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第16話:ハイヒール靴の下に悩む俺の心......

ヴィオレッタのハイヒール靴に口づけをした後のオルフェミの視点:


......かつて俺は、故郷の夢を見ていた。


俺は生まれこそはこの『トレヴァリス王国』にて父が現地のとある田舎領地を持っている男爵家に売られたアンハーラ系の女性奴隷とまぐわってその後の俺は産み落とされた。


父の祖国に帰る機会の時に、それは太陽に照らされた丘、父と少しだけ肌色がより薄い、漆黒ではなくただの褐色肌の貴族夫人の義理の母の指先に残るタマリンドの香り。


夜の空気に響く太鼓のリズムと、焚き火の灯りが黒曜の肌に踊る――それが、俺にとっての安らぎだった。心の錨だった。


だが今は。


今、俺は彼女の夢を見てる。


鋼に差す月のように輝く銀髪。

戦鼓のように響くハイヒールの音。

ベルベットの刃のような声。


......白い人の国、『トレヴァリス王国』の公爵家の令嬢である『ヴィオレッタ・フォン・アウスタリンド』......


……くそったれ。


あの奇襲で、俺の彼女への注目と意識のターゲットは終わるはずだった。

最初の襲撃で終わるべきだった。

血まみれの廊下を俺がエレインを抱えて走る中、ヴィオレッタ嬢は襲撃者虐殺の中で笑っていた――奴隷商人の血に濡れたヒールを鳴らして。


だが終わらなかった。


ヴィオレッタ嬢は引かず、

邸宅の中で、空気の中で、そして俺の頭の中で、

その存在感を押し広げていった。


そして今――誰が誰を支配しているのか、もう明白だ。


俺はゲストルームの窓辺に寄りかかり、上半身裸のまま膝の上に剣を置いていた。

月は丸く輝いていたが、俺の思考は別の場所を巡っていた。


彼女の香りは、いまだに唇に肌に残っている。

ラベンダーと革、そして火薬の匂い。


声が脳裏にこだまする。


「口づけをしなさい」


俺はした。

膝をつき、従った。

まるで犬のように?


――違う。犬なんかじゃない。もっと悪い方だった。


...俺は「男」だったから。


最初に彼女をあのボールルームの中から連れ出した時みたいに、ただ彼女の事を尊敬しているだけー?

もう、それだけじゃない気がしてきた......


彼女の綺麗な足が胸に押し当てられた感触を思い出す――軽く、しかし十分に重く。

「私が上よ」

と無言で告げるようだった。


彼女は淑女のようには戦わない。

彼女は『自然の猛威を発揮できる悪女』のように戦う。


彼女は俺に対して問いかけたりなんかしない。

命令したんだった。


――彼女のことを最初から気に入ってるから、自ら進んで雇われてる身とはいえ、仕事の範囲内以外のそれでも俺はハイヒールへの口づけ命令に従った。


なぜか?

その一部は……従いたかったからだ。

いや、今も――そう思っている。


それ以来、毎晩彼女が夢に現れる。

言葉はない。必要がないのだ。


彼女はただ歩く――

大理石の床を、まっすぐ俺の方へ――

心音のように響くハイヒールの音。


顔は静かで、銀の睫毛は伏せられている。

そして彼女が俺の前に立つと、俺は必ず目を落とす。


彼女の足元へ。


美しく、冷たく、完璧で――危険な存在。


またキスしたいという欲望が、

腹立たしいほど強い。


いや、それ以上も許されるなら、とすら思っている自分がいる。


......俺が本当に、ヴィオレッタ嬢の前だけマゾになったのか......?


俺は胸に手を当てた――彼女のヒールが触れていた場所に。

痣は残っていない。

だが、感触は消えていない。


見えない傷もある。

そして――

鉄ではなく、「渇望」で織られた鎖もあるのだ。


俺はオルフェミ。

南方の砂漠国家に生まれた刃。

王を屠る者。

鎖を砕く者。


だが今夜、私はただの「男」だ。

一人の美しい『悪い白女』の虜になってしまった憐れな子羊だ。


そして、俺の世界で最も危険な存在......


血塗られたセクシなハイヒール靴を履き、

俺の名を吐息に乗せる、

蒼白の悪女。


.......ヴィオレッタ・フォン・アウステルリンド。


......................................

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