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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆


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(455)不良品?

 ダイヤジャックは体力が無尽蔵だし何処にいるのか不明な存在であっても労せず発見できることから自分基準で直に獣人国家に向かうような発言をしてしまうので、流石にロイが指摘しようとする前にミルバからこう告げられる。


「是非そうしたいけど、ちょっと難しいかな。一応午後の授業もある訳だし、そもそも先方も王女と言う立場である以上は直に会えるかどうかも分からないよ?」


「む、それもそうだな。わかった。調整についてはこちらで・・・行っておこう」


 僅かな逡巡はロイの意思の確認を行ったからで、軽く頷かれた事を確認してから王女ハルカと面会調整を行うと告げている。


 ダイヤジャックが実行可能か否かに関しては検討する必要がないと判断しているミルバはそのまま提案を受け入れるのだが、もう一つの素材であるクリエ鉱に関しては存在している場所すら認識していない。


「ありがとうジャッ君。お願いするよ。もう一つ・・・クリエ鉱だっけ?それはどのように入手するのかな?」


「うむ。そこは非常に問題があるのでな。ゼシューはその場所に行ったことがあるのは間違いないのだが・・・その伝手云々に関して今は把握していない」


 明確に敵対しているゼシューの伝手を使う時点でダメだろうと思ってはいるのだが、事情はどうあれパールの病状を改善させるために作成する道具は競争云々関係なしにしっかりと作成してあげたい気持ちがある事から、どの様な入手手段があるのか確認するミルバ。


「ジャッ君。それはそれとして、私はどのように動けばクリエ鉱を入手できるのかな?」


「そちらは自分が対処するので、ミルバ君はパンゲル草の入手に力を入れてもらいたい」


 地下の国の通路は完全に破壊しているのでミルバがどう考えても到達できるわけも無く、調査も実施していないのでまさかタッシュとついでにゼシューまでが拉致されている事も知らない。


 現状を確認した結果自らが動く他ないのでジャッ君として対処すると宣言し、残りのパンゲル草入手に全力を注いでもらう方向に舵を切るダイヤジャック。


 直後に予鈴が鳴るので全員が教室に移動して授業が再開されるのだが、当然タッシュ不在の為に一部は自習が言い渡されている。


 翌日・・・豪商ロロニアドが王城から宿に戻りロイとミルバ、そしてダイヤジャックと共に食事をしている。


「皆さん。お食事中に失礼します。丁度お揃いですので今日の事をお話しさせてください。実は陛下から希望の道具が出来たと伝達が有った為に受け取ってきました」


 表情や態度から欲しているレベルの道具でないことは明らかで、そもそもダイヤジャックの力に関してロイがある程度制約を掛けているとは言えまだ手付かずの状態であるこの短い時間で国王側が準備できる道具であれば考えるまでも無い。


「ロロニアドさん。私に見せて頂いても良いですか?」


「どうぞ。こちらになります、ミルバ王子」


 懐から腕輪の様な道具を渡されたミルバは手に取って色々と確認しているが、詳細を調査するまでも無く基本的には市場に出回っている身体強化が行える道具である事を理解できてしまうので渋い表情になる。


「ロロニアドさん?この道具が吸収する程度の魔力量で改善が見込めそうですか?高い確率で難しい状況だと判断しているので、敢えて問いかけるようで非常に申し訳ないのですが・・・」


「ご指摘の通りに何も意味をなさないと思います。正直この程度の道具であれば市場で販売されている事も確認しておりますので、どの様な意図で敢えてこの品を渡されたのか把握できずにいるところです」


 一国の国王が依頼の真の目的を把握した上で敢えて量産品を渡してくる以上は何か意味があるのだろうと思っているのだが、他国から来ているロロニアド以外のこの場の面々は何も考えていないが故の行動だと理解しているので代表してダイヤジャックが反応する。


「ふはははは。あの愚王のする事に意味などあろうはずも無いだろう?適当にその辺りの品を購入したか、敢えて同じような品を作らせただけだぞ?効果としては道具に吸収された魔力量に応じて身体強化がなされるだけだな。それ以外には何も機能は付与されていないぞ?」


 まさか・・・とは思っていたが正に想像通りの効果しかない道具であったのだがそう簡単に目的の品が手に入る訳がない事は身を持って知っており、事実相当な時間をかけて動いている今でも同じ行動を継続している事から多少の落胆は有っても諦める事はないロロニアド。


「やはりそうでしたか。このレベルの品であれば直に手に入る事は把握していますので、もう用はないですね」


 欲している品ではないので得られた道具を目の前のゴミ箱に捨てるのだが、この国の冒険者からすれば暴挙に映る事だろう。


 ロロニアドとしては正直本命はミルバと不思議な存在と感じているダイヤジャックと考えており、同じ依頼を出している以上は現状を報告しただけなのでその後は普通の会話になる。


 ロイに今回の作戦を伝えて実行する様に進言していたダイヤキングとしては、ミルバと言うある意味国王側が敵と認識している存在と同じ依頼をこなす事から比較される上に民からの評判を気にする必要があるのでしっかりとした道具を作成する為に血眼になって行動するだろうと考えていたのだが、ダイヤキングをもってしても把握できないレベルで愚王だった為に予想に反して一般的な道具を与えるだけに留まっていた。


 想定通りに事が運ばずに多少鬱憤が溜まっているので、将来的にそのはけ口はロイと敵対する人物や行動の障害になり得る人物、なってしまった人物に向けられる事だろう。


「それじゃあロイ君、また明日!ロロニアドさんも失礼します。ジャッ君、行こうか?」


 あくまでダイヤジャックは帰宅途中にあるロイの宿に立ち寄った立ち位置の為にミルバと共に宿を出ると喧騒の中に消えて行くのだが、念のために学校に到着するまではミルバを陰ながら護衛した後にカードに戻っている


 その後数日経過し・・・流石にタッシュ不在が異常事態だと認識される事になる。


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