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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(433)罰の執行と

 地下の国の使者は得体の知れないダイヤクィーンと争う事は最悪の一手だと理解したので自ら引く姿勢を強調している。


 こうでもしなければ国に戻れない可能性すらあると感じており、穏便に退場してもらわなければ秘密の通路も明らかになりかねないと危惧している。


 余りの豹変にゼシューは驚きを隠せないがダイヤクィーンはロイに問題が起きなければそれで良いので、目の前の使者がゼシューや国王を売る様な言葉を吐いても気にする素振りも無い。


 ツカツカと無防備に使者に近接しているダイヤクィーンは、国王ステヴァンやゼシューには聞こえない声量でそっと耳打ちする。


「あちらの通路を隠したいようですね。私は全てお見通しですよ?大人しくしているのであれば秘匿してあげますが、何かしらの異常を感知した場合には・・・こちらから侵入する事もあるかもしれませんね」


 最も秘匿しなければならない通路についても何故かしっかりと把握されてしまっているので、どれほど異常な存在なのかと恐怖に支配され始めている使者。


 ここまで直接的に身の危険を感じたのは、現国王に対して露骨に攻撃をして返り討ちに有った時以来だ。


「わ、わかった。大人しくしている。今回はそれで問題ないと言う事で良いのか?」


「そうですね。私達がこの場にいては貴方が動けないでしょうから戻る事にしますね?それではごきげんよう!」


 内容は一般的だがこれほどまでに恐ろしい挨拶は聞いた事が無いと感じている使者は、ダイヤクィーンに半ば引き摺られるように移動している国王ステヴァンとゼシューを黙って見送っていた。


「やはり地上は一筋縄ではいかない。情報がないまま楽観的に行動を起こさなかったのは正解だ。今回の調査ではゼシューが言っていた道具に関しての知識を得たかったのだが、身の安全が第一だからな。ここは一旦(・・)大人しく戻るのが吉だろう」


 念のため周囲に過剰な警戒をしつつ夜を待ち暗闇に紛れて秘密の通路から地下の国に急ぎ戻っているが、通路は過剰なほどに新たな罠を設置している。


 情報収集を行っていたジョーカーは既に仕事を終えたと思っているので当然監視を継続している訳も無く、ロイに対しての安全は確保できたとの共通認識になっているので他のカードの者達も大人しい。


 学校では普通に授業が行われているが、放課後の定例の集いでダイヤジャックがボッシュ伯爵の目撃情報について新たに騒がれる事は無いと宣言して安心させていた。


 そこに加えてハルバン伯爵やタッシュが気にしていた存在も今は完全に消えている事を付け加えており、タッシュは女神の親戚の言葉を疑う訳も無く・・・そもそも対処は女神が実施すると明言していたので当然の結果だと納得している。


 ハルバン伯爵はカードの者達の非常識さを目の当たりにしていないので素直に納得できない部分があるのは事実だが、公にはしていないながらも忠臣である教官のパーミアや生活基盤を支えていたタッシュがこれほどまでに安心した態度を見せているのであればダイヤジャックの宣言通りなのだろうと思っている。


 一方の王族と地下の国では種類は違うが騒動が起きている。


 王族二人の騒動は言わずと知れた刑罰を受けており、再び肥溜めに強制的に連行された二人は何を喚こうが一切反応しないダイヤクィーンの笑顔に心底恐怖を感じていた。


 当然起こり得る未来は容易に想像できるのだが何を言っても無反応な上に抗おうにも全く歯が立たない現実を目の当たりにしており、特に三度目となるゼシューは絶望の表情をしている。


 その表情を見てもダイヤクィーンの笑顔に変化はなく、二人揃って容赦なく強制的に浸漬させられていた。


「やはり偽りの身なりでは初見の方が二人を善人であると勘違いしてしまうかもしれませんので、私の方で心と外見を一致させてあげました。これならば善意の第三者もお二人に無駄に近づく事は無くなるでしょう。良かったですね?」


 全く有難くも無い余計なお世話以外の何者でもない行動をしておきながらのセリフである事から、本来の立場で行けば不敬罪で重い罰を受ける事になるはずだが・・・やはりこれまでの実績から反撃される事を恐れて対応できないし、そもそもダイヤクィーンの言葉を真面に聞ける状態ではない事から無反応だ。


 ダイヤクィーンもすべきことを終えた為に満足しているので二人に言いたい事を言っただけで無反応だろうがどうでも良く、優雅にこの場から消えて行く。


 当然の様に王城に戻った頃には二人はしっかりと匂いが染みついているのだが、今回は国王までこの有様なので強制的な隔離など指示できる立場の者はおらずに非常に環境が悪化している。


 噂は王城に勤めている貴族から子息に伝わり学校でもその話しが持ちきりになっており、特段報告を受けていなかったロイはその話しを直接耳にして久しぶりに頭痛がしていた。


 最後に地下の国になるが、此方は使者が王のもとに急ぎ向かいありのままを話している。


「それ程の存在がいるのか?あの強化されたゼシューが手も足も出なかったのだな?」


「はい。その通りです、王よ。今のゼシューが本気になれば、自分達でも抑え込むのに少しだけ時間を要すると思いますが・・・完全に苦も無く拘束して見せておりました。ゼシューが口にしていた道具を使用しているのかもしれません」


 未知の技術である道具についての話しは聞いていたので、可憐な女性がゼシューを難なく抑え込めるわけがないと言う先入観から何かしらの道具を使用したのだろうと推測してしまうのは仕方がない。


「確かに道具が非常に重要になっているようだな。今回その辺りの情報は取れたのか?」


「残念ながら全く得られておりません。異常事態であった事から撤退して情報伝達する事に重きを置いておりました。地上にはあのような存在・・・いいえ、アレだけ強化できる道具が溢れているのであればその対策は急務です」


「確かゼシューは道具の起動には魔力が必要だと言っていたな?その言葉に嘘がなければ対策は容易だ」


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