとんでもなく広かった。牛も飼ってたし、貴族だったりするのかもな。
ぶーん、
大通りを見ていると、時折、鎧を身に纏い、剣を持った人たちを見かけ、着いて行ってみることにした。
冒険者ギルド、彼らはそこに入っていった。
ぶーん……
高く、低く、風を読むように飛びながら、俺はその建物の上に降り立った。
木造と石造りが混ざった、大きな看板。
そこは、冒険者ギルド
異世界来たらまずここだよな!!
頑張ったら俺も冒険者になれるかなあ!!
入口の扉が開くたびに、人の匂いが流れ出てくる。
汗、革、鉄、酒――
そして、むさくるしい血の匂い。
「……当たりだな」
俺は天井の隙間から、そっと中へ侵入した。
中は想像以上に騒がしかった。ガヤガヤとした喧騒。
笑い声、怒号、金貨の音。木のテーブルには、鎧を着た連中が陣取っている。
……全員、獲物だ。
「鑑定」
視界に映る一人の男に意識を向ける。
名前:ガルド
種族:人間
年齢:32
スキル:剣術レベル3、体力強化レベル2
「おお……ちゃんと強いな」
さすが冒険者。
さっきの牛とは格が違う。ってことは――
「血もうまいんじゃね?」
じゅるり、と喉が鳴る。だが、その時だった。
「おい、新人。今日は“魔物討伐”の依頼が来てるぞ」
魔物。
やっぱりいるのか。
俺はまたもや天井に張り付きながら、ニヤリと笑った。
ぶーん……
俺は静かに羽ばたく。
人間は危ないから、魔物といきたいところだが、体力強化のスキルは最優先で、取りたいスキルだ。こんなちっぽけな翅ではスピードも出ないし、長くも飛べない。
ひとまず、ガルドとかいう男のパーティが、魔物討伐に行くらしいからついていこう。
隙があればスキルもいただこう。一番の目的は魔物の元に行くこと。
命大事。コレゼッタイ。




