続・眠り魔女 ~もう一度あの場所に~
天の声→新渡戸夕貴
セバス→加賀遊規
姫→高島さき
魔女→山田ひろみ
級長→蔵野まち
謎の男→山田ヒロアキ
【天の声】「かつての城は、姿を消した。嘘のように消え去った。消え去った後に残ったのは死体のように動かない黒衣の女。かつては魔女と呼ばれていた。かつては美麗に装飾された棺……ベッドに横たわって揃えられていた肢体も、今は土の上に投げ出されて、くすんで解けた」
倒れている魔女がいた。眠り続ける魔女がいた。
黒衣の布をまとって冷たい土に倒れていた。
いけない、胸に目がいってしまう。
だって両サイドの裂け目からわずかに覗く胸の下辺の形とか、最高にエキサイティング!
いや、何考えてんだ。気を取り直せ……真面目にやれ、馬鹿な俺。
【魔 女】「……」
【天の声】「――魔女は決して目覚めない。少年が、望まない限りは……」
【級 長】「ようやく見つけたわ!」
そう言って、制服を着た女が横たわる黒衣の女に近づいた。
そして黒衣の女に白刃を突きつける
【級 長】「これでようやく、私の呪いも解ける」
【魔 女】「……」
【級 長】「この剣はどんな結界も決壊させ、どんな呪術も……じゅじゅっと溶かす……という剣……手に入れるのに苦労したわ」
【魔 女】「……」
【級 長】「どうしても解けなかった私の呪いを解くには、貴方の死が必要なのよ」
【魔 女】「……」
【級 長】「どうして起きないの? いつまでそこで眠っているつもり?」
【魔 女】「……」
級長は白刃を振り下ろす。と、その時
【謎の男】「まちなよ」
級長と似たような制服姿の男が、級長の背後に立っていた。
【級 長】「お前は?」
【謎の男】「お前に名乗る名などない。その魔女を殺してはならない」
【級 長】「何故だ!?」
【謎の男】「この魔女は多くの約束と、多くの意識を抱えている。今、殺害という方法で、この世界にそれを解き放てば、桁外れの呪いによってこの世界が崩壊するだろう。それでも、お前はこの魔女を殺すのか?」
【級 長】「当り前だ。私は自分の呪いを解かなくてはならない」
【謎の男】「世界を滅ぼしてまで解きたい呪いって何?」
【級 長】「私の罪を知っている唯一の者を、生かしておくわけにはいかない」
【謎の男】「たった、それだけのことのため?」
【級 長】「私の罪を誰かが知っている限り、私はこれから先、本当の意味で生きられないだろう?」
【謎の男】「わからないな」
【級 長】「そう、じゃあまず、貴方を殺すわ」
【謎の男】「そう簡単にいくかな」
対峙する制服姿の男女。
謎の男はナイフのようなものを二本取り出して、両の手に構える。
級長は左手の刃をスーっと突き出し牽制する。
――甲高い、刃の交わる音。
それが何度も響き渡る。
右手左手繰り出す男。
軽く捌いて時々反撃する女。
人間離れしたその動き。
軍配は……。
キィン!
謎の男のナイフが、級長の刃を弾き飛ばした。
しかしそれを級長はすさまじい反射神経および跳躍力を見せて空中でキャッチした。
互角。
【謎の男】「お前はこんな風に無防備に眠る人間を殺すのか?」
【級 長】「その女が人間? そんなはずはない。魔女が人間? 笑わせる。魔女は魔女。人間であるはずがない」
【謎の男】「そうか」
【セバス】「魔女さん!」
袖からセバスチャンが登場する。
前回の劇のセバスチャンと同一人物だ。これは続編だからな。
【級 長】「なんだお前は」
【セバス】「私はセバスチャンだ。お前こそ何だ」
【級 長】「私は………………級長だ」
【謎の男】「ちょうど良いところに来た……セバスチャンとやら」
【セバス】「君は……?」
【謎の男】「わたしが何者か、か。今はそんなことはどうだっていい。早く魔女を連れて逃げるんだ」
【セバス】「逃げる?」
【謎の男】「どういうわけか彼女が目覚めないんだ。そしてこの級長は彼女の命を狙っている。殺させるわけにはいかない。そんな方法では世界が呪われてしまう」
【セバス】「……私は、この魔女を目覚めさせるためにこの場所に戻ってきたんだ」
【謎の男】「できるのか? そんなことが」
【セバス】「おそらくは」
【級 長】「長いおしゃべりね。いくわよ」
跳躍、後、金属音。
振り下ろした刃を謎の男がナイフ二本をクロスさせる形で受け止めた。
【謎の男】「はやく……!」
【セバス】「ああ、わかった」
セバスチャンは力なく倒れる魔女の肩を両手で引き寄せる。
そしてその頬にそっと口付けた。
【魔 女】「ん……ここは……」
戦慄さえする超棒読み!
ともあれ魔女が目覚めた。
【セバス】「魔女さん!」
【魔 女】「あなたは」
【セバス】「ごめんなさい、ずっと眠らせ続けてしまって」
【魔 女】「どうして私を起こしたの? 私はもう死ぬはずだった」
【セバス】「そんな……」
【魔 女】「私は罪多き存在。その罪ゆえに死ななければならなかった。ずっと眠っているのは死ぬのと等しいと思っていて、私にはそれが喜ばしいことだったのに」
【セバス】「死ぬ? 罪が多いから死ぬなんて……」
【魔 女】「そういう風に出来ているのよ、この世界では罪が多いと死ぬの。決まっているの」
【セバス】「それでも! 魔女さんには死んでほしくないんだよ!」
【魔 女】「その気持ちは嬉しいわ。ありがとう……」
【セバス】「さぁ! 僕と一緒に逃げ――」
セバスチャンは魔女を立ち上がらせて、
その手を引いて走りだそうとする。しかし……。
【魔 女】「少年よ、私は貴方と一緒に行くわけにはいかない」
【セバス】「どうしてだよ?」
【魔 女】「まだわからないの?」
【セバス】「わからないよ!」
舞台上では級長と謎の男との戦いが再開されていた。
そしてそのまま、舞台袖へと消えていく。
少年と魔女は、その手を繋いだまま。
【魔 女】「少年よ、貴方が手を引くべき人は別にいる。行ってあげなさい。その人は、きっと待っている。貴方が手を引く……その時を……」
【セバス】「ああ、でも僕は、姫を置いてきてしまった。彼女がどこにいるのだかもわからない。わからないんだ」
【魔 女】「少年よ、彼女は森で泣いている。私と出逢ったあの森で、涙を地に落として歩いている。行ってあげなさい。私はもう、十分貴方に想われた。貴方の手は私の手を引くためにあるはずがない。私はもう十分生きた。だからこの手は離しなさい。私は魔法を使ってでも私は貴方と離れるわ」
【セバス】「そんな」
【魔 女】「私の魂はもうここには無いの。貴方は彼女の細い腕を掴んで、細い肩を抱いて、小さな顔を抱いて、私のことは忘れなくても、私の面影は忘れて、彼女を好きだと言って全身を抱きしめて、心ごと抱きしめて、あげて欲しい。それが貴方の幸せで、それが私の幸せだから」
【セバス】「でも姫は、城を燃やしたんだ。いっぱい殺したんだ」
【魔 女】「私の方がいっぱい殺したわ」
【セバス】「でも姫は……」
【魔 女】「忘れたの? 私は悪い魔女。私に囚われた私の魂を、今ここで潰すことだってできる。これ以上この闇の傍にいるのなら、私は私の魔法を使って貴方と離れるわ」
決意が固いことを知ったセバスチャンは、姫のもとへと向かう決心をする。
【セバス】「……あの……森だね?」
【魔 女】「そう、あの、森。もう一度、あの場所に……」
【セバス】「そうか……。もう一度……あの場所に…………」
あの場所に行って姫ともう一度出逢うんだ。
魔女の手を持つ手を離して袖に走り消えていくセバスチャン。
【魔 女】「もう一度あの場所に……貴方ならきっと……貴方は私に心をくれた人。だから、きっと好きだから、幸せに…………」
棒読みなのが残念でならない……。
そして暗転。
なのだが、当然暗くなったりしないので、
カメラに腕を被せて代わりとしてみた。
恐らくレンズの視界は紺一色だろう。
黒い服が引きずる程長く、歩きにくそうに、引きずって歩く魔女。
やっぱり余った布切っておくべきだったか。
でもなぁ……
ガン!
うお、こけた。
舞台上に駆け登る。全員がひろみのそばに集合。
【加 賀】「ひろみちゃん!?」
【高 島】「ひろみちゃん大丈夫?」
【新渡戸】「おい、大丈夫か?痛いとこないか?」
【ひろみ】「大丈夫……ちょっと、失敗」
【蔵 野】「やっぱり余分な布切るべきだったわね」
溜息混じりに蔵野まちが言った。
【新渡戸】「あー……まぁ……」
【蔵 野】「最低のバカがその方が萌え、とかわけのわからないこと言い出すから」
【新渡戸】「その、今回はあれだ。俺が悪かった。すまん」
【蔵 野】「まったく……」
【ヒ ロ】「舞台再開しなくていいのか?」
【加 賀】「ちょっとひろみちゃんの様子を見てから……」
【ひろみ】「大丈夫……次の……あたしの出番……まだ先でしょ?」
【加 賀】「その喋り方すごい痛そうなんだけど」
【高 島】「顔面からいったもんね……」
【新渡戸】「ていうかひろみ、鼻血でてるぞ?」
【ひろみ】「え?……あ……血……」
【蔵 野】「……やっぱり血は赤いのね」
【ヒ ロ】「お前何言ってるの?」
【蔵 野】「あ、いえ、何でもないわ」
【高 島】「はーい、ひろみちゃんこっち来て。おねえさんが鼻にティッシュを詰めてあげるわ」
【ひろみ】「さきちゃん」
【高 島】「何?」
【ひろみ】「お洋服に血が……」
【高 島】「そんなのいいの」
高島とひろみが袖に消えていく。
姫が左の袖を血で汚しながら……。
ヒロアキが床に点々と続いた血痕を拭き取る。
舞台を無断使用した挙句汚しましたなんて言ったら、
バレた時何て言われるのだろう?
そんな、バレるなんて有り得ないことは想像しないに限る。
【蔵 野】「新渡戸」
【新渡戸】「何だよ」
【蔵 野】「おぼえておきなさいよ……」
無表情で言われた。
【新渡戸】「何のことだ?」
【蔵 野】「ダジャレと、名前よ」
【新渡戸】「お前ダジャレ理解するのか?」
【蔵 野】「ばかにするな、馬鹿!」
【新渡戸】「よし! そろそろ再開するぞ!」
【蔵 野】「…………」
【ヒ ロ】「おう」
【高 島】「はーい」
【加 賀】「おー」
【ひろみ】「はい……」
俺は舞台から下りてカメラの前に戻ると、再び袖でレンズの視界を遮る。
そして、遮っていた腕を下ろす。
仕切り直し。
第二幕。
姫が一人歩いている。桃色の服を着た姫。
背景は森。真っ白だけどそこに森があるんだ。
想像力で補完してくれ。
【 姫 】「……セバスチャン……セバスチャン……どこ……あたしのセバスチャン…………あぁ、ダメ。もう歩けないわ。どこなの? あたしだけを見てくれるって、言ったじゃない……ああ、お母様、お父様……ごめんなさい……ごめんなさい……あたしはもう、生きていられないわ……」
しばし沈黙。
【 姫 】「そうね……あたしはそれだけの罪を犯したんだもの……生きている価値はないわね。全てを欺き、裏切り。本当の魔女はあたしの方……こんな女、生きている価値がないわ。死ぬならどこでどうやって死ぬのが良いかしら? 薬を大量に飲んで死ぬ。薬がないわ。このまま何も食べずにいたら死ねるかしら。手首を切って……刃物がないわ。ああ、あの時魔女の呪いが私の身にかかってくれたなら……。こんな、こんなもの!」
姫は母の肖像画が入ったペンダント。呪い返しの呪いがかけられたそれを地面に投げつけた。
【 姫 】「皆、死んじゃえば、皆しあわせなんだわ。あたしが死ねば、皆死ぬかしら?」
その時、地面にガラス片が落ちているのを発見した。
プラスチックだがガラスだと思って見てくれ。
震えた右手で、その欠片を手に取る。震えている。
【 姫 】「さようなら、あたし。さようなら、だいすきなセバスチャン」
手首に欠片が当たる。
既にその袖は血で汚れているが気にしないで欲しい。
そして大きく息を吸ってそれを横一文字に!
その瞬間!
【セバス】「姫!」
【 姫 】「!!」
【セバス】「姫ぇ!!」
【 姫 】「……あなたはだあれ?」
笑顔でそう言った姫。
【セバス】「ごめん。姫……一人にしてしまって」
【 姫 】「何よ、今さら。あたし、寂しかった!
【セバス】「実は、僕はさっき魔女さんの所に行ってきた」
【 姫 】「あたしを放って何よそれ!」
【セバス】「魔女さんは、僕に道を示してくれたんだ。あの時のように……好きだよ。姫」
【 姫 】「信用できないわ」
【セバス】「姫……その手に持っているのは……」
【 姫 】「いいのよ、あたしはもう死ぬの。死んでしあわせになるの」
【セバス】「……っ死んで! 誰が! 幸せに! なるもんかよ!」
【 姫 】「死なせてよ!」
【セバス】「だめだ!」
【 姫 】「死なせて!」
【セバス】「だめだよ!」
【 姫 】「私を死なせないと言うのなら! あなたを殺してから私を殺す!」
【セバス】「姫! 目を覚まして!」
【 姫 】「知らない知らない! セバスチャンなんか嫌い! 嫌い! あの魔女と……一緒に……死ね……ばいいのに……!」
【セバス】「何だって?」
【 姫 】「魔女と一緒に死んじゃえって言ったのよォ!!」
【セバス】「……僕は、君のことも魔女さんの事も、同じくらい好きだったんだ……。両方手に入れたかった。そんなこと、そんな馬鹿なこと考えていて。君と魔女さんが一人の人間になってくれることすら夢想してしまっていた。でもそんなこと、魔法でも有り得ないから。……ねぇ姫。僕は本当に姫のことが好きだよ」
【 姫 】「魔女のことは、忘れられないの?」
【セバス】「忘れることなんてできない。でも世界でどれだけの人間がどういう形であれ失った恋を忘れて生きているだろう? それは、もしかしたらふとした瞬間に思い出してしまったりするかもしれない。もしも、その瞬間さえ存在を許されないのなら、それはとても悲しいことだと思う。僕の魔女への想いは本物だったはずで、でも、僕の姫に対する想いも本物なんだ」
【 姫 】「でもあたしは罪を犯したわ。あたしは途方もなく多くの屍の上で生きてしまっている。だから、死ぬべき」
【セバス】「なら僕は! そんな君を愛した罪で、死ぬより辛い日々を送るべきだ。だから姫も……」
【 姫 】「死ぬより辛い日々?」
【セバス】「生きて……平和を願い続けることだよ」
【 姫 】「そんなので、許されるわけ、ない」
【セバス】「それでも! 姫の罪を知っているのは僕しかいないから! 僕が姫の罪を許すから!」
【 姫 】「あたしは許さないもの」
【セバス】「許してくれ!」
【 姫 】「嫌よ」
【セバス】「許せ!」
【 姫 】「嫌!」
【セバス】「姫!」
セバスチャンが姫を抱きしめた。
【 姫 】「何するのよ!」
突き放す姫。
【 姫 】「あたしは、あたしには……あたしは強くなんかないから、ずっと罪を抱えて生きていくなんてできないわ」
【セバス】「……――うっ!」
唐突にセバスチャンが倒れた。
【 姫 】「? セバスチャン? セバスチャン? どうしたの?」
袖から黒衣の魔女が出てくる。
【魔 女】「少年に超強力な呪いをかけた。それと安心して。私の最上級魔法で、貴女の国は元通りになった。あとは貴女が戻って新たな女王になるだけ」
【 姫 】「元通り? お母様も? お父様も? お城も?」
【魔 女】「イエス。全てがあの夜に巻き戻った。貴女の罪はもう無いのよ」
【 姫 】「罪がもうない? はっ! そんなの嘘! 元通りになってもあたしの罪は残るわ」
【魔 女】「だから私は罰を与えた。もう二度とこの少年は目覚めないだろう。貴女の最も大事なものの命を奪った。これが罰。これ以上の罰がある?」
【 姫 】「……セバスチャン? ねぇ、セバスチャン? あれ?」
【セバス】「……」
【 姫 】「あれ? ねぇ、ねぇ嘘でしょ? セバスチャン」
【魔 女】「これで私が死なない限り、貴方が解く以外で呪いは解けない。彼の止まり続けた氷付けの時計を動かせるのは、貴女の炎だけ」
【 姫 】「……なんで…」
【魔 女】「私を殺すか、貴女が呪いを解くか。まぁ私はもう、逃げるけれど」
魔女はそう言って退場した。
【 姫 】「セバスチャン!? セバスチャン!?」
【セバス】「………」
【 姫 】「呪いを解く? どうやって!? ……あれ? いない……。ねぇ! お願い出てきてよ! 見てるんでしょ!?」
【セバス】「………」
【 姫 】「ねぇ! セバスチャン!」
叩いてみせる。
【 姫 】「ねぇ!」
頬をつねってみせる。
【 姫 】「起きてよ! ばか!」
涙を流してみせる。それがセバスチャンに落ちる。
しかしセバスチャンは目覚めない。
【 姫 】「何で? どうすれば…!」
【 姫 】「……こういう時、童話だったら、キスで目覚めるとか……」
姫が頬にキスを……っておい!
今口にしたよな! 口にしたな!
【 姫 】「……ン……」
唇が離れ、勢いよく立ち上がるセバスチャン。
いやお前そこはもっとゆっくりって台本に書いて――。
【 姫 】「セバス――ぇ」
【加 賀】「天よ! 出会えた! 彼女に! ありがとう本当に、ありがとう! 新渡戸!」
【 姫 】「セバスチャン……?」
【加 賀】「さきちゃんさきちゃん!」
【 姫 】「っちょっと……加賀君?」
【加 賀】「好きだ! さき!」
【 姫 】「……んむ……」
そんな風に乱暴に唇を重ねた二人……。
なんていうかな……。こんな展開ねぇだろ。
何だろうな。どうなんだ。
ああ、もう好きにしてくれ。
【 姫 】「か……か、か、加賀君……劇は……」
【加 賀】「もういいんだよそんなもの!」
そう言ったセバスチャンは衣装を少々乱暴に脱ぎ捨ててワイシャツ姿の加賀遊規になった。
【加 賀】「ヒロアキ! 本当にさきちゃんは僕の恋人にしてもいいんだよな!」
【加 賀】「新渡戸! わざわざこんな風に色々してくれて本当に感謝してる!」
【加 賀】「ひろみちゃん! 僕はひろみちゃんに霧野みやこの影を見てるから! 本当に幸せになって欲しい!」
【加 賀】「蔵野まち! 僕はまちのこと許さないって言った。ゆるさない。絶対に。でもまちのこと、好きにはなれると思う!」
【加 賀「……霧野みやこ! 好きだった!」
【加 賀】「新渡戸が舞台を用意してくれた! だから多くのことを言わないといけないんだ! 本当はもっと! 言おうと思ってたことがあったんだけど! ……なんか思い出せない。とにかく……全員ここにいることを許すから! 僕の近くにずっといて! 消えないでください!」
【加 賀】「さきちゃん!」
【さ き】「え? あ……はい……?」
【加 賀】「好きだ! 高島さきが好きだ! 本当に。間違いない! 大好きだ」
【さ き】「あ、あ、……ありがと……」
加賀遊規が高島さきを抱きしめた。
俺は、溜息を一つ、吐いて言う。
【天の声】「本当に呪いは解けたんだろうか? それは……誰にもわからない」




