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第40話:心の奥底に灯る微かな恋心...

レイザリア王女の視点:


ワタシは、応接室のアーチのそばに掛けられた大きなタペストリーの裏に立ち、冷たい石の壁に手を添えて耳を澄ませていた。


......盗み聞きするつもりはなかった。


ただ、兄が――、時に無遠慮で率直すぎる彼が、異世界から来たオルフェミを困らせていないか確かめたかっただけ。


でも、...ワタシの名前が聞こえてきた。そして、彼の声も。


オルフェミの声は、落ち着き払っていて誠実で、嵐の前の大地のように深く響くその声が、部屋を満たしていた。


彼の今の状況と心理だけでなく、過去についても語っていた。彼の黒い肌...、自身の孤独...、そして白い顔ばかりの世界での違和感について......


彼が声を出して紡いでいく言葉一つひとつに対して、ワタシはただ息を呑むことしかできずにいた。


「肌が白かろうと黒かろうと、血の色は皆同じ赤だ」

その言葉には詩的な表現も、洗練された外交的な言い回しもなかった。

それでも、ワタシは心を射抜かれた。


彼の言葉そのものではなく、その語り方に。


これまでワタシの心を射止めようとした銀の舌を持つ貴族令息たちでさえ、あのように語ることはできなかった。


...誠実で、仮面を被らず。


...彼は、この世界の少年たちのようにワタシの地位を崇拝するのではなく、ただ対等の存在として、ワタシの心の中だけを見つめていた。


ワタシは、壁の縁を握る手に力を込めた。


初対面の時、彼がワタシの部屋に突然現れた時、彼を怒鳴ったりして叱りながらの脅しもかけた。


その突拍子もない出来事に戸惑っていたから。だって、彼はどこからともなく現れ、乱れた様子で、混乱し、そしてこの世界のレースと象牙の壁とは対照的に非常に黒かったから。その異様な存在感を持った男が戦士でもない女のワタシの寝室にいきなり出現したら、誰の何処かの貴族令嬢と王女だって驚いて過剰に反応してしまうでしょうー!


でも、...オルフェミがワタシを見た時の目を覚えている。


畏敬でも、欲望でもなく、好奇心というだけで......

ワタシを征服しようとするのではなく、理解しようとしているような顔つきだった。


そして今、彼はそこに座り、兄を笑わせ、地位ではなく人間性で共通点を見出していた。


「俺は白い肌の女性が好きになった」


ワタシは瞬きをし、胸に奇妙な締めつけを感じた。


それは…ヴィオレッタへの言葉だったのか?......それとも、あの軽薄そうなヴェーレナ?


「......もう~」

...なぜワタシは気にしているんでしょう?


ワタシはタペストリーから一歩下がり、鼓動が必要以上に大きく響いていた。

ドクンドクンドクンドクン............


アーチの向こうの部屋は静かで、二人の男の笑い声と杯の音だけが遠くに聞こえた。


ワタシは、隠れてるままのこちらで、そっと大理石の柱に指を滑らせ、自分の白い肌を見つめた。


彼はワタシたちに気づいている。でも、ワタシを見ているのだろうか?


「あはははは.......」

ワタシは自嘲気味に笑った。誇り高きレイザリア王女が、ほとんど知らない男に心を奪われるなんてねー?しかも、異国の、肌の大きく違っている男にー?


それでも…


あの声、あの立ち居振る舞い、あの言葉…。


何かが変わったー!ワタシの中にある何かがー!


王女としての誇りと孤独の層の奥深くで、微かな火花が灯った。


夜明け前の最初の光のように、柔らかく、ためらいがちに......


「~んっ!」

ワタシは身を整え、踵を鳴らしながら静かに部屋から出てきて廊下を歩き去った。

カー、カー、カー!


しかし、心の中では分かっていた。


今までは、会話を弾ませる都合で彼をからかい半分で言っていた誘惑と挑発ともつかぬ言葉の数々とは打って変わってー、

兄との会話を聞いていたさっきの瞬間からは、心の中にあるこれはもはや単なる好奇心だけではない事を悟った。


......今のワタシは、確かに、彼に対してある種の恋慕を抱き始めるのかもしれない。


オルフェミ…彼は、今のワタシにとっての、...大切な存在になり始めていたわー


.................................................

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