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リロード  作者: 黒十二色
第二部:RE LOAD
39/125

幕間_その11_ある日の下校道

 高 → 高島さき

 加 → 加賀遊規

 新 → 新渡戸夕貴

 蔵 → 蔵野まち

 山 → 山田ヒロアキ

 ひ → 山田ひろみ

山 「なぁ新渡戸、お前の作ったあの罰ゲーム的お好み焼きって、どんな味がするんだ?」


新 「食べ物ってのは食道を通るだろ?」


山 「ああ、通るな」


新 「で、胃に運ばれるわけだ」


山 「そうだな」


新 「食道を通る時に、そこが、フリースの服を燃やし溶かして肌に張り付いて、ひどいことになるような感覚に襲われるんだ」


山 「フリースの服を燃やし溶かしたことないからその例えはわからん」


新 「フリースの服はな、高熱当たると溶けてフリース自体が当たっているところに黒くなって張り付くんだ」


山 「そうは言ってもなぁ」


新 「俺がこの間一人鍋に興じている時にだなぁ、鉄製の取っ手が非常に熱くなっていたんだよ。それを布巾か何かで掴めば良かったんだがフリースの上着を着ていてな、横着して袖で掴みに行ったわけだ。

最初は何ともなかったんだが、数秒して何かが焦げるような匂いと、白い煙が上がり、何だこれ! やばいやばい! と叫んで手を離したら、溶けたフリースが熱した飴みたいに、デローンって糸張ってんだよ。

で、手元を見ると取っ手の形に黒くのびた焦げの跡と一部には穴が開いて、中に着ていた白いトレーナーに、黒く波立つフリースの細胞の残骸があったんだよ。

張り付いてたんだ。強力な力で。……もしも中にトレーナーを着ていなかったらと思うと、戦慄を禁じえないだろ? つまりトレーナー万歳! 俺の右手を守ってくれてサンキュー。

……で、何の話だったっけ?」


山 「お好み焼き」


新 「あぁ、そして胃の中が沸騰するような感覚に襲われ、めまい、吐き気等をもよおす」


山 「薬味パンと一緒だと考えていいか?」


新 「薬味パンを食ったことないから何とも言えんな」


山 「お前、食ったこと無いもん他人にオススメとか言って食わすのかよ……」


新 「まぁまぁ、過ぎたことはいいじゃないかいいじゃないか」


山 「……まぁ、いいか。それ以上に恩恵もらったしな」


新 「もうあの親父の焼いたパンは食えないんだなって思うと、俺も何だか寂しいんだよな」


山 「親父の味だもんな」


新 「……そういえば俺おふくろの味ってわかんねぇな」


山 「俺もわかんねえな」


新 「味噌汁とか、都市伝説だよな」


山 「それは言いすぎだろ、味噌汁くらい自分で作れるさ、たぶん」


新 「あの女に作ってもらうのか?」


山 「まち? いやぁ、まちは料理も超人的スピードで上達したけど、味噌汁は作ったことないんじゃないかな」


新 「でもお前の作った味噌汁はおふくろの味ではないわけだろ?」


山 「まぁそうなるが、まちが作ってもおふくろの味にはならない気がするな」


新 「そうだな」


加 「新渡戸もヒロアキもおふくろの味が知りたいの?」


山 「いや、……んー、まぁ、知りたいってことになるのかな」


加 「じゃあ今度うちの実家一緒に行く?」


新 「お、それは魅力的提案だな」


山 「興味深いね」


加 「じゃあ三人で……」


山 「ここは高島とまちも誘うしかないだろう」


新 「おいおい、ひろみも忘れるなよ」


加 「おーい……食費がどうのこうのって僕母さんに怒られるぞー……」


新 「わかった、食費は出す! 第七帰宅部の活動の一環だ。その名も、『おふくろの味を探求ツアー』加賀、ちゃんと話通しておけよ!」


加 「はいはいわかったよ……そんな大人数の食事作れるのかなぁ母さん……」


新 「味噌汁は確実に作れと言っておけ」


加 「お前らはともかくとして、さきちゃんなんかは親いるんだし、僕の家のごはん食べてもそんな感動とかないんじゃ……」


山 「いーや、高島が一番よろこぶね」


新 「間違いなくそれはそうだな」


加 「そうかな?」


山 「つまり、好きな人の家にお呼ばれするわけだろう?」


加 「あー、あー、あー……」


山 「お前な、もうちょっと女心というようなものを脳の端っこくらいには入れておけよ」


新 「ヒロアキに女心の何がわかるんだ」


山 「まぁ、細かいことは気にするな」


加 「幻滅されたらどうしよう……うちの親ちょっとネジ弾け飛んでるからなぁ」


新 「まぁなんとかなるだろ」


山 「そんなことくらいで高島はお前のこと嫌わないし、高島自体ネジ弾け飛びまくってるじゃん」


高 「……山田君……何か言った?」


加 「ああ、さきちゃんさきちゃん」


高 「おー、加賀君。はろー」


加 「はろー。さきちゃんさ、今度僕の家来ない?」


高 「んなっ!……あの、マンション?」


加 「いや、実家の方」


高 「……なんだー……あ、いや、でもっ……いく!」


加 「皆でおふくろの味探求らしいんだけど」


高 「……なんだぁ……皆でかー……」


新 「彼女は何故ガッカリしてるんだい、女心のわかるヒロアキくん」


山 「それは、最初に、二人きりで自宅デートを夢想してだな、次に家族に自分を紹介!というシチュエーションを妄想し、皆で行くという事実に拍子抜け食らったからだよ。加賀、お前、何で上げてから落とすんだよ」


加 「知らないよ。意識なんかしてないもん!」


高 「加賀君加賀君」


加 「……なんだいさきちゃん」


高 「楽しみにしてるね」


加 「あ、あぁ、うん」




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