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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
414/418

(412)罰

「た、助けてくれ!何故王族の余がこのような目に合わねばならんの・・・オェ・・・口にはいるだ・・・オェエエェ・・・」


 藻掻けばもがく程状況が悪化するのだが、命の危険さえなければ今回の罰はやむを得ないとロイに言われている事から相当な時間肥溜めから首から上だけが見えている状況を強制的に維持されているゼシュー。


 やがて何も反応できなくなり、見えている顔からは涙や嘔吐物、鼻水でいっぱいになった所で棒によって強制的に外に出される。


 今回は早くも何も反応できない程一気に衰弱しているが、命に別状はないしこうなった原因も伝わっているかは別にして事前に説明している事からさっさと出て行くダイヤクィーン。


 前回と比較して衰弱したままの状態で放置されている上、長時間浸漬させられている事から中々復活が出来ずに余計匂いが染みついている。


「う・・・何故余がこのような・・・王族、王太子だぞ!」


 何とか気力で外に到着すると再び倒れ込んでしまい、最終的には国王から二度目の失態と叱責されて離宮と言う名の監獄に隔離されている。


 実は例の授業の報告に関しては即実行する義務がボナンに有ったのだが、授業が楽しくて色々と質問している内に相当時間が経過して慌てて邸宅に戻ると父であるボッシュ伯爵が既に家にいた。


 そこでこれまでの事実を伝えて今後どのように動くのか判断を仰ぐことにしたのだが、授業の話しになった際に過去に一度も見た事が無い程に熱のこもった話しをするのでボッシュも興味を惹かれている。


 道具そのものに対する興味もあるが息子がこれ以上ない程に夢中になり始めている授業に対しても興味を持っており、こうなると今知り得た内容を素直に国王に報告すると直接的に学校に介入して折角やる気が見られるようになったボナンの気持ちが萎えてしまう可能性に思い至っている。


 何のかんの言ってもやはり息子は可愛いと思うのが親心なので、少し時間を引き延ばすようにアドバイスする。


「ボナン。確かにその道具は素晴らしいと思うが、お前もそうだっただろうが俄かには信じられない。お前が作った一次練成の結果が良ければ完成品を貰えるのだろう?その状態を確認してからの報告でも良いと思うぞ?」


「確かにそうかもしれませんね。ですがゼシュー王子からの命令の為に、あまり報告期間が開いてしまうと問題になる可能性が高いのです」


「・・・確かに学校で毎日のように顔を合わせるからな。だが、私が帰る時でも王子は戻っていなかったぞ?」


 何時もならば学校が終われば腰巾着と時折町を無駄に散策して遊びまわっているのだが、どれほど遅くなろうがボッシュが帰宅する前には戻っている事が大半だ。


 一部例外は何か事をしでかす時か罰を受けている時なので、仮に一日報告が遅れたとしても纏めていたと言えばどうとでもなると思っている。


「少し様子を見たらどうだ?ボナン。明日王子に何か言われた場合、資料を纏めていたと言えば良いだろう?」


「そうですね。そうします、父上!」


 一応言い訳が成立する様に今日の授業内容を纏めているボナンだが、改めて纏めるとより理解が深まる事に感動していた。


「今日の成果を見ると俺が偏った考えをしていたのは間違いないな。まさか魔力の運用一つでこれだけ成果が異なるなんて思ってもいなかった。いや、理論を知ったつもりになっていただけで、魔力分野の学問を見下し続けた結果だな」


 当初はやはり過去の刷り込みから嫌々ながらヨーレイの授業を聞いていたのだが、実際に練成を行う際にあまりにも成果が異なる事から正直激しく動揺していた。


 そもそも普段からヨーレイや魔力の学問を激しく糾弾し続けた立場なのは自覚しており、糾弾されている側のヨーレイもその辺りは間違いなく自覚しているはずが・・・当事者に対して本当に懇切丁寧に教えてくれる懐の大きな姿を目の当たりにして、如何に自分が小さな人間かを思い知らされていた。


 成果もこれ以上ない程に出てしまえば過去の自分が間違っていたと認める他なく、より一層このままゼシューに従って良いのか疑問に感じている。


「それにしても、タッシュ先生の講義は分かり易いし・・・ヨーレイ先生は多少どもってしまうが非常に丁寧だからな。これまで相当時間を無駄にしてしまった。これから取り戻す為には勉強するのみだな!」


 ボナンの私室の外で聞き耳を立てていたボッシュ伯爵は息子が想像もできない程劇的に変わった事を理解して、喜ぶとともに改めて自ら顧みる必要があると感じている。


「私も相当だな。まず初めに行う事は、ハルバン伯爵に対する謝罪と賠償だろうな」


 変わった息子に恥じない生き方をするべきと思ったボッシュ伯爵は、ロイを異大陸から連れて来た際の船長でもあり唯一と言って良かったミルバ王子派閥のハルバン伯爵に刺客を差し向けた事を恥じている。


 結果は支配していた海洋生物からの逆襲・・・とは理解できていないが、その攻撃を受けて屋敷が半壊する羽目になっている。


「立場上陛下と完全に袂を分かつわけにはいかないが、しっかりと向き合う事は出来るはずだ」


 例の黒の存在の剥離と同時に悪意も無くなったタッシュと同じく息子を見て改心し始めているボッシュ伯爵だが、ハルバン伯爵は大半が海上にいる事から直接会える機会は滅多にない事は理解している。


 帰国の情報を掴んだ際に謝罪をしに行く事を決めると、今後国王ステヴァンとどのように向かい合って行くのが正解かを執務室に戻って考え始めていた。


「そもそもの問題は、今更だがゼシュー王子の権力が強すぎるところだな。あの王子が有能であれば話しは別だが、これまでの行動を見る限りでは残念ながらその様な事は無いし改善も見込めないだろう」


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