第27話:反乱軍の試練
反乱軍のリーダーであるマークは重厚なブロードソードを構え、私と対峙した。
周囲の反乱兵たちは緩やかな円陣を組み、我々の実力が噂通りかどうかを見極めようとしていた。
私はためらわなかった。
「はああ―――!!」
男は荒々しい弧を描いて斬りかかってきたー!
その蛮力はまさに私の頭頂を狙うものだったが、私は素早く流れるように躱し、間一髪で攻撃をかわした。
「ふん!」
キ――ン!
私の剣は既に動いていたが、彼は素早く受け止め、刃と刃が鋭い金属音を立ててぶつかった。
実はオルフェミに話していなかったことがある――私は蹴りや拳を使った素手の戦闘だけでなく、この短剣を使った我流の剣術にも長けていたのだ。
もちろん、あの愛しいオルフェミほどの達人には敵わないけどね……ふふふ。
一瞬、我々は死の舞踏に酔いしれた――閃く刃、滑る足音、斬撃の衝撃で震える地面。彼は確かに強く、歴戦の戦士だとわかった。
だが、私が長年磨いてきた洗練さには及ばなかった。
「それー!」
ガチン――――――!!
手首の一閃で彼の武器を弾き飛ばし、ブロードソードは地面に転がった。
ゴド!
タタ...
私は一歩踏み込み、剣先を彼の喉元に突きつけた。
「降伏する?」
冷たい瞳で見下ろしながら、静かに問いかけた。
反乱軍のリーダー、マークはしばらく睨み返してきたが、やがて頷いた。
自尊心は傷ついたが、生存本能が勝ったようね。
「......やるな」
彼は何とも言えないような顔で呟き、後ずさった。
「...あの鋭いヒールで人を殺すのが得意なだけかと思っていた……噂ではな...」
私は滑らかに剣を鞘に収め、
「あら、私の真の実力を見る機会があればもっと驚くと思うわよー?」
と挑発的に返してやった。
周囲の反乱兵たちは不安げな視線を交わしたが、私の注意は既に次の挑戦者を待つオルフェミに向いていた。
妖艶な女暗殺者が肉食獣のような笑みを浮かべながら進み出た。
「参る!」
黒い革服が体の曲線を強調し、長い黒髪が暗い波のように揺れる。
その瞳は死の予感を宿し、空気さえ重くなった。
「私はマリッサだ」彼女は柔らかくも危険な声で言った。
「噂通りの戦士か確かめさせてもらおうか、黒き異国の騎士よ」
私は胸の内で可笑しさを覚えた。
オルフェミの戦いぶりは何度も見てきた。この女がどれほど腕利きでも、彼の緻密な殺戮技術には及ぶまい。
「せいー!」
マリッサは稲妻のような速さで間合いを詰め、オルフェミの胴体へ蹴りを放った。
だが彼は既に動いており、紙一重で攻撃をかわした。
「これならどうだ!」
マリッサは空中で体を翻し、今度はオルフェミの頭部を狙って回し蹴りを繰り出した!
しかし彼はさらに速く、低く身をかがめて彼女の足首を素手で掴んだ。
「「「「「「「—―!!?」」」」」」」
反乱兵たちが息を呑む中、オルフェミは熟練のレスラーの如くその足を捻り、見事な投げ技で地面に叩きつけた!
...ああ、これがもしあの時の試合でオルフェミが手加減しなかったら私が喰らっていた投げ技だったのね……
やっぱり彼、私の美貌と鋭い『男殺し』のハイヒールに魅了されてたんだわ~。
だからこそ、私の前だけではいつも控えめマゾ男になってるの。だって私のこのセクシーな身体、足と靴が欲しいんでしょ? ふふふ……
戦闘に戻ると、マリッサは藻掻いたがオルフェミの圧倒的な力の前に動きが完全に封じられている。
「く―ッ!」
彼女は悔しそうに喘ぎながらも、彼の力には逆らえなかった。
「降伏するか?」
オルフェミは静かに問うた。
「......」
暫くの沈黙の後、マリッサは歯噛みしながら頷いた。
「……認めるしかないな」
彼女は苦々しい声で呟いた。
「さすがは『漆黒の猛騎士オルフェミ』……噂通りだな」
オルフェミは立ち上がり、手を差し伸べて彼女を起こした。マリッサはしぶしぶそれを受けながらも、なおも彼を睨みつけていた。
パチパチパチパチ!
「...見事だ」打ち負かされた反乱軍のリーダーであるマークが拍手を送りながら再び前に出てきた。
今やその眼には渋々ながらも敬意が浮かんでいた。
「お前たちの実力は認める。協力しよう……今のところはな。だが、まだこの戦いを忘れるつもりはないぞ!」
私は冷たく微笑み、顔にかかった銀髪を払いのけた。
「賢明な判断ね、ふふふ......」
マークが仲間たちと話し合う中、他の反乱兵たちの目に認めの色が浮かんでいるのが見えた。少なくとも今は、我々は彼らの信頼を勝ち取ったばかりなのだ、今のところわね。
オルフェミがそっと私の傍らに立った。無表情だが、その佇まいに静かな誇りが感じられた。
「彼らの信頼を得たわね」
彼は頷き、
「今のところは」
とだけ答えた。私がついさっき内心でしていた感想と同じようね。
私は再び反乱軍たちを見回した。空気にはまだ緊張が残っている。これはほんの始まりに過ぎない。
小さな戦いには勝ったが、真の戦争はこれからだ。
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