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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆


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(461)安定へ

「皆さん、今回は本当にご迷惑をおかけしました」


 完全に復活しているタッシュが集合している何時もの面々に対して頭を下げている。


「ゼシュー元王子がとある国家を巻き込んで謀反を起こそうとしていた事、二度とこの国に戻ってこられない事は説明させて頂きました通りです。彼はこれからしっかりと地に足付けて異国で仕事をしながら生きる事になるでしょう」


 タッシュが危険な状況になっている可能性が高いと把握していたパーミアが即座に反応する。


「本当に良かったわよ。心配したのよ?タッシュ先生。ゼシュー君に関しては自業自得の部分が多いわよね。不在の方が正直授業の進みも良くなるし、ミルバ君には申し訳ないけど自分を見つめ直す良い機会だわ」


 こうなるとお菓子に夢中になっているリンド子爵家令嬢のシェーンと地下の国出身のアテネを除いて全員が話しに加わる。


「わ、私も心配していました。ゼシュー君は残念ですが、し、仕方がないですね」


「元とは言っても弟が失礼しました。でも・・・こうなると私が王になる可能性が高いですよね?」


「俺は国の事はよくわからないけど、一応その可能性が高いよね。嫌なのかな?ミルバ君」


「うーん。嫌かと言われると・・・難しいかな。自分の時間が無くなる可能性が高いので、その部分に関しては嫌と言えば嫌かな」


「ふははは。その辺りも王になってミルバ君が変えれば良いのではないか?過去の風習に倣う必要はないと思うぞ?ミルバ君なりに行動すれば良いのだ。ところでミルバ君。例の獣人国家のハルカ殿に会ってパンゲル草に関する話しは出来たのだろうか?」


 同行したのがダイヤクィーンであり報告は聞いているのだが、敢えて話題を振っているダイヤジャック。


「ジャッ君のお姉さんの力で問題なく入手できたよ!今後も必要に応じて各種素材に関しては相談に乗ってくれることになったんだ。本当にありがとう!」


「事情は全て聞いています。今回は皆さんにご迷惑をおかけしたので、このタッシュが練成を担当させて頂きますよ。勿論必要な技術、知識に関しては授業とは別に教えましょう」


 実際には練成方法を知らないのだがこれだけ素材を明白にしてもらっている以上はある程度の推測は出来ているし、実はダイヤジャックから事前に正確な方法を内密で教えるとも言われてもいる。


 ロイの指針はなるべくカードの力を使用せずに対処できる体制を構築する事なので、タッシュをある意味鍛えて前面に出す事で対応する。


 ロロニアドの件もこれで問題なく決着したと思っているロイだが、実は未解決になっている件が一つだけある。


 当然ゼシューに関する事で、国王ステヴァンに対して正確な報告は行っていない可能性が高く、第一王子のミルバが口にしていた通りにその後の王位継承に関しても何らかの軋轢が発生する可能性が否めない。


「ここまで首を突っ込んじゃうと・・・仕方がないかな?」


 ミルバとダイヤジャックの会話を聞く限りでは王位を継ぐ事を完全に否定しているわけではないので、場合によっては今回だけは陰ながら介入する方向で検討を始める。


 とは言え永遠にこの国に留まる事が出来る訳もないのである程度力を持っている存在が後ろ盾になる必要がある事は明白なのだが、そこに関してはロロニアドの希望を叶える結果になるので今後は逆に力添えをしてもらえる可能性が高いと考えている。


 ここから数日の授業はクリエ鉱とパンゲル草を使用した練成に特化しており、ダイヤジャックから事前に手順を見せてもらったタッシュは一発で練成に成功していたのでその経験を基に生徒に教えている。


 当然ロロニアドには練成済みの品を渡しており、道具に何か異常が有った際の予備を含めて複数個譲渡している。


「ミルバ王子。本当にありがとうございます。これで・・・直に戻って娘に装備させようと思います。私の最大にして唯一の目的が達成できる可能性が高い事、感謝いたします」


「どういたしまして。でもその道具はジャッ君やロイ君、タッシュ先生だけではなく、ロロニアドさんは御存じないかもしれませんが獣人の方にも助力いただいた結果です。そこはお間違いの無いようにお願いします」


 ゼシューやステヴァンの様に手柄を奪わない所もミルバの人柄を表しており、偶然ではあるが食堂で出会えて良かったと幸運に心底感謝しながら帰路についている。


 当然ロロニアドはダイヤジャックやタッシュやロイとも個別に話しをしているので、その際にロイからは国内の状況を含めて改めて説明があり、出来る範囲で今後ミルバを助けて欲しいと要望を受けている。


 長年の悲願であった娘が治る可能性が高いと思っているのでロロニアドはしっかりと恩を返すつもりなので、ロイの申し出を二つ返事で受けている。


「ふー。これで一先ず後ろ盾は十分かな。先生達もいるし、今の学校の状況だと貴族の人達も問題ないでしょ?その上にハルバン船長も絶対に味方になってくれるしね」


 何時もの通りに宿の一室でダイヤキングと話しをしているロイ。


「ご指摘の通りです。敢えて問題を上げるとすれば愚王が引退後に余計な口を出してこないかと言う事に加えて、やはり少数はこれまでの癒着から王を支持している状況です」


「それでもハルバン船長の敵にはなり得ないでしょ?船長も・・・そう言えばいつの間にかいなくなっているけど、航海の目的は結局地下の国の存在に対処するための素材入手と状況確認だったわけだから解決した今、定住してくれる・・・よね?」


「ハルバン殿に関しましては既に出航されているようです。ある意味海に取りつかれているのでしょう。ソシケ王国の辺境の地との交流も今更途絶えさせるわけにはいかないと思っているのかもしれません」


 言われてみればその通りなのだが、どの道何かあればパーミアから連絡が飛んで力になってくれる可能性は極めて高いのでそう心配はしていないロイだ。


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