↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リロード  作者: 黒十二色
番外編 幕間集
95/125

梅田ミサキと半牛半人

 迷宮のミノタウロスは、ジョージが生み出した初めての合成獣だった。


 ある一人のミサキ(以下ミサキAと表記)とミノタウロスは、同じ時に生まれた。


 最初からミサキは大人っぽい人の形をしていて、ミノタウロスもまた、生まれた時から巨体だった。


 彼らは、プログラムとは関係なしに、互いに姉弟であると自覚していた。


 ミサキたちは、ミノタウロスのことを、ミノさんと呼んでいた。


 ミノさんは話すことはできなかったが、ミサキAとだけは、心が通じ合い、それは、会話しているようなものだった。


 ミノさんは、ミサキAにしか懐かなかった。


 それを見て、ジョージはミサキAにミノさんの世話をさせた。


 ミノさんは力が強く優しかった。


 その怪物的な力の使いどころとして、巨石を持ち運んだり、とにかく力仕事が与えられた。


 迷宮を組み上げていった。ミノさんはそれに疑いを持つこともなく、こなした。


 そのうちに、ミサキは増えていき、巨人や、他の合成獣たちが次々と生まれていった。


 しかしミノさんはそんなことに興味はなかった。


 ただ、ミサキAを、そう、愛してしまっていた。


 だから……


 城建設中の事故でミサキAが亡くなってしまい、それで、もう、生きる意味を失ったとミノさんは思った。


 死というものを理解していたのかどうかはわからない。


 彼は多くのミサキ達の中からミサキAだけを見つけ出すことができた。


 そして、死んでしまったミサキAは、弔(とむら)うというよりは、捨てるように扱われていたから。


 ジョージが、そうしていたから。


 だから、きっと本能的に怒ったんだろう。


 それで暴れた。


 結果、自らが笑顔で造り上げた地下迷宮へ、数多の巨人の手によって閉じ込められ、虚無の顔で徘徊した。


 ミノさんには食事が与えられ、その中に合成獣の命を繋ぐ薬が混ぜられた。ミサキA以外のミサキが、彼の身を案じて、様子を見に行ったり、食事を与えに行ったとき、ミノさんに殺意が生まれ、その右腕で殴り殺そうとした。


 しかし、その腕は止まり、彼は大粒の涙を流した。


 ミノさんは迷宮で生活するうちに、食事の時間を覚え、なるべくミサキたちに接触しないようにした。


 それでも出会ってしまった時には、大声で怒鳴り、追い払おうとした。


 その度、ミサキは悲しそうにその場を去るのだった。


 やがてミノさんは自分に与えられた役割を考え始めた。


 そして導き出したのは……。


 ――迷宮という守るべき領地を与えられ、ミサキたちを侵入者から守ること。


 ――ミサキ達はミサキAにとっては妹みたいなもので、つまり自分自身にとっても、妹なんだ。


 ――だから、守ろう。


 ミノさんはそう思った。


 彼は徘徊する。「侵入者を殺す」という目的で。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。