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第22話:王子の剛刃との戦闘

奥の間で軽い軽食を済ましての休憩時間の30分後:


敵の気配もなく、完全に安全と思われるこの奥の間で一息ついていると、私たちが通ってきた廊下の影から、不揃いな布に身を包み、あらゆる刃物より鋭い皮肉を良く言えてきた足を引きずっている『彼』が現れた。


毒薬師ソーンブライアーだ。


「ヴァイオレッタ嬢、オルフェミとエレイン!」

彼は疲れた目をきらめかせて笑った。

「生きてたか。まあ、それもそのはずかー」


オルフェミがうなずき、エレインを指さした。

「この子を早く家に帰さねばな」


ソーンブライアーは首を傾げた。

「俺たち全員がそう望んでるはずじゃないかな、青年?」


そして彼女が現れた。


鋼鉄の賛美歌のような鉄靴のハイヒール足音。


シスター・ヴェレーナが肩にメイスを手提げ袋のようにぶら下げ、自信に満ちた動作で乱入してきた。

戦いでぼろぼろになった修道服が、彼女を一層輝かせている。


オルフェミを見つけると、彼女は止まった。


「あらまあ~」

冷たい青い目を細めながら言った。

「百戦錬磨のアンハラ剣士オルフェがこんな…子煩悩な父親面してるなんて、聞いてなかったわー」


エレインは瞬きした。

「『子煩悩』って何?」


「げっ!」

私は大声でうめいた。


「くすくす~」

ヴェレーナはさらに笑みを広げた。


「よく見させてもらったわよ、オルフェ。じっくりと」


私も彼女を見た。


笑う時に少しだけ近づきすぎる仕草。通り過ぎる時、彼の腕に触れた白い指が長すぎる一瞬。まるで乗りこなしたい未来の駿馬の力を試しているようだった。


その視線は見覚えがあった。私も使ったことのある視線だ。


そして初めて、それが憎らしくなった。


「...妬みなんて珍しい香りだね」

脇でソーンブライアーが呟いた。


「何ですって?」

私は振り向いた。


彼はくすくす笑った。

「足元には血、胸中には炎を宿すヴァイオレッタ嬢。もはや任務だけが目的じゃないようだね?」


私は彼を睨んだ。


彼も謎めいた目で見返してきた。


「異国人に恋した娘たちの話をしてあげようか」

彼の声は重くなった。

「その末路に花束はない」


「恋なんてしてないわー!」

私は歯噛みした。


「そうか...」彼は頷いた。

「ただ内側から燃え上がっているはずだ。誰もかも救ってきたのに、自分だけは救ってくれない男に対してな?」


その一言が刺さった。


数分後、ヴェレーナはメイスを研いでいた。わざとらしく、大きな音を立てて。


ソーンブライアーは観劇するように持参してきた魔導道具を使って淹れた紅茶を啜り。

私は?


冷たい石の上で胡坐を組み、ハイヒールを脱ぎ捨て、膝を抱えていた。


あの子が彼を「パパ」と呼ぶ声を思い出しながら。


この胸の痛みを、いつまで無視できるものか悩んでいる最中だ。


その後、私たちはあの壁面の壁画に仕掛けられた難解なパズルを見事に解き、目的の物を手に入れた。


ソーンブライアーによれば、王子の部下たちは数日前にここまで来たものの、古代の神々しい神々の遺物——正しい操作法を解読すれば強大な力を授かると言われる——『あれ』を回収するためこの先に進むのに苦労し、結局失敗したらしい。


私たちは違った。手にしたのは小さな水晶玉。

『神玉』だ。


彼らが探し求めていた遺物が、今や私たちの手中に! あとはこの使い方を解読するだけ…だがソーンブライアー曰く、口で言うほど簡単ではないらしい。


.................................................................................


その後、私たちは私の屋敷に戻り、2日が過ぎた今、屋敷の裏庭——首都郊外に続く森に繋がっているところへ訓練しに向かおうとした時、彼が現れた!


怪物は角と爪で武装していると言われる。


だが時として、真紅のマントを纏い、死刑執行人のように微笑むものもいる。張り詰めた空気。腐敗ではなく、血の雨の前の静寂。そして彼はそこにいた。


グレゴール・フォン・ミーデル。


「王子の鉄拳」

と呼ばれる男。

その理由がわかった。


傷だらけの真紅の鎧に身を包み、騎士のグロテスクなパロディのように兜を脇に抱えた巨体——いや、まさに巨人だった。


岩のように彫られた傷痕だらけの顔。そして眼…人間らしさのかけらもない。


「ヴァイオレッタ・フォン・アウステルリンド...」

冬の砂利のような声で彼は言った。

「裏切り者。魔女。がっかり娘」


私は微笑んだ。

「あら、褒め過ぎですわよ~?」


彼は私を通り越し、オルフェミを見た。


「そしてお前が外国人か。あの悪白女と結託し、我が国の偉大なる諜報員と『貿易の専門家』たちを虐殺した忠実な黒犬め」


オルフェミの手が剣に伸びた。

「奴隷商人と腐った貴族の命なんて、誰が気にする?」


「もう御託はいい!お前らの運も今日ここまでだ」

グレゴールが突進すると、地面が割れた。


カチャ―――!!

オルフェミはシミターで彼の大剣のような刃を受け止めた。


カチ―――!!

金属音が響く。


オルフェミの速さは私が見た中で最速だった!


だがグレゴールは圧倒的。

一撃ごとに石が砕け、壁が崩れる。


オルフェミは関節を狙い、防御をかいくぐりながら舞うように戦った。しかし攻撃が決まっても、グレゴールは微動だにしない。何かの魔法の加護を受けて鎧に覆われてない箇所が障壁か何かで守られてるはずだわー!


そしてオルフェミ…彼の動きが鈍ってきた。


そして、殺気の気配。


まだ彼のものではない。だがすぐにくる!


その時、怒号が。


「神なきクズども! 幼子を誘拐し奴隷として売り飛ばすとは――――――!!!」


ヴェレーナが屋敷入口の見張り塔から飛び降り、聖人の怒りの如くメイスを回転させながら落下―!


二人の間に着地し、オルフェミ目がけて向かっているグレゴールの重い一撃を武器で受け止めた。衝撃波でオルフェミは危険域の範囲内から吹き飛ばされ、安全なところへー!


「オルフェ―!曲がった黒曜石の剣でこの邪悪なる者の首を取れー!」

ヴェレーナはオルフェミに活を入れるよう叫びながら牙をあの大男に剥いた。


「あんな大剣を振るう相手に良く立ち向かってきたわ、オルフェ。根性あるねー!」


オルフェミは瞬きした。

「…褒めてるんだよな?」


彼らが鋼と信仰で王子の怪物と戦う間、私はそこの死角の影から私たちを包囲しようとする偵察兵たちに向かった。


あらま、そうはいかないわよ、ふふふふ~!


グローブを調整し、ヒールを上げる。


「もっと近くに~!」

私は囁いた。


タタタタ――――!!

彼らは近づいた。

「うぎゃああ――!?」

そして死んだ。


ヒールで頭蓋骨を砕く音は独特の音楽だわ。


湿り気があり、満足感があり、絶対的よ。


「きゃああ――――!?」

振り返ると、ついにヴェレーナを押し倒したグレゴールがいた。


「貴様―――――!!」

彼女を助けるべくオルフェミが咆哮し、光を反射させた刃と共に突進するー!


タタタタタタ―――!!

だが私の方が速かった。


グチュ―――――!!!

私のハイヒールがグレゴールの無防備な脇腹に突き刺さり、乾いた肉を貫くように食い込んだー!


彼は驚いた目で振り向く。

「お前…」


「私よ~?」

私は甘く言った。


彼が振り回してきた刃。かわした私。


くちゅー!

そして軸足を回し、靴のヒールを彼の無防備な左目に突き立てたー!

頭部を障壁で守らてなかったのを見るに、やっと全身から魔術の加護が切れたわね、うふ~!


「がー!」

激痛のあまり彼は倒れて気絶したようだわ!


「私の仲間に手を出すんじゃないわよ、痴れ者が!」


彼はもはや戦闘継続できずな状態で意識を失ったまま崩れ落ちた。

敗北したが、彼はまだ死んでいない様子ね。


オルフェミが少し驚いた目で私を見た。感心しているのかも。


そして彼は私のヒールの血に気づいた。


彼はたじろいだ。


やだわ~。


これだけあなたの負担を減らすために戦ってきても、まだ私を恐ろしい者のように見てるその目......


確かに、恐ろしい存在であるのかもしれない。


だが私の望むものは、私を恐れるよりも、私を失う可能性の方を恐れてほしいところだわ。


願わくば......


だが今は、グレゴールのマントでヒールの血を先に拭うのが先決よね。


「ふふふふ~」

気絶した彼をそのままにしておくと思う~?

サディスティックな表情を浮かべる最中だろう『悪白女』の私はこれから彼にしようとすることを想像すると、内心では小躍りしたくなる程に嬉しくなったわ~、あ~ははははは――!!



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