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第1話 夏の夜のアイツ

夏の夜。

耳元で、ブンブンとうるさいあいつ。

――そうです。

私です。

時は遡ること三分前。

耳元で不快な羽音がして、目が覚めた。

(うるさ……)

そう思った瞬間――

ブン、ブン、ブン……

意識がはっきりするほどに、その音はむしろ大きくなっていく。

おかしい。

近い。いや、近すぎる。

違和感に気づき、ゆっくりと視線を動かす。

――そこで、固まった。

細すぎる腕。

糸みたいな足。

そして俺は、どこかも分からない誰かの家の天井に――

へばりついていた。

……は?

夢であってほしい。

だが、やけに感覚がリアルすぎる。

試しに足を動かす。

ピタッ、と寝室の天井に張り付いたまま離れない。

嫌な予感が、確信に変わる。

そうです。

――蚊に転生しちまったーーー!!!


これからどうしましょう。そう考えますが、私は蚊です。血を吸うことしか、脳がありません。


ほら、現にベットに寝ているあの少女が美味しそうに見えてたまりません。


早速ですが、いただきます。

美味しそうな太ももに着地。

決してロリコンとかじゃないんだからね!!


いや、ほんとにね。どちらかというと、その、熟れた女性の方が好みです。何言っちゃってんの、俺。


チクリッ!!

チューチュー


んーー!!おいしい!!瑞々しくて新鮮な汁が溢れてくる。


人間ってこんなにも美味しいのか、そりゃ人間のこと吸いますわ。


血を吸うこと30秒、突然頭の中に、変なアナウンスが流れた。


《スキル『鑑定レベル1』を獲得しました。》


あれ、、、スキル??

何そういう世界観なの?


蚊でも無双できちゃうパターンなの!?

ヤッホーイ!お先真っ暗な蚊の人生も明るくなってまいりました。


血を吸う→スキルを獲得


まあでも、確かに血を吸うのってめちゃくちゃ命懸けだしなあ。

いやでも待てよ、人から吸わなければいんじゃね。


俺も元人間だし、めっちゃ蚊をやっちゃってきたんだけど、今の俺にとって危険じゃん?


でもでも、動物とかって蚊とか気にしないよな。

動物がスキルを持ってるかなんてわからないが、『鑑定』とかいうスキルもゲットしたし、とりあえず行ってみるか!!


その前にっと、『鑑定』


名前:リリアーナ・トリトン

種族:人族

年齢:12

スキル:鑑定レベル1


思った通りの能力だ。


ん?これって俺に使えたりしないのかな。


鑑定


名前:ーーー

種族:モスキート

年齢:0

スキル:吸血レベル1・鑑定レベル1


俺の情報も見れるのか。

この吸血っていうスキルのおかげでスキルが獲得できるみたいだ。


鑑定もしっかり使えることが確認できたし、いっちょ行ってきますか!


いっぱい吸って、いっぱいスキルゲットして、最強の蚊を目指しちゃうぞ〜。


それでは、ごちそうさまでした。

蚊に転生した俺は、次なる血を求めて飛び出した。

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