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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆


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(470)散策

「ご主人様。この国に関して・・・ミルバ様からは何かお聞きになっていますか?」


 ハートクィーンはこの国が少々異質だと肌で感じているのか、さり気なくロイに対して何らかの情報を持っているのかを確認している。


「うーん。ミルバ君は余り情報を持てる立場じゃなかったからね。タッシュ先生達によれば周辺国家とはあまり交流がないみたいだから、当然この国・・・名前も分からないけど、この国との交流も無いだろうね」


 つまりミューゼ王国では何も情報を持っていない事になるので、これはある程度調査が必要かもしれないと思った所でロイに釘を刺されてしまう。


「一応余計な調査はなしだからね?」


 一般人の域を出ないロイでは入国審査が多少緩いと感じる程度の感覚でしかないので、道中の会話から常識が通常範囲に収まっていない事を確認できてしまった事もあって情報収集を禁じている。


「承知しました。それでは宿に向かいましょう!」


 先ずは宿を取ってそこである程度国に対する情報を得た上で町を散策する方が効率は良いので、ハートクィーンもその通りに行動している、


「正直あまり活気はない・・・かな?」


 普通に生活をしているように見えるのだが周囲の人々が何となく元気がなさそうな気がしており、食料不足なのか?と考えながら宿を探している。


「その様です。過剰に弱っている状態ではなさそうですが、風土病でしょうか?全員が同じように非常に若干ですが衰弱しているように見えますね」


 癒しに長けたハードクィーンであれば鑑定せず共見ただけである程度の情報は他のカードの者達よりも詳細を掴めるので、余計な情報収集はするなと言われている以上敢えて能力を使わずに出来る範囲で得た事実を伝えている。


「風土病なら・・・考えられるのが何か大気に悪い物質が漂っているとか、水か食料が汚染されているとかかな?」


「そこは現時点で何とも言えませんが、大気は問題なさそうです。食事等に関しましては、念のために私の方で確認させて頂いても宜しいでしょうか?」


 ロイとしてはこの程度は問題ないと思っているし寧ろお願いしたいので肯定する。


「うん。そこはお願いするけど、仮に何か入っていても騒がずにそっと教えてね。場合によっては無毒化?をお願いするかもしれないかな」


「承知いたしました」


 そうこうしている内に宿を見つけて宿泊の予約をして、主人にこの国の特産や状況に関して世間話しの体で情報を得ているハートクィーン。


 ロイが担当しようと思ったのだが些事は自分の仕事だと感じているのか、先に話し始めたハートクィーンしか宿の主人の目には入らなくなっているのでロイは半歩引いて黙って二人を眺めている。


「うーん。これってやっぱり綺麗すぎる弊害だよね。仕方がないけどさ」


 少し振り向けば宿泊客も性別問わずハードクィーンを凝視しているので思わずこのように口にしてしまうのだが、ここは改善?する事は不可能だと思っている。


「ジャッ君が来られればそれでも良いかな?」


 豪快である意味尊大ではあるが何もなければ普通の人と認識されるダイヤジャックであればここまでの状況にはならないので、次は男性のカードを顕現させて同行させる事もアリかもしれないと考えているロイ。


 実はダイヤジャックも女性陣からは憧れの目で見られていたのだが、本人は一切気にしていないので気が付いていないしロイも凶行や暴言に意識が向いていたので同じく気が付いていなかった。


「お待たせいたしました。宿の方からすれば今が標準で何も不都合を感じていないそうです。私が過剰に反応してしまったのかもしれません」


 直接住民から得た情報なので、鑑定等を行っていない事からそもそも国内の住民の体質なのかもしれないと思っているハードクィーンだが現実は異なる。


「そっか。とりあえず何が美味しいかとか見所とかは聞いてくれた?」


「はい、勿論です!何でも見所は闘技場だそうですよ?そこで定期的に異形の者との戦闘を行っているそうです。入場にはそれなりの費用が掛かるそうですが、そこで配られるお食事は無料で美味しいと評判だそうです」


 正直ロイは余り血生臭い催しは好んでいないのだが、予め決められた動きをする見世物の可能性も有るので一度は見ておくことにした。


「一度見ておこう・・・かな?ハートクィーンは大丈夫?」


 思わず確認してしまったのだが冷静になれば自分よりも遥かに強く各種耐性があるので、どの様な環境であろうが問題ない事を思い出した。


「もちろんです!ご一緒させてください!ロイ様!!」


 敢えて街中ではご主人様呼びを禁止しており、この様に人目を引く美女からその様に呼ばれてしまえば妬みから真面に観光が出来なくなると思っていた。


 実はこの国の重鎮やある程度の地位にいる者以外、内部に滞在している人物は漏れなく魔力を徐々に抜かれているのだが、ロイは現時点で魔力供給の指輪を装備しているしハートクィーンや足元のスペードキングは多少抜かれても気にならない程に膨大な魔力を有しているので全く気になっていない。


 これこそが住民達に活気がない原因でハートクィーンが風土病かもしれないと口にした理由になり、異常な防壁も外部に魔力を漏洩させない対策になっている。


 実は入国審査の際に魔力の量を計測していたのには理由があり、余りにも保有魔力がない人物を入国させては短時間で体調不良になり最悪は死亡する可能性が高い事から、ふるいにかける為に行われていた。


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