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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆


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(468)活用

 過去に遭遇してジョーカーの僕になっている盗賊とは明確に状況が異なる事から、スペードクィーンはロイがするであろう行動を先取りして実行する事にしている。


「ではこうしましょう!皆さんはこの書状を持ってミューゼ王国のミルバ王子かタッシ先生を訪ねてください。そこで新たな仕事を得る事が出来るでしょう。とは言え一方的な施しでは互いにしこりが残りますよね?いくつかお願いがあります」


 強奪と言うよりも盗難しようとしていた事がバレているのは明らかだが、何故か過去に渇望して絶対に叶わない普通の生活が出来そうな方向になっているので事情が呑み込めない人々。


「・・・一先ず、こちらをどうぞ」


 ある程度人について学んでいるカードの者達なので、今の状況で説明をしても頭に入らない事を理解したスペードクィーンは食事と必要に応じて回復薬を提供する事にした。


 突然目の前に机と食料が出現したので腰が引けてしまうのだが、最も欲しているモノの一つである事から机の上とスペードクィーンを交互に見ている。


「温かい内に食べられた方が良いですよ?時間は有限です」


 お見合いが続いてはロイと過ごす時間が無くなってしまうと思っているので、少々本音が漏れてしまっている。


 言われた方としては毒だのの混入を気にしているのだが、そこを踏まえても食べてみたいと思わせるほどの匂いがしている事に加えて優しい微笑のスペードクィーンを見て・・・誰ともなく口にし始める。


 その勢いは一気に増しており、飲み物には回復薬を混入しているので誰しもが気が付かない内にある程度万全の状態になっている。


 過剰な回復を行わないのは、余りにも状況を改善しすぎると満腹後に来るのは恐ろしい程の眠気になるので大切な説明を聞いてもらえない可能性が高いと判断したからだ。


 ある程度食事のスピードが落ちてきた所を見計らい、スペードクィーンは説明を再開する。


「皆様。ミューゼ王国に向かって頂くのですが、その際のお願いについて説明させて頂います。あっ、お食事はそのまましながら聞いて頂いて良いですよ」


 一部は食事の手を止める姿勢を見せたので好感が持てており、これならば食事をしながらでもしっかりと聞いてくれるだろうと判断している。


「お願いと言ってもそう難しい事ではありません。この手紙にも書かせて頂いておりますが、タッシュ先生とミルバ王子からのお願いは積極的に聞いて頂きたいのです。それと・・・定期的に皆さんの生活圏で得た情報、内容は問いませんが周囲の情報も含めてタッシュ先生に報告してください」


 こうする事でタッシュやミルバでは聞き及ぶ事が出来ない国内の情報も得る事が出来るし、彼等だけでは対処できない事態に陥る可能性が高い場合には必要に応じて女神像を通してタッシュからの何かしらの要望があるだろうと考えている。


 今はジャッ君に扮したダイヤジャックがいるので全く問題はないのだが、ミルバが王位を継承した時点でミューゼ王国から撤収する事は決定しているのでその後の安全対策の意味もあってこのようにしている。


「そんな事で宜しいのでしょうか?その情報とは・・・危険な環境でなければ得られない情報ですか?」


 言われた方としては正直非常に甘い依頼なので実は身の危険がある依頼なのではないかと敢えて確認している程なのだが、一蹴される。


「そのような事は有りませんよ。敢えて危険な状況になる可能性と言えば・・・飲み過ぎや食べ過ぎでしょうか?周囲から情報を得る手段としてはお酒が入る場所で活動する事が最も有効ですからね。その際には十分お気を付けください」


 この言葉を鵜呑みにすれば、普通に飲みながら話している内容をタッシュに定期的に報告すれば良いだけなので未だに信じられないのだが、これ以上聞いても変化はないと思ったのか追加の質問をする人物はいなかった。


 誰しもが何となく納得できないながらも少し期待に満ちた目をしており、食事を継続しているがやがて満腹になってその手が止まる。


「もう宜しいですか?」


「はい。ありがとうございます。私達の様な者に温情を与えてくださり感謝いたします」


その後の言葉・・・今後どうなっても構わないと言う言葉を敢えて飲み込むのだが、スペードクィーンとしては何かを言い淀んだことは理解しながらも正直興味がないので早速次の行動に移る。


カードを通じてダイヤジャックには状況を説明済みで、ある意味流浪の民がタッシュかミルバを訪問する事と今後の彼等の動き、間者の様な仕事をするように言い含めている部分を先行して連絡してもらっている。


 当然過剰な動きは出来ない事も伝えており、普段は一般的な仕事・・・例えば掃除や洗濯、配膳等の仕事が出来るように手配をしておけば、定期的に民の情報も得られる事も含めて展開されている。


 ミルバは初めて王となるので情報を得る手段は多数必要になるだろうが、ダイヤジャックや貴族だけではなく民としてその役割を担ってくれる存在がいれば大いに助けになるだろう。


 タッシュは女神(スペードクィーン)からの指示であれば何を置いても実行する事は間違いないので、結果的にミューゼ王国の安定に寄与できることになる。


「それでは道中のお食事も此方に準備しておきました。間違いなくタッシュ先生かミルバ王子にこの書状を見せるのですよ?」


 小さなバックと書状を渡すとスタスタとこの場から消えて行くスペードクィーン。


「これが・・・」


 もちろんダイヤ部隊が作成した特殊なバックの為に中身は盛沢山なので、一食分程度しかないのではないかと不安になって思わず手を入れて中身を取り出すと・・・バックの大きさと釣り合わない食料が出てきて腰を抜かしていた。


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