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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
411/417

(410)授業

 目の前の魔力生成の道具をヨーレイ、パーミア、と共同で発明したと告げているタッシュだが、余りにも荒唐無稽な話しなので素直に信用できないゼシュー。


「そのような事があってたまるか!そもそも本当に魔力を供給しているのかも怪しいぞ!その様な小さな玉であれば、どの様な道具であっても容量は非常に小さいのは常識だろうが!その程度の大きさであれば何も動かす事は出来ない不良品だ!」


「確かに今迄の知識や経験に捕らわれればそう思うのも仕方がないですが、授業の初めに私は伝えましたよね?固定概念にとらわれずに新たな発想で物事を考えてください・・・と。とは言え仮にコレが保管の道具だとすれば、ゼシュー君の言う通りに大した容量を保管する事は出来ない事の証明になりますね」


 確かに固定概念についてはそのような事を言われてしまい、そもそも基礎があまりにも疎かになっている事がテストによって明確になってしまった事からこの授業が開催されているので反論できないゼシュー。


 更に保管の道具であれば容量が小さく道具として成り立たない旨宣言してしまっているので、そこを逆手にとって保管できる道具ではないと告げているタッシュ。


 固定概念云々で言えばタッシュ側も理論が崩壊しているのだが、ゼシューの言葉を基に指摘しているので反論の余地がない。


「凝り固まった概念を解きほぐすのは非常に難しいですが皆さんはまだまだ若くこれからですので、早い段階で柔軟な思想を持っていただきたいと思います。手始めに、この道具が実際に起動できるのか確認しましょう。こちらにどうぞ」


 徐に教室から出て行くので、指示通りに全員がタッシュの後をついて行く。


「こちらは廊下の温調を管理している道具です。今は接続されている魔力保管・供給の道具の使用限界で機能していません」


 過去にダイヤジャックが広く普及させた魔力可視化の道具を取り出し、保管・供給の道具から魔力が流れ出ていない事を確認させているタッシュ。


「それではこれは外しますね」


 本来は温調の道具と接続している部分は残して保管・供給を担っている部分だけを交換するのだが、今回の魔力生成の道具とは大きさが異なるので流用できずに全て交換する事にしている。


「先ずはこの道具の状況をご覧ください」


 魔力供給の道具に魔力が滞留している状況は分かるが、何処にも接続されていないので何も動きがない。


「やはり保管の道具だろうが!」


「ですからコレは生成の道具と言っているではありませんか。接続する事でご理解いただけると思いますよ。保管の道具であれば魔力の供給がなければ使用分だけ徐々に減少しますが、この生成の道具であれば使用限界が来ない限り発生している魔力・・・つまり、この道具に滞留している魔力は一定に保たれるのです」


 説明しながら新たな道具を温調の道具に接続すると、一気に廊下が涼しくなった事で道具が起動した事を確認した生徒達。


 その視線は魔力供給・・・生成の道具と言った方が良いのだろうか、そちらに向けられており、視線が集中している事を理解したタッシュが可視化の道具を利用する。


「どうですか?必要な魔力を計測する段階で魔力の揺らぎは見られますが、既に安定していますね。魔力が減少しているように見えますか?」


「いいえ。温調の道具に流れて消費されているのは見えますが、常にその分を補填しているのか供給の道具に魔力の変動は一切見えません」


 思わずハロンがゼシューの前で見たままをそのまま説明してしまう程に衝撃的な事象で、誰しもがその後暫くは魔力の流れを確認し続けていた。


「それでは一旦教室に戻ります。この道具は一先ず外しますね。量産体制は間もなく整いますが、それまでは一応貴重品ですからね」


 実は既に多数の道具が準備できているのだが、当初の決定の通りにこの状況を知って国家側がしっかりと元の金額で魔力保管・供給の道具の販売する方針に舵を切れば一先ずお蔵入りさせる事にしていた。


「タッシュ。コレがお前の言っていた新たな研究成果なのか?」


「うーん、その質問は非常に難しいですね。そのうちの一つと思って頂ければ良いと思いますよ、ゼシュー君」


 タッシュとしては今回の作成に関して全く何もしていないので成果と言いたくない事からこのような言い回しになっているが、言われたゼシューとしてはこれ以上の品も考えているように聞こえてしまう。


 もう少し情報を取り出して国王に報告する義務があると思い至って更なる質問を加えようとするのだが、タッシュはさっさと教室に入ってしまう。


「ロイ様。この様子であれば想定通りの結果になると思います。その際には私の方で対処させて頂きます」


「え、そう?仮にそうなったら残念だけど、仕方がないかな」


 移動中に手は離されてしまったのでその恨みをゼシューに向けているダイヤクィーンは、一部想定外の事は起きたが概ね事前予想の通りで事が進んでいる事からこう告げている。


「タッシュ。お前の・・・いや、お前等が作ったのか?確かに素晴らしい道具である事は確認したが、未だに量産は出来ていないのだろう?間もなくと言ってもこれだけの道具だ。そう簡単に三人の教師程度で準備できない事は理解できている。ここは余が一肌脱いでやろう!」


 ここまで来てしまえばこの道具に関しての情報を秘匿する事は不可能なので抑え込めなければ手元に入れてしまおうと即行動しているゼシューだが、あっけなく断られる。


「申し出はありがたいですが、もう準備は略全て終了していますのでお手伝いして頂く事は有りません。それでは授業を再開します。この道具ですが、四次練成まで必要になっています。但し一次練成は非常に基本的な内容である事からこの場で皆さんに実施して頂きたいと思います。状態が良ければ、残りの練成はこちらで実施して完成品を差し上げます」


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