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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
422/439

(420)スペードクィーン

「我が主。ダイヤキング殿からお話しがあるようです」


 スペードキングからの定例句によってダイヤキングを顕現させると昨晩の状況が説明されるが、過剰な調査はしないように指示されている事から普通に状況が報告されるだけだ。


「・・・従って、何やら怪しい存在をタッシュ先生が見つけ、それ以前にハルバン伯爵も見つけて対処する為に奔走していた様です」


「ハルバン船長が戻っているんだ!挨拶したいなぁ・・・向こうの状況はカードから情報を得て知っているけど、その目で見た事を聞くのも楽しいしね?」


 ロイは怪しい存在と聞いてもどうせ大した存在ではないだろうと言う先入観・・・これまでのカード達の対応からそう思えてしまう様になっており、その部分は軽く流している。


「確かにハルバン伯爵は豪快な方で我が主を安全にこの地まで届けてくれた方ですから、お話しする機会は有って当然かと思います・・・・・・その際にスペードクィーンも同行させては如何ですか?」


 今回の女神に会いたいと言うタッシュの要望を叶える体でロイと共に行動したいスペードクィーンがダイヤキングに直接思惑を伝えた結果、一瞬例の存在については完全に流されるところだったが持ち直す。


「そっか。タッシュ先生も会いたがっていたんだよね?っと、その怪しい存在ってなんだろう?前のタッシュ先生に取り付いていたような感じかな?一応スペードクィーンがタッシュ先生と会った時に聞いておいてくれる?」


 スペードクィーンの目的は全く違うが、何とかハルバンが心底心配している件に対する処理について介入する方向になった。


 その日の授業は普通に終了し恒例となっているタッシュの部屋に向かうロイはスペードクィーンを顕現する為にミルバやシェーンには少しだけ遅れると告げており、顕現後ダイヤジャックとスペードクィーンを残して一人で向かっている。


 自分との関連性を疑われないようにする配慮で、安全に関しては足元にスペードキングがいる事から全く不安なく到着する。


 中にハルバンがいる事を把握しているのだが、既にミルバと楽しそうに話している声が聞こえるので事前に聞いていなくともこれまで居なかった人物がいる事は嫌でもわかる。


「失礼します!」


「おぉ、ロイ殿。本当に久しぶりだ!元気そうで何よりだ」


「ハルバン船長も久しぶりですね。ここではハルバン伯爵の方が良いですか?」


「あははは、何方でも構わないぞ?それにしても、随分と環境が良い方向に変わったようで私も嬉しいよ。あの王子が不在な事も良い影響を与えているのだろうな」


 タッシュが崇拝している女神の親戚が有ろう事か権力を持っているゼシュー王子を肥溜め浸漬の刑に処した事実を聞かされているので、あまりの破天荒さに驚きながらもそのレベルの事象がなければ環境は改善しなかったほどに濁っていたと思い知らされている。


「ミルバ王子にも私が不在の間苦労を掛けてしまい、申し訳ありません」


「いやいや、大丈夫ですよ。今は凄く楽しいしロイ君やジャッ君、シェーンさんとも仲良くさせて貰えているので毎日が充実していますから」


 本当に心底嬉しそうな表情を見て安堵したハルバンだが、実は結構危険な状態が迫っている可能性が高い事実を伝えなくてはいけないので少々緊張している所で突然タッシュが立ち上がる。


「め、女神様の気配がしますよ?」


 ロイを除く全員が不思議そうにタッシュを見ているのだが、ロイだけは召喚者であっても見分けがつかないクィーンズの中でスペードだけをしっかりと見分けている上に今のこの状況の為・・・どれだけ異常な感覚を持っているのかと不思議に思っている。


 その直後に少々引き気味のダイヤジャックが扉を開けて入ってくるのだが、これはタッシュの声が聞こえてロイと同じ事を感じていたからだ。


「じゃ、邪魔するぞ。自分はジャッ君と言う。貴殿がハルバン伯爵だろうか?お初にお目にかかる。そして・・・彼女はタッシュ先生から紹介してもらおう」


 女神像を掲げながらモデルとなった本人をキラキラした目で見つめているタッシュを見て、再び引きながら紹介を引き継ぐタイヤジャック。


「喜んで!ハルバン様。こちらにいらっしゃるのがこの女神像のモデルである真の女神様です。どうですか?どこをとっても素晴らしいと言う表現しか出てこないでしょう?正に女神様ですよ!」


「あ、あぁ・・・確かにその通りだな。初めまして、私は一応伯爵の爵位を持っているハルバンだ」


 タッシュの強い押し・・・推しに圧倒されているハルバンなので、一応スペードクィーンを前にしてもある程度平静を保てていた。


「スペードクィーンと申します。宜しくお願い致します。ところでタッシュ先生?私には全てわかっておりますよ。何か悩み事をお持ちのようですね?」


 何の脈絡も無く核心をついているが、タッシュからしてみれば流石は女神だと思うだけで何も疑問を感じないまま本心を告げる。


 女神に対しては隠す事は何一つないし隠してはならないと言う思いがある事から、ありのままを正直に説明していた。


「・・・ですから、私としても何か対処できないかと思い悩んでいるのです」


「良く話してくださいましたね。貴方の悩みは私の悩みですから、タッシュ先生に変わって私の方でしっかりと対処させて頂きますよ」


 本来は危険な対処になる事から身を案じるべきなのだがここでも崇拝が勝っているので心配すら不敬だと思い反射的にお礼を述べているタッシュと、このやり取りを見て自分が何かを説明する必要はなくなったと思っているハルバンとパーミアだ。


「あ、ありがとうございます女神様!皆さん、これで全て万事解決ですよ?ハルバン様も大船に乗ったつもりで寛いでください。あぁ、流石は女神様です!」


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