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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆


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(462)ゼシュー不在

「ゼシューは戻らんのか!」


 既に国王ステヴァンを内心では見限っている貴族が大半ではあるが、一応対外的にも国家が不安定である事を悟られてはならないと言う最低限の矜持がある事から今の所はこれまでと対応に大きな差はない王城内部。


「残念ながらお戻りになっておりません。どうやら地下の国・・・ですか?そこに移住したとの話しが出回っておりますが、そもそも地下の国など何処にあるのか少々怪しく感じている所です。調査されますか?」


 未だに国王を主君と仰いでいる数少ないとある貴族がこのように回答しており、立ち位置から正確な情報を仕入れる事は出来ていないが聞こえて来た情報を開示している。


 口にしている当人としても地下の国など非常に眉唾だと思っているので噂話の範疇を出ていないと感じながら告げているのだが、その部分に関して事実を知っているステヴァンとしては一気に話しの信憑性が増してしまう。


 そもそもゼシューは有り得ない程の力を得ているので、今落ち着いて考えれば自らの立ち位置を脅かしかねない脅威となり得ると理解する。


「・・・そうか。地下国家云々はさておき、ゼシューは恐らく戻らんだろう。お前もそのつもりでいろ!」


 今の所は希望的観測の元でこのように告げているのだが、確定的な情報が欲しいので行きたくも無いが学校に赴いてダイヤジャックと話すほかないと重い腰を上げる。


「フン。相変わらず煩い授業だ。この状況で学べることなどたかが知れているだろうが!」


 勝手な想像で文句を言いながらも魔力分野の教室の扉を開けさせて中に入り、目的の人物がいる事から外に連れ出す。


「そこのジャッ君とミルバ王子は外に来るように」


 当然王本人が指示するわけではなく護衛の騎士から命令が下されるのだが、ダイヤジャックが素直に命令に従う訳がない。


「どの様な要件だが知らないが、今は授業中だ。見てわからんのか?仮に下らない用事で大切な授業の邪魔をした場合、応分の報復がある事は理解しているだろうな?」


 今授業をしているヨーレイやクラスの面々もこうなる事は明確に予想出来ていたので、最早国王に対する暴言であっても誰も驚く事は無く静観している。


 この状況が良いか悪いかはさておき教室内部に混乱は起きていないのでロイとしても安心しており、細かい判断はダイヤジャックに任せている。


 護衛騎士や国王本人もダイヤジャックの力に加えてダイヤジャックの親戚や姉の力も嫌と言う程理解しているので強硬策に出る事が出来ず、素直に疑問をぶつける事にした。


「今回はゼシューに関して聞きたい事があって来た。知っていると思うが長期間行方が分からないのでな。その辺りの情報を持っている可能性が高い人物に個別に聞こうと思ったのだ。知っているか?」


「なんだ、その程度の事か。まぁ答えてやらんでもない。ゼシューは異なる国家で楽しそうに生活しているぞ?本人が望んだ結果だ。戻る事はないだろうが・・・お前が会いたければ同じように連れて行く事も吝かではないぞ?」


 具体的な国名は言わずとも地下の国を指している事程度国王は理解できるので、その様な場所に行きたいとも思わない事と知りたい事は知れたので素直に引く。


「いや・・・遠慮しておこう。状況がわかればそれで良い。邪魔したな」


 一連の流れを見て仮に自分達が不在になった場合・・・タッシュやパーミアを含む教師陣、豪商ロロニアドの助力があっても同じように対処できるのかが不安になっているロイ。


 あくまでジャッ君と言う立場の存在が明確に睨みを利かせているから今の様に国王も素直に引いているので、その楔が無くなればこれまで抑えられていたモノまで一気に噴出して大きな被害が出るかもしれないと考えている。


 再び夜・・・宿の部屋でダイヤキングに自らの懸念を告げるロイ。


「理解しました我が主。解決策は一つでございます」


 迂遠な言い回しや全て自らが対処すると言うセリフではなかった事から珍しい事もあると思いながら、唯一と言っている案を聞いているロイ。


「あの愚王にある程度の力があるが故に問題になってしまうのです。最終的にはミルバ王子が王位を継承する事で立ち位置が変わる事から、全く問題なくなるのではないでしょうか?更に保険の意味で、あの愚王もゼシューと同じ状況にすれば尚安心でございます」


 確かに唯一の手段ではあるのだが、そうなると地盤固めや政権の安定の為にミルバが奔走する事になり・・・学校にこれまで通りには通えない可能性が高い。


 事実ボッシュ伯爵の後を継いだボナンでさえ相当時間が経過した今、漸く学校に時折顔を出せるようになっているので、立場が王となってしまうとより一層時間が取られて自由な時間が無くなる。


「確かにそうだけどさ?その場合にはミルバ君は学校に来られなくなる可能性が高いよ?」


「確かにご指摘の通りです。なれば・・・あの愚王が外に出られない状況にすれば良いのです。これは非常に効果的ではないでしょうか?」


「本人が来なくても指示を出す事は出来るでしょ?そこも対策しないとね」


「はい。ですから肉体的にも精神的にも内に閉じこもる様な対処が必須となりますれば、ここはこのダイヤキングに一任して頂ければと思います!」


 何時もの流れになって来たとは思っているが、最近めっきり出番が無くなっている事は理解しているのでガス抜きも必要か?と思ってしまったロイ。


「じゃあ、この国が混乱に陥らない事。つまり近隣諸国から余計な事をされない事を条件にお願いするよ。そうそう、勿論万屋とか商会設立はなし!だからね?」


「承知しました。全て我らにお任せ下さい。それでは失礼いたします」


 国王ステヴァンは現時点で既に大人しいのだが、これまでの行動から制限が必要と判断されてしまいカードの者達に干渉される事になる。


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