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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆


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453/495

(451)作戦

 ロイから影響が出ると告げられたミルバだがロイを信頼しているので否は無く、そもそも高速思考によってどの様な話しがなされるのかある程度把握した事から同意している。


「大丈夫だよ、ロイ君。ロロニアドさんも良いですよね?」


「私・・・ですか?もちろん私はお話しを聞かせて頂きたいだけですので、ミルバ王子も共に聞いて頂ければと思います」


「それじゃあ説明させてもらいます!既にロロニアドさんは把握されていると思いますが、ゼシュー王子とミルバ君は兄弟で形式上は王位継承権を争っている形になっています。俺としてもミルバ君が王になる方が国の為になると思うのですが・・・そこを踏まえてロロニアドさんにはこうして頂こうと思います」


 曰く、国王とゼシューに対しても自らが真に渇望している希望を伝え、同時に同じ話しを既に(・・)ミルバにしており仲良くなった市井の者にも説明している事も告げる。


 こうする事で仮に国王側が断ってくればある意味敵前逃亡ともとられるし、ミルバが希望の道具を準備した時点で他国の商人の希望も聞いてくれる王子と言う評判が流れる事は確実である事から国王側の立場が悪化すると考える。


「でも本当に民に話してしまうと全ての要望が集中するし、中には勝手な事を言って来る人もいるから秘匿する必要があるよ?何となく噂程度で知られるレベルが前提かな」


「そうだよね。流石の私でも来る人全員の要望は聞いてあげられないから、そうしてもらった方が良いかな。それ以外は大丈夫だよ。ロロニアドさん、どうしますか?私としてはロイ君の提案で良いと思いますけど」


 正直今の自分の知識や技術では希望の道具が作れない事は明確だが、問いかけるまでも無くダイヤジャックが手を貸してくれることは分かるのでその部分に不安はないミルバ。


 唯一の不安と言えば・・・仮に自分が王太子になってしまった場合にゼシューやその一派が素直に言う事を聞くとは思えないし、そもそも王と言う地位に興味が無くなっている所だろう。


 高速思考を持っている為に深く考えてしまったのだが、取り敢えずはロロニアドの件を何とかする必要がある事も事実の為にロイから説明された案を実行に移す。


「陛下。短い時間での再度のお目通り誠にありがとうございます。本日は商売に関する詳細を詰めさせていただくとともに、私個人の希望もありまして訪問させて頂きました」


「続けろ」


「はい。商売と致しましては先にご説明させて頂きました通りに我らとしては宝飾品を、そして貴国からは素晴らしい道具の数々を商売の品とさせていただきたく思うのですが、ここに個人的な希望も付け加えさせていただきたく考えております」


 今更余計な要望があるのは正直面白くないと思っている国王ステヴァンだが、先行して手中に収めている宝飾品は“素晴らしい”の一言に尽きるので一応話しを聞く姿勢は維持している。


「個人的な要望と致しましては、道具に関して一品だけで良いので私が希望する効果を指定させて頂きたいのです。それは装備している者の魔力を継続的に吸い上げると言う表現が良いのでしょうか?又は消費する事が出来る道具です。一般的には不要な効果になりますが、知人(・・)が体内の魔力を制御できず困っておりまして何とか一肌脱ぎたいと思っているのです」


 敢えて知人とする事であまり弱みを見せないようにしているロロニアドと、想像していた過剰な要求ではなかった事から安堵しているが国家として管理している道具にその様な効果を持つ品があるのかは全く分からないので、控えている者に調査を指示している国王。


「今在庫にあるかは調べさせているが効果としては微妙な道具だからな。恐らく練成していない可能性が高いだろう」


「私の方でもこの数日で民と触れ合う機会がありまして、その中で得た情報でも確かに魔力を無駄に消費する道具に関しては練成していない可能性が高い事は存じております。しかしながらやはり知人を何とかしたい気持ちもあるので、ミルバ殿と仰る方に相談をしている所ではあります」


 ミルバと聞いて国王ステヴァンの表情が一瞬歪んだ事を見逃してはいないロロニアドなので、これで一応作戦は上手く行くだろうと判断した。


「ミルバ・・・か。それは何処で話したのだ?」


 一応ミルバと言う名は民にも多数いる事は知っているのだが、高い確率で第一王子のミルバだろうと思い確認している国王。


「ロイ殿とジャッ君殿と共に食事をしている際に話しをさせて頂きました。場所は・・・」


「良い。わかった。それで・・・そ奴らはその道具に関して準備できると言っていたのか?」


「恐らく大丈夫と言う話しで、周囲の人達も私の話しを聞いていたのか喜んでいただけました。陛下の国の国民は温かい心をお持ちの方々で溢れているのですね」


 全くの嘘だがこのように伝えれば国王としても暴挙に出られない事を知っており、数多の経験を持つロロニアドの作戦が正に型にはまっている。


「う・・・む。そうか。それでミルバと申す者は道具を準備できると言っていたのだな?」


「はい。恐らくと言う事でしたが準備して頂けるような話しでした。しかしながら陛下!この国は練成に力を入れている素晴らしい国ですので、国家として作成された道具の方がより信頼性が増すと思うので敢えてお声がけさせて頂いた次第です」


 在庫がない旨早くも連絡を受けているのだが、ミルバ一行よりも国・・・国王ステヴァンの方を信頼していると聞こえるので、この一言だけで機嫌が良くなるチョロい国家元首。


「成程な。その方の言いたい事は理解した。此方でより信頼のおける道具を作成しておこう。その分、宝飾品に関しては当然応分の品を要求するぞ?」


「承知しました。何時頃お伺いすれば宜しいでしょうか?」


「そうだな・・・一週間後に来ると良いだろう」


 国王ステヴァンは似た様な道具が一度起動して全ての道具が起動しなかった事を思い出しており、原因となった品はタッシュが持ち出した太古の道具の可能性が高い事も同時に思い出しているのだが・・・あの時は効果範囲が非常に大きかった事から太古の道具であると断定するに至ったが、今回は効果範囲が非常に狭いので問題なく作成できると確信する。


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