(450)真実を告げる
ジャッ君と言う名前は二人の会話で出てきた事は理解しているロロニアドだが、練成に関する知識が豊富である所まではつかめていないので成り行きを見守っている。
「そうだね。ジャッ君だったらすぐに分かるよね。えっとロロニアドさん?これだけの道具になるので何が影響を及ぼすのか私達では理解できませんので、明言する事が出来ません。ごめんなさい。個人的な意見ではその程度の改修であれば問題ないとは思うのですが・・・勝手な判断で道具が壊れてしまうだけならばまだ良いですが、何らかの予期せぬ暴走による被害が出る事もあり得ますので慎重に行動される事をお勧めします」
「ありがとうございます。ところで・・・ジャッ君・・・ですか?その方は道具に関して優れた知識をお持ちなのですか?この道具に関しては学校の教官が作成されたと伺っておりますが・・・教官の方でしょうか?」
「ジャッ君は私達の友人です。道具に関する知識や練成技術も素晴らしいので、授業で分からない事があれば先生と同じくらい頼りになる人ですよ?」
ミルバ本心からの称賛なので、聞いているロイも何故か嬉しくなってスペードキングを通してダイヤジャックに告げている。
この場の誰にも悟られる事の無いこの行動だが、この連絡を受けたダイヤジャックが会話に混ざりたいと要望を上げた事から顕現する事になり・・・これが功を奏してロロニアドはダイヤジャックと直接話す事が出来る状況になる。
「ふはははは、ジャッ君だぞ!」
何とも言えない登場だがこの宿の主人も時折ダイヤジャックのこの態度を見ているので一瞬驚くだけで、周囲の客も主人の態度を見てダイヤジャックから視線を外している。
「お、おぉ、此方が先程の・・・私はロロニアドと申します。突然の質問で恐縮ですが実はこの道具を自国に持ち帰って使用するには接続が上手く行かないと思っているのですが、この部分だけを改修する事で何か影響を与えてしまうでしょうか?」
「フム。基本的には問題ないが、接続される道具によっては何らかの影響が起こり得る可能性は捨てきれないな」
ミューゼ王国内部の道具を対象に作成している魔力生成の道具である事から、接続して使用した際に相手方の道具に対する何らかの影響に関しては調査していないので現時点で答えられる内容を告げている。
一般的な内容だがここまで明言できることでロロニアドはダイヤジャックの知識が本物であると確信したのか、各国を飛び回っている真の目的を果たす為に再び口を開く。
「わ、わかりました。ありがとうございます。ジャッ君は道具に関して相当な知識をお持ちの様で、もう少しだけお話しを聞かせて頂いても良いでしょうか?」
いくら平静を装っても娘を助けられる可能性がほんの僅かでも見えてしまえば態度に出てしまい、流石のロイもこれまで冷静沈着だったロロニアドの変化を把握する。
「そうだよね。ジャッ君?ロロニアドさんの質問に答えてあげたら?」
ダイヤジャックとしてはロイが良ければ問題ないので、直接的な許可が出ている事からロロニアドの対面に座る。
「ロロニアド殿・・・で良いだろうか?何でも聞いてくれ!」
「助かります。その・・・これは魔力生成の道具である事は間違いありません。どの様な仕組みかは分かりませんが魔力を生み出している。逆に言えば、魔力を無条件で消費させる道具もあるのではと思いまして」
保護しているアテネ自身が本来持ってしまっている能力と同じ機能を持つ道具の有無を聞かれているのだが、現実的にそのような道具があると過去にタッシュが持ち込みゼシューが起動してしまった道具の様に周囲の道具が全く起動できなくなる。
「実態にミューゼ王国でそのような道具が起動された過去を持つからな。似たような他の道具も存在はするだろう。だが何故だ?正直その時のミューゼ王国は酷かったぞ?全ての道具の魔力が本来の目的以外に消費されてしまった結果、全ての道具が起動を停止した」
仮に他国侵略等に使われるのであれば国家規模の案件に介入する事は厳禁と言われている以上、この話しを打ち切るつもりでいるダイヤジャック。
全てを見透かされている様な視線を向けられているので、初めての経験に驚きながらも中途半端に隠し事をしてはこの僅かな希望の光も消えてしまうと判断したのかロロニアドは全てを曝け出す事にした。
「・・・と言う訳で、娘の病状を少しでも改善したく動き回っているのです」
一気に暗い雰囲気になってしまうこの食卓だが、ダイヤジャックだけは一般の人とは感性が全く異なるので落ち込む事はない。
ロイも非常に悲しい気分になってはいるがロロニアドの言っている事が完全に事実かもわからないし、困っている人々全てに手を差し伸べるつもりもないのである程度は見放す覚悟も必要だと思っている。
とは言っても相当落ち込んでいるように見えるロロニアドを見て完全に突き放す事が出来ないのもロイなので、ダイヤキングに連絡して作戦を考えさせている。
本来は頭脳集団のトップ3であるダイヤジャックが顕現しているので当人に考えさせるのが良いと思ったのだが、ジャッ君として行動している以上は意識がそちらに引っ張られて訳の分からない事を言い出す不安が有った事からダイヤキングを選択している。
「・・・・・・あの、ロロニアドさんは交易をするのですよね?その対価として道具を求めている。そう考えると、陛下に直接道具の希望を告げれば良いのではないですか?」
道具の練成が可能か否かは関係なく、ロイはダイヤキングに言われたままを口にする。
「それはそうかもしれませんが、まだ陛下を理解しきれていませんので真に欲する物を告げては商売的には弱みを握られる結果に繋がりかねません」
自分達に全てを話したのは商売相手になり得ない部分もあるのだろうと理解したロイと、その程度は直に把握できるダイヤキングなので国王ステヴァンとゼシューを落としてミルバを持ち上げる事が出来る一石二鳥の作戦を伝える。
「そうかもしれませんね。わかりました。ミルバ君にも影響が出てしまうけど、俺に一つだけ案があるんだ。一緒に聞いてくれる?」
巻き込む形になるミルバにもしっかりと伝える必要があるので、こう告げたロイだ。




