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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(413)登城命令

 ヨーレイの授業を受けた結果、魔力の操作一つで圧倒的に練成の結果が異なる事や疲労も全く感じない場合がある事を体験した錬金分野の1組。


 魔力に関して漠然とした知識は持っていたのだが一般的には不要な学問だと認識されていた事や、何を置いても錬金が全てと言う体質もあってその有用性を真に理解していなかった。


 ところが今回これ以上ない程に明確な成果を感じてしまった上に現時点で困っている対策品となり得る魔力生成の品まで得られる可能性が高い為に、過去同様に魔力分野の学問を否定する事は出来ずにいる。


「おい・・・俺達って、正直に言ってアレだよな?」


「アレ・・・か?魔力分野の事だろう?俺も同じ事を思っていた。そもそも今回の授業内容で想定以上の成果が出てしまった以上は認める他ないだろう?」


 教室にゼシューがいない事もあって素直な意見が出せており、何故欠席しているのか全く気にならないばかりか逆にいない方がより魔力関係の知識を得る機会が増えると感じている程だ。


 この流れは1組から当然の様に2組や3組に向かい誰も否定できない程になっている中で、今日は各自が授業で得た知識によって作成した一時練成品を最終練成にまで引き上げた品の受け渡し日になっている。


 誰しもタッシュが実演した道具の効果を疑っておらず、残念ながら現時点でも過去と比較した10倍の値段は変動がない事から環境改善の本命と言えるこの道具に期待している。


 ゼシューの不在と道具の高騰による改善策の提示と言う二つの幸運が有って魔力分野の学問が一気に浸透した結果になっており、いよいよその時を迎えている。


「お待たせしました。今日は皆さんがヨーレイ先生の指導の下で一次練成した品の完成品をお渡しします。結論から申し上げますと多少の誤差は有りますが皆さん非常に良い出来でしたので、完成品も応分の効果を期待して良いですよ」


 一気に沸き立つ1組で、この後2組と3組、更には錬金の技術がない知能分野と魔力分野でも全く同じ歓声が上がる事になる。


 特に貴族ではない生徒が多い魔力分野の教室では狂喜乱舞と言って良い程になっており、実は校長もさり気なく一つ魔力生成の道具を手にしている。


 ここまで騒ぎになってしまうと今日授業を行っても余り身に入らないだろうと言うパーミアからの提案で、急遽自由時間となる。


 家に帰っても良いし学校で勉強や友人と遊んだり勉強したりと、何をしても良いと言う許可が出た。


 過去にこのような事例は無く、それ程今回の道具が素晴らしい品で魔力保管・供給の道具が入手し辛い状況に対応できる品になっているのかが良く分かる。


 学校の道具もタッシュが魔力生成の道具を設置済みの為に全て問題なく稼働しており、今はヨーレイ、パーミア、タッシュ、ダイヤジャック、ロイ、ミルバ、コームがタッシュの私室に集合している。


 リンド子爵家令嬢のシェーンは一刻も早く魔力生成の道具を家で使用したいらしく既に帰宅しているので、この場にはいない。


「今回は想像以上に上手く行ったわね。全てが上手く噛みあったし幸運が続いたけど、結果的に魔力、知能、錬金、全ての学問が重要だと言う事が認識された事は間違いないわよ」


「ほ、本当に嬉しいです。これからも、も、もっと魔力について興味を持ってもらえるように頑張ります」


「私もお二人に負けないようにしないといけません。女神様に自信をもってご報告できる事を増やし続けなければいけませんから!」


 パーミア、ヨーレイ、タッシュの順に今回希望通りの成果が出た事を喜んでおり、この場にはいないが校長もこれでこの国の未来は非常に明るくなるだろうと確信していた。


「ところでジャッ君?貴方のお姉さんがゼシュー王子をまた肥溜めの刑に処したのでしょ?本人から陛下に今回の道具に関する報告が行っていなさそうだけど、これだけ広まれば直ぐに報告が行くはずよ?そこはどうするのかしら?必要であれば私にも考えがあるけど?」


「ゼシューの件は指摘の通りだな、パーミア先生。アイツは暫く学校に来る事は無いだろう。それと道具の件だが、特段知られて不味い事など何も・・・いや、製作者が三人になっていたのを失念していた。となればしっかりと対策をする必要があるな」


 ターゲットが自分であれば全く問題ないと考えているダイヤジャックだが、教官の三人は普通の人・・・と言って良いのか分からないが、一応普通の範疇に収まっているはずなので国からのあの手この手の攻撃に対して完全に防御できるかと問われれば自信がない。


 結果的に道具生成者を三人に押し付けた事になっている以上は、そこが原因で当事者に被害が出ないようにする事は最低限の義務だと感じているのでカードの者を通してロイにその意図を確認している。


 ロイも同様の考えである事が確認できたので、常識枠のパーミアの意見を受け入れた方が得策かと思っている。


「失礼します。突然申し訳ありません。その・・・お三方に対して至急の登城命令が出ています。間違いなく今回の道具の件でしょう。宜しければ私も同行させて頂きますが?」


 そこに校長が入りこのような事を告げており、正に予想通りだと呆れ顔のパーミアと少々焦っているヨーレイ、登城と言っても最早何も興味がないのか表情に変化がないタッシュ。


「あ、私も同行する方が良いでしょうか?あまりお力にはなれませんけど、何かできる事があれば何でもしますよ?」


 そこにミルバも同調しているのだが、パーミアの考えは国王側もこれまでの情報からミルバ側の戦力としてダイヤジャックとクィーンズだけが非常に危険だと認識しているはずで、次点で自分達と思われているのは間違いないと思っている。


 そこを踏まえると道具生成に関する知識があると思われている教官三人だけが登城するのは非常に危険で、一方的に情報を抜かれかねない。


 実際に抜かれる程の知識がないのだが、そこは証明できないのでより危険になる。


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