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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆


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(457)ゼシューの行動

 王はタッシュから奪った道具に関しては配下を使用してその効果を確認するテストを短時間で実施しており、その機能を知り非常に満足すると同時にこの技術があれば地上の連中の強さも納得できる・・・と、事実を知らないが故に全く対処にならない結論に達していた。


「ゼシューよ。一応こちらでもこれらの道具の効果については試してみたが、特にこの二つ道具を多く作ってもらいたい。強化と防御だな」


 王が示している道具の一つは敵の攻撃を弱体化し致命的な攻撃を受けた際には道具が相当部分を身代わりに受け持ってくれる品で、実際にこの道具があったおかげでタッシュは相当危険な場所での素材採取も実施する事が出来ていた。


 流石にテストでは装備者に対して致命的な攻撃を試すわけにはいかないのでこの部分までの効果は知らない王だが、攻撃に対するダメージが軽減される事だけはしっかりと把握している。


 もう一つの品は自らの攻撃力を上昇させる品であり、仮に危機的状況に陥った際には逃走時の速度も上昇する優れものである事が判明している。


 他の道具は特殊な魔法の威力を相当増加させる品や攻撃魔法を保管している道具があるのだがその魔法を行使できる存在がいなかった事から攻撃力増強は効果を発揮していないし、保管している魔法を外に放出するには誤作動防止の為に魔力注入を特殊な方法で実行する必要がある事からこちらも起動していない。


 練成を第三者に依頼する時点でも理解できるが、王本人も道具に対する知識がないと明言している事から万が一(・・・)練成に失敗しても言い訳はどのようにでもできると感じたのかタッシュは安請け合いする。


「フン。余の力があればこの程度は余裕ではある・・・が、応分の報酬を得る必要があるな!」


 ここぞとばかりに要求を告げ、王としては既にゼシュー自身を強化した実績の対価でいるつもりなのだが辛酸をなめさせられた相手に復讐が出来る可能性が極めて高いと感じているのかこの申し出を受ける。


「良いだろう。お前は何が望みだ?ゼシュー!」


 実は地下の国に対して何が要求できるのか全く分からずに条件反射の様に我を通そうとしたので、即要求を聞かれて何も言えなくなる。


 自国に戻った際に最も自らの益となる物、事は何なのかを考えた結果、地下の存在の力を我が物とする事が選択される。


 正直永遠に無条件で従うような存在には見えないし実績として自分を強化できている以上はこの国の面々の戦力があれば地上も制覇してしまいそうに感じながらも、逆に言えば最低でも自分の協力者と言う立ち位置を認めさせれば間違いなく王位を即座に(・・)入手できると思っている。


 最早現国王であり実父でもあるステヴァンすら切り捨てるつもりなので、地下の存在は地上の一部・・・どう考えてもダイヤジャックと連なる者に対して復讐できるし自らは王位を手に入れられるばかりか目の上のたんこぶも始末できる事から非常に機嫌よくこう告げる。


「余との協力関係だな。王の望む復讐に関して対象者は理解している。正直余としても目障りな相手なので協力は惜しまない。どうだ?」


「是非も無いな。ではこの二つの道具だが、各10個程作成してもらおうか。必要な素材に関しては一覧にして出してくれ。その後にどの程度練成の時間が必要かも教えてもらおう。具体的な復讐の内容を考える必要があるからな」


 王は去りこの場に残されているゼシューは陳列されているタッシュが身に着けていた道具を真剣に見ている。


「ちっ・・・錬金の技術だけは高いままだな。裏切りさえしなければ余の腹心としての立ち位置を得る事が出来たのだろうが、所詮はその程度の人材だったのだ」


 道具自体はタッシュが練成した品々の為に非常に効率的な構造をしており、正直ゼシューでは効果についても完全に把握する事は出来ずにおり・・・つまりはどのように練成するのか等全く分からないので、部屋に居る存在に聞かれない様に小声で呟く。


「確か・・・要望は強化と防御と言っていたな」


 王が配下を使って実験する事で判明した機能を口にしていたので効果のレベルはさておき同じ用途に使用される道具の練成は可能なゼシューは、準備されている紙にサラサラと練成に必要な素材を記入して控えている人物に渡す。


「これがこの道具を練成するのに必要な素材だ。どの程度で準備できるのだ?」


 この国の人物は道具の練成など経験がないので食材や建築部材、薬品となり得る品以外の素材に関しての知識が非常に乏しい事から渡された紙に記載されている名称を見ても何を指しているのか理解できない。


「大変申し訳ありませんが少々調査にお時間を頂戴します。なるべく早くに結果をご提示いたします」


 その後特段何かをするわけでもないので暇になり、立場の違いを分からせてやろうと敢えてタッシュのいる牢に向かう


「おい。お前は訳の分からない存在を称えるばかりかこの余を裏切った結果このような状況になっていると理解できているのか?」


 横たわっているタッシュにこう告げるのだが、タッシュは体力も無くなっているのでかろうじて視線をゼシューに向けるだけでそれ以上の反応はできない。


 正直どの様な状況であっても女神であるスペードクィーンを信仰し続ける意思に変化がある訳も無いので、ゼシューが求める回答を得る事はないだろう。


「フン。お前が死のうがどうでも良いがこれまでの実績だけは認めている。どうだ?改めて余に仕える事を許してやるぞ?このまま無様に息絶えるか、はたまた余に仕える栄誉を得るとともに王の腹心として行動できる事。正直比較するまでも無いだろう?」


 タッシュのこれまでの行動を見れば将来的に再び裏切る可能性がある事は理解しているのだが、地下の国にいる間だけでも配下とすれば地下の国の王から依頼を受けた練成が出来ると考えている。


 既に手配の依頼をした素材の事は頭になく、実際にタッシュが想定通りの行動をした場合には間違いなく素材入手から改めて実行する事になるだろう。


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