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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(409)授業

 授業を進めるための一つのネタとして魔力生成の道具をこの場に持ち込んでいるタッシュは、先ずは現状を理解させるのが先だと魔力保管・供給の道具が非常に高額になっている事から市場が混乱して民や貴族が困っている事を認識させている。


 この質問と回答に対して面白くないのは益を無駄に享受している王族となっており、この場ではゼシュー・・・そして過去同様に安価で購入できているボナンとなる。


「全員と一括りにするな、タッシュ!余はそのような事を一切感じていないしボナンも同じだろう?道具が起動できる品は販売されている。少々値が上がったが普通に売っている以上は購入すれば良いだけだ!騒ぐ程の事ではない!」


 正当な理由無しで勝手に金額を10倍にした側が言って良いセリフではないのだが、未だに王太子の立場を堅持している存在に反撃できない生徒達。


 思わずダイヤクィーンが再び肥溜め投下の刑を実行しようと思ったのか視線が厳しくなった瞬間、こうなる事を予想していたロイは常にダイヤクィーンの表情を注視していたので即手を握る。


「!?・・・はぁ・・・あの汚物(ゼシュー)は非常に良い仕事をしましたね」


 うっとりとした表情で今の幸せを噛みしめているダイヤクィーンだが、ロイの足元にいるスペードキングから情報がカードの者達に行った結果別の問題・・・他の女性のカードの者達からの文句と言う大問題が発生する事だろう。


「そうですか。お二人は除外される事は理解しましたが、この話しを続けても授業時間がもったいないので疑義があれば後ほどお伺いしましょう。では授業に戻ります。この道具は今の流れでどの様な道具なのか想像できた方はおりますか?」


 今困っている事・・・魔力保管・供給の道具が購入できずに困っている事を正解と見て良さそうなので、そこから導き出される回答としては一つしかない。


「新たな魔力供給の道具ですか?」


 誰の言葉かわからないが少なくともゼシューとボナンではない声が教室に響く。


「正解です!こうして何かを考える事も錬金の基礎としては非常に重要な要素になります。今の気持ちを忘れずに行きましょう」


 敢えて相当簡単な事象にして説明しているタッシュの思惑に乗り回答してしまった貴族だが、実際に供給の道具であれば・・・過去のタッシュでも安価に販売していた事を知っているので非常に助かる事から期待の視線に変わっている。


 現状を改善する見込み・・・光が見えた事からがぜんやる気が出始めたゼシューとボナンを除くクラスの面々の表情を確認し、満足気に軽く頷くタッシュは話しを続ける。


「うーん。やっぱりタッシュ先生は凄いよね、ロイ君。何というか、生徒側からすると嫌でも授業に引き込まれるよ」


 ロイはミルバの言っている事は分かるが、意識はダイヤクィーンが暴走しない事に向けられているので返事が出来ずにいるところを1組の担当教官モルダンが介入する。


「ミルバ様。本当にタッシュ先生は変わりました。自分達もこれまでの行いを恥じて改めて教官として学んでいる所ですが、これ程柔軟に臨機応変に対応できる所を見せられるとまだまだ精進が足りないと痛感しています」


 教室の後ろでこのような状況になっている中、タッシュの授業は進む。


「コレは今回答を頂いた魔力を道具に供給する道具ですが・・・事前にお伝えしておきますが、私が過去に作成していた道具である保管・供給の道具ではありません。宜しいですね?ゼシュー君」


 先ずは先制攻撃をしているタッシュだがゼシューの考えとしては権利を侵害している以外の何者でもなく、仮に今タッシュが手に持っている道具を安価で販売されては折角今まで以上に贅沢が出来る上に貴族を抑え込める良い手段になり得るカードを失う事になる。


「詭弁だろうが!お前は陛下と確約したはずだな?魔力保管・供給に関する権利は全て王族に譲渡するとな!」


「そうですね。確かにそう言いましたし実際にそうしていますよ。ゼシュー君の言いたい事は分かりますが、この道具は契約に抵触しません。なぜならば、この道具は魔力を一切保管出来ないからです」


「はっ・・・ただの飾りか?ならば問題ないが、その様な玩具で授業になるのか?」


 魔力生成など想像も出来ないし形も小さい事から大した道具ではないと思ってしまうのは仕方がなく、故にかなり安心して尊大な態度が復活している。


 同時に他の生徒達は諦めの表情になるのだが、直に立場は逆転する事になる。


「問題ないと言質も取れましたのでもう少し詳しく説明しましょう。コレは御存じの通りにこの部分にはめ込んでこの先端を魔力が必要な道具に接続します。こうする事で道具に魔力が供給されるのですが、残念ながら現行の道具と同等の期間で使用期限を迎えます」


 突然仕様説明が始まっているのだが、この説明を鵜呑みにすれば道具が起動できる魔力を供給できることになる。


「道具側の魔力使用料は少ない物もあれば非常に大きなものがあるのは御承知の通りです。過去の道具は応じて保管・供給の道具も大きくなっていましたが、この道具はこれ一種類です。残念ながら消費量が大きい道具と接続した場合には使用期限が来るのは早くなりますが、それでも今と・・・いいえ、少し前と大差ないコストで使用する事が出来ますよ?」


「せ・・・先生?それはどのような道具ですか?いえ、魔力供給の道具と言う事は聞きましたが、供給するにもそもそも魔力を保管しなければならないでしょう?」


「そうだぞタッシュ。お前、正に契約違反をしているのではないだろうな?」


「ゼシュー君、少しは落ち着いて下さい。再三言いますがコレには保管の機能は有りませんよ?コレは魔力を都度生成して放出しているのです。つまり前回の譲渡した権利には一切含まれていない全く新たな道具になりますね」


「はぁ?バカな!その様な道具があってたまるか!それこそ太古の道具だろうが!」


 魔力生成ともなれば確かに御伽噺レベルの為に太古の道具となり、故に個数は非常に限られている事から残念そうな表情をしている貴族の大半。


「残念ですがコレは魔力、知能、錬金の三教官合同で生み出した新たな道具ですよ」


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