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第26話:駒がやっと動いた!

2日後:


私は一人、居間でくつろぎながら紅茶を啜り、ここ10年で王都の高級靴店で販売された優雅なハイヒールの種類を解説した指南書を楽しんでいた。すると、扉がきしむ音がして、私の思考は毒薬の専門家・ソーンブライヤーの登場によって遮られた。


「ヴィオレッタ様!」

彼は砂を噛むような声でそう呼びかけ、ろうそくの陰で顔を晦ませていた。その荒れた風貌は、いつも私に、物理的にも政治的にも、数え切れぬほどの戦いをくぐり抜けてきた男を思い起こさせた。


「問題が発生しました」


私は背筋を伸ばし、姿勢を硬くした。ソーンブライヤーは、どんな些細な会話さえも緊迫したものにさせる才能の持ち主だわ。

「どうしたの?」


「王子が動いています」

ソーンブライヤーは険しい表情で一歩踏み出し、一枚の羊皮紙を私に手渡した。


「エドウィン王太子が我々に対抗する動きを見せています。国王を廃する計画は、我々の想定より遥かに進行している。一週間後、彼は王城にて国王を暗殺する用意周到な計画をつい実行に移す動きを見せていたと、放ったスパイがさっき報告しに戻ってきた!」


私は彼から紙を受け取り、丹念に書かれた文字を目で追った。そこには、王国を不安定化させ、婚約者である聖女エリラを傍らに玉座を奪うための戦略が詳細に記されていた。


この情報は腹にこぶしを突き込まれたような衝撃だったが、私はそれを表に出さなかった。タイミングは完璧すぎた。王子は機をうかがい、今まさに動こうとしている。


「反乱軍は集まった?」

内なる混乱にもかかわらず、私の声は冷静だった。


ソーンブライヤーは頷いた。

「はい。王子の陰謀にうんざりした元貴族や平民たちです。彼らは証拠を待っていました――王太子が国王を裏切り、王座を奪おうとしている確かな証を。そして、儂はそれを手に入れてきました」


私は目を細めた。これだ。これがエドウィンを倒す鍵だ。

「それを利用できるわ!」

私はつづく、

「彼らと連携し、同盟を結ぶ必要があるの。迅速に動けば、計画が実現する前に阻止できるわね」


ソーンブライヤーの目には一瞬、称賛の色が浮かんだが、声は慎重そのものだった。

「反乱軍は警戒するでしょう。彼らは貴族の血を引く者を信用しません――貴女のような、模範となれるような貴族とは風変わりな恐ろしい人物に対しても。...だから慎重に進める必要があります」


私は胸に湧き上がった可笑しさと共に薄笑いを浮かべた。

「反乱軍の扱いなら心得ているわ」


私は、貴族社会の裏も反乱の底辺も見てきた者の自信を声に滲ませながら言った。


「彼らと会い、信頼を得て、彼らの持つ情報を利用するの。王太子は足跡を消すのに忙殺され、まともな防御もできなくなるはず」


「だが、彼らは我々を受け入れないかもしれません」

ソーンブライヤーの声は今や真剣そのものだった。

「彼らは長年、玉座の援助なしに戦ってきた。約束だけでは足りない」


私は窓の外を見た。夜空は果てしなく広がり、星々は変化と反乱の予感できらめいていた。


「なら、受け入れさせるだけだわ」

私は静かな確信を持って言った。


「我々に何ができるか示してやるの。だけれど、急がねばならない。待てば待つほど、王子の力は増していくばかりだわ!」


私は既に先を見据えながらソーンブライヤーに向き直った。「会合の準備を。オルフェミとヴェレナを同行させる。それと、これからのエレインの保護も最優先よ」


ソーンブライヤーは無数の裏切りを生き延びた男の知恵を目に浮かべながら頷いた。

「御意!速やかに準備を整えていきます」

タタタ.........

彼が去っていくのを見送りながら、私は迫り来るものの重みを感じずにはいられなかった。


我々は今までで最大の試練に直面しようとしている。そのプレッシャーがひしひしと迫ってくるのを感じた。


だが、私の頭にはもう一つ気がかりがあった。ヴェレナだ。


彼女の存在感はグループ内で新たな勢力となり、オルフェミの注意を少しずつ私から引き離していた。その美しさ、冷静な自信、戦闘技術――どれも否定できない。


......そして、オルフェミの変化を感じ取っていた。彼は彼女に引き寄せられつつある。


それが私を苛立たせるのも認めざるを得ない。


だが、今はそんなことはどうでもいいわ。


行動を起こさなければ、王太子は私が戦い抜いてきたもの――私の一族が築き上げてきたすべてを破壊するだろうね。もはや遊んでいる場合ではない!


「動くわ」

私は独り言のように呟いた。

「反乱軍を見つけねばならない。そして、手遅れになる前にエドウィンを止める」


..............................................


翌日の反乱軍キャンプ:


反乱軍のキャンプに近づくにつれ、空気に張り詰めた緊張が感じられた。


私のハイヒールブーツは砂利道を軽く軋ませ、背後ではオルフェミがいつもの静かな優雅さで歩み、その存在は力の約束のように重くのしかかっていた。


反乱軍の拠点――廃墟となった古い屋敷――は王国の森の奥深くに隠され、虐げられ、幻滅した者たちが集い、エドウィン王太子を倒すための策を練っていた。だが、彼らの信頼を勝ち取るのは容易ではない。


キャンプに足を踏み入れると、反乱軍は疑いの眼差しで我々を見ている。


その視線は鋭く、冷たかった。


彼らが我々を疑うのも無理はない。


我々は貴族だ――裏社会で奴隷商人とそれに関わってきた、表では違法な奴隷売買に関わってきた下級貴族を次々と抹殺してきた『殺戮の魔女』とも呼ばれている『悪白女』としての悪名高い銀髪の貴族令嬢である私、ヴィオレッタ・フォン・アウステルリンドと、異国の戦士オルフェミ。


彼らが最も必要としないもの、それは新たな貴族の裏切り者だった。


彼らの視線が我々の服装、武器、存在そのものの細部までをなぞるのが感じられた。

ちなみに私は今動きやすいような短いスカートやハイヒールブーツ(ヒールのところは人を刺し穿つためにもっと鋭い黄金色の鋼の尖りがついてる)と高級な貴族用の礼装をオルフェミの眼の色と同じ紫色で出来ているものを着てきた。


何人かがひそひそと囁き合い、盗み見るように視線を交わした。


「証明する必要があるわね、あれでは...」

私はオルフェミに小声で呟いた。


「承知しています」

オルフェミは黒曜石のシミターの柄に手をかけながら静かに答えた。


私は彼に頷き、焚き火のぱちぱちという音だけが響く沈黙の中、一歩を進めた。


反乱軍の一人――傷痕の残る逞しい男が、我々に向かって歩み出た。彼はグループのリーダーらしくて、自分をマークと名乗りその目は私を疑いのままに捉えていた。


「参加したいだと?」

マークの声には不信感がこもっていた。

「なら、戦えることを証明しろ。ここに弱虫は要らん」


私は眉を上げ、剣の柄に指を絡めた。

「いいわよ、それ。なら、私達がどれほど戦えるか、証明してあげるわ、おほ!」

パチー―!

手首の一閃で、私の剣は既に鞘を離れた。


戦端の幕が切って落とされた!

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