34/125
幕間_その9_笑顔について
蔵野まちが俺達の仲に入ってきた。
蔵野まちは、霧野を殺した。
蔵野まちは、山田ひろみを殺さなかった。
蔵野まちは、笑わない。
笑い方を知らない、拾いたての犬猫のように。
笑い方を知らないわけがない。
楽しくしていればきっと笑うだろう。
楽しくしていればきっと笑えるだろう。
山田ひろみは笑った。
霧野みやこも笑った。
ヒロアキも加賀も高島も俺も、笑う。どんな笑顔であれ、笑う。
さて……蔵野まちが笑えるときは、いつになるだろう?
待っててやろうじゃないか。
霧野みやこがいなくなった。その穴は埋められるものじゃない。
埋めなくていい。
霧野の場所は永久欠番。そこに誰が座っていても。
霧野みやこの代わりじゃない。新渡戸夕実の代わりじゃない。
――蔵野まち。
そんな名前呼んでやらない。全てが終わって、蔵野まちの笑顔を見るまで。俺はその名を口にしない。
笑わないのが人間じゃないとか言うわけじゃあないけれど、
きっと俺は蔵野まちが笑うのが見たいんだ。
はは……なんだ、また俺のエゴか。
でも貫く。
蔵野まちの、笑顔を見るまで。
視点:高島さき→新渡戸夕貴




