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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(438)非常識な対応

 王女を移動させる際には当然優しく抱きしめている形になるので、反射的に王女は本音を漏らす。


「あ、あの!私に直接触れると魔力が無くなってしまい、最悪は死に至ってしまいます!直に離れてください!」


 母と同じ優しさを感じさせてくれる人物を同じ状況にしたくないのか何とか優しい抱擁から逃れようと藻掻くが、その程度で逃れられるわけがなく・・・更に優しく包み込むように抱エラー! ハイパーリンクの参照に誤りがあります。擁される。


「今この状況を見てもそのように感じますか?私は全く問題ありませんよ?王女は優しいのですね」


「大丈夫なわけがありません!貴方の様に優しい方が亡くなってしまうのを見るのは嫌なのです!私のせいで・・・私なんかのせいで!」


 絶対に有り得ない事象である事から母同様に自分を安心させるためだけに嘘をついていると判断している王女なので、泣きながらもがき続ける。


 ダイヤクィーンはこれ以上対応する術が思い浮かばないので強制的に落ち着かせるためにハートクィーンの聖魔法を行使してもらおうか悩んでいるのだが、そこに予期せぬ介入がある。


「ふははは。王女よ!二つの大きな勘違いをこのジャッ君が訂正してやろう。心して聞くが良い!」


 地下の者達の対応をしている他のクィーンズをよそに、この場に来たダイヤジャックが何故かふんぞり返りながらこう宣言していた。


 余りにも異質な状況の為に強制的に落ち着かざるを得なかった王女は嫌でも意識がダイヤジャックに向かう。


 一方のダイヤジャックは上官とも言えるダイヤキングの命令でこのような行動を起こしており、当事者と言えるダイヤクィーン以外にこの作戦が展開されているので・・・この場にいる他のクィーンズから実は少々憐みの表情で見られていた。


 その視線を明確に感じ取りながらも作戦を実行しなくてはならないダイヤジャックは、内心非常に納得できないが再び口を開く。


「一つ目の勘違いは、そこのダイヤクィーンはやせ我慢などしていない事だ。過去の経験がどのような状況かは分からないが、今尚無駄にピンピンしているだろう?この状況が自分の言葉を証明しているのではないか?」


 言われてみれば・・・平静を装っていた過去の母は小刻みに震えたり汗をかいたりしていたのだが、今尚優しく抱擁してくれているダイヤクィーンにその兆候は一切見られない。


 地上侵攻する為にこの場に来ている王や使者、そして国民達も同様に不思議そうにしている上に王女も言われて見れば!と言う表情をしているのでダイヤクィーンは弟とも言えるダイヤジャックは良い仕事をしたと褒めようとした所なのだが、続く言葉に表情が変わる。


 これこそがダイヤクィーンだけを除いたカードの者達に展開されている作戦で、素のままで対応させるために敢えて作戦を伝えていなかった。


「二つ目の勘違いは、そこなダイヤクィーンが優しいと言うとこ・・・ブフォ・・・」


 当事者であるダイヤジャックすらこうなる事を理解していたのだが、全てを言い切る前に王女を抱きしめながらダイヤジャックに腰の捻りを利かせた鋭いビンタを炸裂させるダイヤクィーン。


 吹き飛んだ方向は地上侵攻を目論んでいる面々に向けられているのだが、余りの速度である上に体格の良い成人男性が可憐な女性に吹き飛ばされる現実を受け止めきれないのか・・・そもそも行動が阻害されている事もあってダイヤジャック爆弾が直撃してしまう。


 一応射線上にいたクィーンズは難なく飛来するダイヤジャックを避けているのだが、誰も助けるそぶりは見せなかった。


「・・・・・・え?え?」


 ダイヤクィーンが懐に大切に抱えている王女に何も被害はないが、数泊遅れて状況を理解した後に語彙が一気に減少してしまう。


 ダイヤキングの案としては有り得ない状況を創り出して見せれば嫌でもそちらに意識が向き、過去の小さなことなど忘れてしまうと言う事だった。


 当然この作戦を聞いた際にダイヤジャックは少々苦情を入れたのだが封殺され、嫌々ながらも実行して予想通りに容赦なく吹き飛ばされていた。


 とは言えダメージがある訳でもなくある程度の地上侵攻組に被害を与えた直後、ノッシノッシと再び歩いてくる。


 もちろん作戦が改めてダイヤクィーンにも展開されたので追撃される事は無いのだが、だからと言って謝罪される事も無いまま話しは進む。


「そこの王と使者か?お前等は随分と口を滑らせていたな。何故クィーンズを脅威と言ったのだ?まぁ確かに脅威・・・ゲフン。地上侵攻でもしなければ脅威になる存在などいないはずだろう?」


 理不尽な攻撃を受けた結果本音が出そうになったのだが、次はこの場に揃っている四人のクィーンズに攻撃されかねないと自重した。


「そ、それは・・・お前等は不思議な道具を使って戦力を増強させているのだろう?違うか?」


 異質な存在が増えた事を把握した王は少しでも安全の為に話題を反らそうとしているのだが既に恐怖を明確に感じて少々震えている中で、ダイヤジャックは律義に回答している。


「確かにその程度の道具を作る事は容易いが、クィーンズはそのような品を一切身に着けてはいないぞ?道具がなくともある程度の強さを持っている事は先程の事象を見て理解できたのではないか?」


「バカを言うな。何処の世界に補助無しで大の男を軽々と吹き飛ばせる様な女性がいるのだ!」


「お前の目は節穴か?そこに四人も揃っているではないか。何ならお前がその身を持って体験してみるか?」


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