(414)対策
製作者として公になっている以上は知識がない事は有り得ないと考えられるのは当然で、答えられる事が無いとはわからない国王側は苛烈な手段で情報を抜きに来る可能性がある。
一方学校に残されたミルバの傍にはダイヤジャックがいるので何もしてこない・・・できない可能性が高くなると考えたパーミアは、国王に目を付けられている可能性が高い人物は全員共に行動するべきだと結論付ける。
「誰が考えてもわかるけど、校長先生の指摘の通り今回の道具に関する件でしょう?まだ販売していないけれど生徒達全員に配っている事はどう考えても直ぐに情報が流れているはずだから、普通に考えればそれほど高額にならないと考えられるはずね」
生活必需品になっている道具を起動する為の供給の道具を独占販売し始めて直ぐに10倍と言う有り得ない金額に設定したのだが、当然購入側も簡単には買えずにいる今・・・少し時が経てば嫌でも購入されるだろうと思っていた所に魔力生成の道具と言う有り得ない品が公になった事で焦っている国王。
本来タッシュの新たな発明に関してはゼシューから報告が来る手はずだったのだが、直近で二度もとてつもない匂いを撒き散らす風貌に変わった事から真面に会話すらできていない。
差し当たりは貴族達が音を上げて魔力保管・供給の道具を購入し始めるだろうと高をくくっていた所にとある貴族から学校での出来事を聞き、正直魔力生成の道具など信用できないがタッシュが絡んでいる以上可能性はゼロではないと感じて即呼び出している。
慌てて対処しているので差し当たり共同開発者として名を連ねていると聞いている三人の教官に対して登城の命令を出しただけで、それ以外に関しては何も指示していない。
無駄に頭の回転が速いパーミアはミルバの立ち位置や学校に残される面々の危険性やらを検討してしまっていたのだが、国王は全くそこまで考えが至っていないので現時点では無駄な心配だったりする。
「陛下!登城命令に応じた面々が来ております」
「わかった。直ぐに行く」
謁見の間では色々と格式が重要になる為に道具に関する受け答えや現物の確認に手間がかかると考えたのか、普通の応接に案内するように指示を出してボッシュ伯爵を呼んでいる。
「ボッシュの息子も錬金の1組だったな?この情報は知っていたか?」
「魔力生成の道具を練成授業の課題として一次練成を行った事までは聞いておりましたが、まさか本当にそのような道具が出来るとは・・・正直生徒に興味を持たせるための方便だと思っていました」
事実ボッシュ伯爵としても余りにも常識を逸した機能である事から今口にしていた通りに方便の可能性もあると思っていた事は事実だが、息子であるボナンのやる気を見るに実現して欲しいと切に願っていた。
国王側から魔力保管・供給の道具に関しては以前の販売価格で融通してもらえている為、生成の道具があれば助かるがそれ程欲している立場ではない状態でこのように思えた自分の心境の変化に驚いていたりする。
「であろうな。余も未だに信じられないでおる。だが向こうにはタッシュがいる以上、確認する必要があると思い呼びつけたのだ。ボッシュもしっかりと確認するが良い」
「承知しました」
こうして部屋に入るのだが、開発者に名を連ねている三人の教官以外にもミルバとダイヤジャックがいる事で少々眉が寄ってしまう国王ステヴァン。
ロイに関しては学校で何か事が起きた際に対応するつもりで自主的に残っているのだが、その真意を知るのはロイ当人だけなので他の面々に対して授業の復習をしたいからと言い訳をしていた。
「ミルバは辛うじて理解できなくも無い。お前は一応王族だからな。それで・・・お前は何故ここに居る?」
お前と言った際にダイヤジャックに視線を固定している事や、ミルバ以外に呼ばれていない存在は一人しかいない事から誰を排除しようとしているのかは明らかだ。
「ふははは。おい!ジャッ君様の御前だぞ?何故そこまで偉そうにできるのだ?過去に何度か躾けてやった事を忘れたとは言わせんぞ?」
ボッシュ伯爵は過去パーティーでダイヤジャック関連の暴走を見た事はあるが、国王の前でこれ以上ない程に不敬な態度を維持している上に躾けてやったと平然と言い切った事に唖然としている。
一方の国王ステヴァンは確かに目の前のダイヤジャックに複数回辛酸を舐めさせられている事を思い出し、このまま増長させては自らの権威に傷がつくと思っている。
思っているだけで何か対応できるかと言えばそのような事は無く、先ずは道具についての真実を確認する事に舵を切る。
「フン。学生程度に目くじらを立てる訳にはいかんな。それでタッシュと他の教官か?三人が新たな画期的な道具を発明したと聞き及んでおる。何でも魔力生成の道具らしいが、それは事実か?」
一応三人に問いかけている形になっているがヨーレイが普通に回答できるわけもないし、スペードクィーンを女神と崇めているタッシュも国王に対する行動がダイヤジャックよりになっている事から非常に不安がある為に消去法で自分が・・・と思っていたパーミアよりも早くダイヤジャックが口を開く。
「ふははは、その通りだぞ。このお三方はどこぞのバカ王が無駄に小金を稼ごうと臣下や民の生活を犠牲にする事を厭わずに10倍もの暴利を貪ろうとしている事実に心を痛め、毎日必死になって努力をされていたのだ!」
暴利以外に関しては全くの嘘だが、ダイヤジャックが対応し始めた以上は話しの流れを止めない方が良いと判断したパーミアは浮きかけていた腰を下ろす。
「・・・それで、その道具は何処にある?何やら接続部分は現行品と変化はないと聞いておるが、実際に魔力生成を行う道具は非常に小さな球体と聞いておるぞ?」
「あぁ、これだな。貴様程度に触れさせるのは少々腹が立つが、自分も譲渡された品である以上は仕方がないから触らせてやろう。どうせ手に持っている道具に接続して試すつもりだったのだろう?」




