↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リロード  作者: 黒十二色
第三部:リバースエッジ
78/125

リバースエッジ エピローグ2 セバスチャン

視点:蔵野まち→セバスチャン

 蔵野まちと山田ヒロアキ。若き二人を見送ってすぐに、私はすぐに最も頼れる部下の一人の名を呼んだ。


 まだもう少し、やるべきことがある。


「田山」


「はい」


 部下はすぐに返事をしたので、命令を下す。


「城周辺の探索と、生存者の確認。お前の部下の捜索と、残された情報の有無の調査。人数はどれだけ使ってもいいからやっておけ」


「りょ……了解」


「では、行け」


「はっ」

 田山明孔は敬礼して今まで歩いてきた獣道を慌てて駆け戻っていった。


 残されたのは二人。私と梅田美咲良――ではなかった。


 もう梅田さくらだったな……。


 私と梅田さくらが、森と外の境界線上に残された。


「セバスチャン」


「何だ?」


 セバスチャンという名も、何故だろう、いつの間にか馴染んでしまったな。


「セバスチャンは、自分の幸せは追わないの?」


「追わないさ。過去に追いつくことはできないからな」


「まだ、例の彼女のこと引きずって……」


「引きずるさ。死なれてしまってはな」


「あの二人は、大丈夫かなぁ……」


「大丈夫でなくては困る」


「そうね……」


「私達の子供みたいなものだからな」

 私が言うと、


「……うん」

 頷いて、俯いた。


 そしてさくらは、俯いたまま、続ける。


「本当は、謝りたかった。まちちゃんを白衣に包(くる)んで置き去りにしてしまった弱いあたしだったから……。今でも弱いままだけど……でも、謝ったりしたら、怒ったわよね、きっと」


「そうだな」


 静寂。


「……んっ」


 梅田さくらは黒い外套から長い腕を出し、天に向かって伸ばした。


 そして大きく背伸びをした後「ふぁ」と欠伸をした。


「さて、ジョージとの決着もついたし、これからどうしようかなぁ」


「私のところへ来るか?」


「それはしないわ」


 まるで私がそう言うのがわかっていたかのような即答だった。


「そうか」


 残念だ。


「世界をね、旅してみようと思うの。あたし、ジョージばかりを探し歩いていたから世間知らずなのよ。きっときっとこの世界には、たくさんの綺麗な場所があって、綺麗な人とかがいて、そういうものに、もう少し目を向けてみようと思う。もしかしたらそのうちに、魔法が解けて緑色にならなくなるかもしれないしねっ」


「そうなると良いな」


「うん……」


 また、しばしの沈黙の後、彼女は言った。


「……待っててくれる?」


「待つものか」


「そう、じゃあ、行ってくるわね」


「ああ」


「またいつか……会いに来るわ」


「ああ」


「死なないでね」


「ああ」


「約束よ」


「ああ」


「バイバイ」


「ああ」


 それから二分くらい、しばらく互いに黙っていた。やがて私が、沈黙を破る。


「行かないのか?」


 そしたら彼女が、ようやく


「またね」


 そう言って、彼女は駆けていった。


「また、フラれてしまったな……」


 一人呟き、一人笑う。


 さて、私も田山の手伝いに行くとしよう。


 彼女は森の外へ。

 私はまた森の中へ。


 彼女には、鳥のように、大空へと羽ばたいて欲しい。


 決して、花びらのように散ってしまうことがないように。

 だが、私という居場所があることも忘れて欲しくはないな。


 自由に見える鳥ですら、翼を休めることのできる陸地という存在に縛られているのだから。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。